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    2023.05.19

【海外向け】リスティング広告実践ガイド

今回はリスティング広告とは何か?そして海外向けにリスティング広告実施を検討している企業様に対して、リスティング広告の特性やメリット・デメリット、注意点について分かりやすく解説していきたいと思います。

目次

リスティング広告とは?

それではまず、「そもそもリスティング広告って何なのか?」そして、「日本ではこの広告はどんな歩みをたどってきたのか?」について簡単にまとめておきたいと思います。

リスティング広告(検索連動型広告)は、「Google」や「Yahoo!」といった検索エンジンの検索結果画面に掲載されるテキスト広告のことです。この広告は2002年に米Google社、後に米Overture社の2社が日本に上陸し、検索エンジンと連動した広告として検索エンジンと連動した広告として時代を席巻しました。

Google社はGoogle検索ネットワークを起点にGoogleの検索エンジンを利用する(例えばニフティやExcite等といった)様々なポータルサイトでユーザーが検索した際に広告が表示される仕組みで広告の表示機会を拡大していきました。後にこの仕組みはディスプレイネットワークやAdsenceとの連動により、ポータルサイトだけではなく、企業が提供するサービスサイトや個人が運営するブログに至るまで全てのWEBサイト運営者がこのプラットフォームによる広告収入の獲得機会を手にすることを実現しました。

他方Overture社は当時世界最大のポータルサイトであったYahoo内の検索における広告機会を提供していました。日本ではYahooジャパンがその仕組みを採用しています。 Yahoo! JAPANのユーザーは、Yahoo内で検索、ニュース閲覧、買物等インターネット上における、ありとあらゆるサービスを提供することで、Yahoo内で完結できるようにユーザーを囲い込む戦略を取っていました。

このようにGoogleはGoogle(或いはGoogleネットワークを)を経由してユーザーをインターネット上に自由に行き来させることで広告機会を拡大する事を目指し、Yahooは圧倒的な利用者数を背景に自身のサイト内で全てのユーザーを囲い込む事で広告収益を確保する事を目指していました。当初日本ではYahooの圧倒的なユーザー数圧倒的にYahooにおけるリスティング広告がほぼひとり勝ち。という状況にありました。

これがその後、YouTubeをはじめとする動画コンテンツ視聴機会の拡大や、Facebook、TwitterなどSNSが台頭することにより、様々な広告媒体に対して、バナーや動画等テキスト以外の様々な広告掲載の機会が創出されるようになっていきました。

その結果、現在では「リスティング広告」と見た場合、その世界的な市場規模はほぼGoogleが占めているという状況に至っています。

リスティング広告のメリット・デメリット

このような中でリスティング広告にはどういったメリット・デメリットがあるのかまとめてみました。

リスティング広告のメリット

検索ユーザーへの訴求ができる
まず「検索するユーザーに直接訴求ができる」点。があります。
これは当たり前のメリットですが、ユーザーが検索エンジンを利用して「検索」という行動をする際は、「知りたいこと」、「調べたいこと」、「探している情報」が検索キーワードとして入力されます。入力されたキーワードはユーザーのニーズを反映しているので、広告主は合理的・効率的に自社のサービスや商品を「あなたに取って必要な情報」という体で伝えることが実現できます。さらに、アンド検索等より具体的なキーワードで検索するユーザーについては「より確度の高いユーザー」として狙い撃ちすることも可能になります。

少ない予算から始められる
リスティング広告は個人や法人が直接実施する場合、理論上1円から広告出稿が可能になります(※)。
また、月々(或いは特定の期間)の上限金額を設定することで予算を使い切った時点で広告出稿が停止する仕組みもあるので、後から予想しない出稿費用を請求されることもありません。出稿の最中でも、社会情勢や自社の都合で広告停止の判断が必要であれば、クリック一つで止めることが出来ます。
このように「小さく始められて、いつでも止められる」という敷居の低さが大きなメリットであると言えます。
※あくまでも理論上の金額で具体的な効果を念頭にした金額は異なります。
※代理店や外部委託による運用代行の場合、経済条件は各社の方針によって異なります。

