百度広告は検索シェア約70%を誇る中国最大の広告プラットフォームです。11億人超のユーザーにリーチできるその集客力は、越境ECや中国進出を目指す企業にとって欠かせません。本記事では、百度の概要から、百度広告の多様な広告フォーマット、利用するメリット・注意点を、最新情報を交えながら詳しくご紹介します。
目次
百度(Baidu)は、2000年に設立された中国最大の検索エンジンです。中国のインターネットユーザーにとって、情報検索の主要な手段として日常生活に深く浸透しており、同国の検索市場で圧倒的なシェアを誇ります。
中国インターネット情報センター(CNNIC)が2025年4月に発表した第55次『中国互联网络发展状况统计报告』によると、2024年12月時点で中国のインターネットユーザー数は11億100万人に達し、インターネット普及率は78.0%となっています。
このような巨大なデジタル市場において、百度は中心的な役割を担っています。例えば、Baidu Appの月間アクティブユーザー数(MAU)は2025年3月時点で7億2,400万人(百度公式発表より)に到達するなど、その利用者数は世界的に見てもトップクラスです。
StatCounter Global Statsのデータ(2024年5月~2025年4月)によると、中国国内の検索エンジン市場における百度のシェアは約70~75%と過半数を大きく超えており、2位以下の検索エンジン(Bing、Sogou、Google等)に大差をつけています。
中国では「グレートファイアウォール(金盾)」と呼ばれるインターネット検閲システムにより、GoogleやYouTube、Facebookといった海外の主要なウェブサービスへのアクセスが制限されています。このような独自のインターネット環境が、百度を中国国内で不動の地位に押し上げた大きな要因の一つです。
百度は単なる検索エンジンに留まらず、AI技術を積極的に活用し、オンライン百科事典「百度百科(Baidu Baike)」、地図サービス「百度地図(Baidu Maps)」、動画プラットフォーム「百家号視頻(旧:好看视频)」や「愛奇藝(iQIYI)」(百度が出資)、Q&Aコミュニティ「百度知道(Baidu Zhidao)」など、多岐にわたるサービスを提供しています。また、近年ではAIクラウドサービスや自動運転技術(Apollo Go)の開発にも注力し、大きな成果を上げています。これらの自社サービスとの連携や、AI技術への積極的な投資が、百度の総合力を高め、ユーザーにとって利便性の高いプラットフォームとしての地位を確立しています。
百度は中国語の処理能力に長けており、特に標準語である簡体字中国語の検索精度が非常に高いのが特徴です。ピンイン入力(中国語の発音記号)からの検索や、中国語特有の複雑な言い回し、最新の流行語などにも対応しており、ユーザーが求める情報を的確に表示する能力に優れています。
百度は、企業のマーケティング目的に合わせて活用できる多様な広告メニューを提供しています。2025年第1四半期のオンラインマーケティング収入(広告収入)は前年同期比で若干の減少が見られましたが、これは市場環境の変化や百度自身の事業ポートフォリオの進化も背景にあります。依然として百度広告は中国市場攻略の重要な手段です。
検索キーワードに連動して広告を表示する「検索広告」です。ユーザーが特定のキーワードを検索した際、検索結果ページの上部や右側にテキスト広告が掲載されます。
参考:https://www.baidu.jp/info/ad/service_listing.php
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指定した企業名、ブランド名、サービス名などをユーザーが百度検索で検索した際に表示される、期間保証型の検索広告です 。検索結果のファーストビューを占める広告面積が特徴で、動画の活用も可能です 。
参考:https://www.baidu.jp/info/ad/service_brandlink.php
百度のニュースフィードアプリ「手机百度(Mobile Baidu)」や、動画アプリ「百家号視頻(旧:好看视频)」、掲示板サービス「百度贴吧(Baidu Tieba)」などのタイムライン(コンテンツとコンテンツの間)に表示される広告です。
参考:https://www.baidu.jp/info/ad/service_infeed.php
百度が提携する数十万以上のメディアサイトやアプリ上に、バナー広告やテキスト広告などを配信するネットワーク広告です。DSP(Demand-Side Platform)としての機能も持ちます。
参考:https://www.baidu.jp/info/ad/service_adnetwork.php
百度広告を活用することで、企業は以下のようなメリットを享受できます。
