Instagram広告で効果的なターゲティングを行うには、Meta社の提供する「カスタムオーディエンス」機能の活用が欠かせません。カスタムオーディエンスを使うことで、自社の保有データやユーザーの行動データをもとに精度の高いターゲットリストを作成でき、広告パフォーマンスの最大化につながります。
本稿ではその中でもエンゲージメントカスタムオーディエンス「Instagramアカウント」について、その仕組みや設定方法、効果的な活用シーン、注意点を解説します。
Instagram広告では、自社アカウントと接点を持ったユーザーに対して、的確に広告を配信できる「エンゲージメントカスタムオーディエンス」機能が用意されています。
その中でも、「このプロアカウントをフォローした人」や「プロフィールにアクセスした人」など、ユーザーの具体的な行動に基づいてオーディエンスを設定できる点は、他のターゲティング手法と比べて高い精度が期待できます。
Instagram広告マネージャー上で選択できる主なオーディエンスの設定項目は、以下の通りです。
新たにフォローし、現在もフォローを継続しているアカウントセンター内アカウントが含まれます。すでにフォローを外したアカウントや、既存のフォロワーは含まれません。
プロフィールにアクセスした人や、この投稿や広告に対してアクション(いいね・保存・コメント・シェア・カルーセルのスワイプ・ボタンのタップなど)を実行したアカウントセンター内アカウントが含まれます。
Instagramプロアカウントのプロフィールにアクセスしたすべてのアカウントセンター内アカウントが含まれます。
この投稿や広告に対してアクション(いいね・保存・コメント・シェア・カルーセルのスワイプ・ボタンのタップなど)を実行したアカウントセンター内アカウントが含まれます。
InstagramのDM機能でInstagramプロアカウントにメッセージを送信したアカウントセンター内アカウントが含まれます。
投稿や広告をInstagramの保存機能でブックマークしたアカウントセンター内アカウントが含まれます。
上記すべての行動指標において重要となるのが、「アカウントセンター内アカウント」というカウント単位です。
これは、Metaの「アカウントセンター」で連携された複数のアカウント(InstagramやFacebookなど)を同一人物としてまとめてカウントする仕組みです。
たとえば、Instagramの個人用とビジネス用アカウントを持っていて、さらにFacebookにもアカウントを持っているユーザーが、それらをアカウントセンターで連携している場合、これらすべての行動は「1人のユーザー」としてカウントされます。
一方で、連携されていない場合は、同じ人物によるアクションであっても「複数のユーザー」として計上されるため、数値が実態よりも大きく見える可能性があります。
Instagramカスタムオーディエンスは、Metaビジネススイートや広告マネージャー上で設定します。以下に基本的な手順を紹介します。
(1)ビジネスマネージャーで「オーディエンス」を開く
Metaビジネスマネージャーにログインし、左側メニューから「オーディエンス」を選択します。オーディエンス管理画面が表示されたら、画面上部の「オーディエンスを作成」ボタンをクリックし、プルダウンメニューから「カスタムオーディエンス」を選択します。
(2)データソースとして「Instagramアカウント」を選択
カスタムオーディエンスのソース選択画面が表示されるので、その中から「Instagramアカウント」を選びます
※事前にFacebook側で自社のInstagramビジネスアカウントがビジネスマネージャーに連携され、権限が付与されている必要があります。
(3)対象アカウントとイベント条件を設定
自社のInstagramアカウント(ソース)が正しく選択されていることを確認し、次に「イベント」の項目でオーディエンスに含めるユーザーの条件を指定します。例えば「このプロアカウントをフォローし始めた人」「このプロアカウントのプロフィールにアクセスしたすべての人」等、先述の通り複数のトリガーから選択できます。併せてリテンション日数(○日以内の該当ユーザーを含めるか)も入力します。リテンション期間は1日~最大365日まで指定可能で、たとえば「30日」に設定すれば直近30日間にその条件を満たしたユーザーのみがオーディエンスに含まれます。
(4)オーディエンス名を設定して保存
条件を設定したら、わかりやすい名前をオーディエンスに付けて「作成」ボタンをクリックします。これで指定の条件に合致するInstagramユーザーのカスタムオーディエンスリストが作成されました。作成直後は「更新中」と表示され、しばらくすると利用可能な状態になります。生成されたオーディエンスは広告セットのターゲット設定で選択できるようになります。
投稿に「いいね」や「保存」はしているのに、まだフォローまでには至っていないユーザー層は、“関心はあるが行動には移していない層”とも言えます。
このようなユーザーを「投稿または広告にアクションを実行した人」としてカスタムオーディエンス化し、「フォローで〇〇が当たる」などのインセンティブ広告を配信することで、検討中のユーザーに明確な行動を促す施策として活用できます。
「保存」は、購入や比較検討のために“あとで見返すつもり”でつけられることが多く、ユーザーの温度感としては「前向きな放置」に近い行動です。
このようなユーザーには、時間を空けて再訴求する広告を配信することで、忘れられる前に興味を再喚起することができます。導入事例や口コミコンテンツなども相性が良いです。
InstagramのDMで直接問い合わせをしてきたユーザーは、購入意欲が高く、比較検討の後半にいることが多い層です。
このユーザーをセグメント化して、FAQや導入事例、特典付きの案内などを広告で届けることで、検討から意思決定へと後押しするナーチャリング施策として活用できます。
Instagramカスタムオーディエンスは、ユーザーの行動履歴をもとに高精度なターゲティングを実現できる強力な機能です。特に「フォロー」や「プロフィール訪問」「投稿へのアクション」など、Instagram上での具体的なエンゲージメントに基づいて広告配信対象を設定できる点は、従来の興味・関心ベースのターゲティングとは一線を画します。
自社アカウントと接点を持ったユーザーへ効率よくアプローチできるこの機能を活用することで、広告効果の最大化はもちろん、ブランドとの継続的な関係構築にもつなげていくことが可能です。今後のInstagram広告戦略における基盤として、ぜひ活用を検討してみてはいかがでしょうか。
参考:
エンゲージメントカスタムオーディエンスについて | Metaビジネスヘルプセンター
Instagramアカウントでカスタムオーディエンスを作成する方法 | Metaビジネスヘルプセンター