即効性がある・必要な時期に出せる
リスティング広告は例えば「今出稿したい」といった急な広告主の希望も対応できます。
また、出稿を停止したいときはすぐに止めることもできます。
このことから例えば「明日から始まる期間限定のキャンぺーンのみ」といった限定的な集客手法として利用する事が出来ます。特定の媒体に掲載する広告のように審査期間に時間を要したり、媒体側の掲載期間にしばられる必要はありません。

リスティング広告以外の広告にも展開しやすい
Google等主要なリスティング広告のプラットフォームでは、ディスプレイ広告や動画広告など、リスティング広告以外の様々な広告手法が利用できます。
例えばはじめはリスティング広告から(小さく)はじめ、ディスプレイ広告に拡大してすそ野を広げ、その後ターゲティングを絞り込んで成果を引き上げるといったシナリオを描くことも容易に可能です。

リスティング広告のデメリット

潜在層向けの訴求が出来ない
リスティング広告は「検索連動型広告」とも言われる通り、検索したユーザーに見せる広告を得意とします。
厳密には例えば「ハワイ旅行」と検索したユーザーに対してハワイ以外の旅行を提案したり、「資産運用」について検索したユーザーに具体的な投資先として学資保険を提案するなど、選定するキーワードを工夫して訴求することで「ニーズの外」つまり準顕在層に訴求することは可能です。ただ純粋に幅広く潜在層向けに訴求をしていくことはリスティング広告では不向きで、現在はキーワード広告に加えてディスプレイネットワークやターゲティングを駆使した広告を採用するのが一般的です。

ビジュアル訴求が出来ない
また、「ユーザとのコミュニケーションツール」という観点で見た場合、リスティング広告はテキストがメインとなるため、静止画や動画を利用したビジュアル訴求が出来ない点もデメリットと言えます。インターネットそのものが、文字情報から画像情報、動画情報とシフトしていく中でユーザーのリテラシーや年齢・社会的立場等の属性によって有効なコミュニケーション手法は変わってきます。
リスティング広告で使われる「テキスト広告」はインターネットを「調べもの」、「情報収集手段」として利用する言語リテラシーの高いユーザーにはフィットしますが、単純にインターネットを娯楽のツールとして使用しているユーザーや、(情報収集など意識せず)SNS等コミュニケーションツールとして利用しているユーザーには広告自体が届きにくい懸念もあります。

出稿を止めると流入がなくなる
これはリスティング広告に限らず運用型広告全般に言える事ですが、「即効性がある」というメリットの一方で「出稿を止めると効果が享受されなくなる」というデメリットもはらんでいます。
商品やサービスによってはリテンションが高く一度ユーザーに認知させてしまうことで、長期的に広告の効果を維持することが出来る場合もありますが、少なくとも出稿を止めてしまうと、新規ユーザーの流入は途絶えてしまいます。
この点はWEBサイトそのものを最適化する「SEO(検索エンジン最適化)」の方が長い期間にわたって効果を維持するという点では圧倒的に分があると言えます。

(広告出稿のみでは)費用対効果は期待しにくい
広告出稿時に「費用対効果」という概念を意識する広告主は多いと思います。
要は「広告投下した分、利益として回収できるか?」という評価指標になりますが、過去においてリスティング広告は非常に費用対効果の高い広告手法として注目され続けてきました。
ところが、「広告主の増加」により入札単価が上がる傾向が続いている事や、「ユーザーのネットリテラシーの向上」によって躊躇なく広告をクリックするユーザーや、直帰するユーザーが増えている事、加えてネット上における「商品・サービスの多様化」によりユーザー側の比較対象が増えていることなどからもリスティング広告単体では費用対効果は期待しにくくなっているのが現状です。
単純に販促活動として、プロジェクト単位で費用対効果を設定するのではなく、先述したSEO(検索エンジン最適化)の取り組みはもちろんのこと、他の広告手法との併用によって総合的に効果を引き上げていく姿勢が重要になります。のサイトから重要な情報源として参照される機会が多いサイトほど権威性の高いサイトと判断されると言われています。