前述の通り、百度は中国で最も利用されている検索エンジンであり、Baidu AppだけでMAU7億2,400万人(2025年3月時点)という巨大なユーザーベースを抱えています。幅広い年齢層・地域のユーザーに効率的にアプローチできる点は、他のプラットフォームにはない大きな強みです。
検索広告ではキーワード、ディスプレイ広告(インフィード広告やアドネットワーク広告)ではユーザーの興味・関心、地域、デバイス、属性(年齢・性別など推定)といった多角的なターゲティングが可能です。さらに、百度が保有するDMP(Data Management Platform)と連携し、百度の各種サービスから収集された実際のユーザーデータを活用した高度なターゲティングも行うことができます。これにより、広告費を最適化しながら、見込み顧客へのリーチや認知度向上を図ることが可能です。
テキスト広告、バナー広告(静止画・動画)、インフィード広告、動画広告など、豊富な広告フォーマットが用意されています。これにより、訴求したい商品やサービスの特性、キャンペーンの目的に合わせて最適な表現方法を選択し、ユーザーの注意を引きつけ、効果的なメッセージを伝えることができます。
ブランドリンク広告のような、検索結果の最上部をジャックして強力なブランドイメージを訴求できる広告メニューから、検索連動型広告のように具体的なニーズを持つユーザーからのコンバージョン獲得を目指す広告メニューまで、企業のマーケティングファネルの各段階に応じた施策展開が可能です。認知獲得からコンバージョン獲得まで、一気通貫でアプローチできます。
百度広告は中国市場攻略の強力なツールとなり得ますが、効果を最大限に引き出すためにはいくつかの注意点があります。
広告のキーワード、広告文、バナーデザインなどはすべて中国語(簡体字)で作成する必要があります。単に日本語を翻訳するだけでなく、現地の文化、慣習、消費者のインサイトを深く理解した上で、ターゲットに響く言葉遣いや表現を選ぶ「ローカライズ」が極めて重要です。これが広告のクリック率やコンバージョン率を大きく左右します。
中国では広告表現に対する規制が日本よりも厳しく、審査基準も多岐にわたります。特に医療、美容、健康食品、金融、教育などの業種は、広告内容や使用できる文言に厳しい制限があり、場合によっては追加の許認可書類の提出が求められます。事前に規制内容を十分に確認し、抵触しないよう細心の注意を払う必要があります。
人気の高いキーワードや競争の激しい業界では、検索広告の入札単価(CPC)が高騰しやすくなります。効果的な運用のためには、適切な予算設定、キーワードの選定(ロングテールキーワードの活用など)、入札戦略、そして定期的な効果測定と分析に基づく最適化作業が不可欠です。
広告をクリックしたユーザーが最初に訪れるランディングページが、中国のユーザーにとって魅力的で分かりやすいものでなければ、せっかく集客しても成果には繋がりません。デザイン、コンテンツ、UI/UXはもちろん、表示速度(中国国内からのアクセスを考慮したサーバー選定など)や、ICPライセンス(中国国内でウェブサイトを公開するために必要なライセンス)の取得といった技術的な側面も重要です。
百度広告のアカウント開設は、一般的に中国現地の法人や公式代理店を通じて行います。企業の実在証明や業種に応じた各種書類の提出が必要となり、審査にも時間を要する場合があります。広告出稿を計画する際は、アカウント開設期間も考慮し、余裕を持ったスケジュールで進めることが推奨されます。
中国最大の検索エンジンである「百度(Baidu)」は、その圧倒的なユーザー数と中国市場における影響力を背景に、日本企業が中国の消費者にアプローチするための非常に強力なプラットフォームです。近年ではAI分野におけるリーダーシップを確立し、AIクラウドサービスや自動運転技術など、事業の多角化も急速に進んでいます。
広告プラットフォームとしては、検索連動型広告からブランドリンク広告、インフィード広告、動画広告、アドネットワーク広告まで、多種多様な広告メニューを戦略的に活用することで、ブランド認知の向上から見込み顧客の獲得、そして売上拡大へと繋げることが期待できます。
一方で、本記事で触れたように、中国語への高度なローカライズ、独自の法規制や広告審査への対応、アカウント開設のプロセスなど、中国特有のハードルが存在することも事実です。これらの課題を乗り越え、百度広告のポテンシャルを最大限に引き出すためには、中国市場の特性を熟知した専門家や、実績豊富な代理店のサポートを得ながら、入念な準備と戦略的な運用を行うことが成功の鍵となるでしょう。
百度広告に関するご相談や、より詳細な情報をご希望の場合は、百度(Baidu)の正規代理店であるアウンコンサルティングへお気軽にお問い合わせください。
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