海外リスティング広告を配信できるプラットフォーム

続いて、これらのことを踏まえて、「海外リスティング広告」を実施していく為のプラットフォームにはどういったものがあって、どう使い分けていくかについて触れてみたいと思います。

基本的にはGoogle

まず配信プラットフォームについては特定の地域、言語を除いては基本的にはGoogleと考えるのが一般的です。理由としては以下の通りです。

ほぼ全世界に配信が出来る
まずGoogleは例えば中国など特定の国を除いて、ほぼ全世界に配信出来る利点があります。また、日本企業が海外進出やインバウンド対象国として考える主要な国、地域という観点で見た場合、例えば欧州、米国、豪州、台湾、香港、タイ、ベトナム、インド等といった名前がよく上がりますが、このいずれの国・地域においてもGoogleのリスティング広告におけるシェアはほぼ独占されていて、他に選択肢がない事もその理由になります。

希少言語・地域にも対応出来る
また一方で、例えば「アフリカで中古車を売る」、「希少言語話者に日本語教育を訴求する」といったニッチな広告であってもGoogleであればセグメントが容易に実施可能な点は特徴的です。費用や対象ユーザー数、市場規模などにとらわれずに出稿出来ることがGoogle広告の大きな特徴になります。

同じプラットフォームでできるメリット
加えて、Google広告のプラットフォームは国や言語に依存してないため、ある特定の地域や言語での出稿内容を他の地域や言語でのプロモーションに転用することも容易に実現できます。当然「言語変換」という観点では人の目と手で翻訳する必要性は生じますが、同一のプラットフォームで運用できる点は大きなメリットであると言えます。

中国は百度
上記の通り基本的には海外リスティングはまずはGoogleをベースに進めていくのが一般的ですが、唯一の例外として中国があります。
中国では国産の広告媒体のみに広告出稿が認められているため、中国最大のリスティング広告を提供している百度を採用する事をお勧めします。
尚、日本からBaiduに広告出稿する場合、基幹代理店を通す必要があります(※)
※弊社は日本に7つしかない基幹代理店の1つです。
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百度(バイドゥ、拼音: Bǎidù)は、中華人民共和国で最大の検索エンジンを提供する会社である。創業は2000年1月。本社は北京市にあり、百度百科や百度入力方法なども提供している。

全世界の検索エンジン市場において、Googleに次いで第2位(米comScore社、2009年8月調べ)、中国大陸ではGoogleなどは利用できず、百度が最大のシェアを占める。中国発の会社であり、また中国を主要市場としているため、「中国のGoogle」と呼ばれることもある[1]。

2020年12月13日現在のアレクサランキングでの順位は、世界4位、中国国内2位である。[2]
※Wikipediaより引用(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E5%BA%A6)
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上記の通り、リスティング広告については「まずGoogleから」、「中国は百度」という考え方が主流ですが、リスティング広告以外では、例えばSNSはFBやインスタグラムが始めやすい媒体として知られています。昨今ターゲティングの精度向上や独自のAIによるレコメンド機能などが強化されていることで、精度と効果に期待があります。

また、ディスプレイネットワークなど、幅広い広告出稿を進める際もやはりGoogleネットワークを活用するのが、前述したプラットフォームの共通化という観点からも有効であると言えます。

海外リスティング広告に必要な準備・手順

続いて海外リスティング広告に必要は準備や手順についてまとめておきたいと思います。

(広告主側の準備は)基本的には国内向けと同じ

まず、広告主側の基本的な準備につきましては、最初の段階では国内向けと同じで問題ありません。
広告の目的、期待値、ターゲット、訴求ポイント、費用感等まとめておくことで出稿内容や掲載キーワードに結びつけるベースを整理します。
LPや多言語向けのページが既に存在する場合はある程度整理が出来ているはずなので、それを再度整えることになります。

自社でリスティング広告を実施する場合

ここでリスティング広告を実施する場合は言語変換のリソースや現地における検索数調査、現地に即したクリエイティブ制作等は必要になります。言語変換はネイティブ話者による翻訳が理想ですし、検索数や訴求の表現方法等もそれぞれ独自の調査方法やツールを駆使したり、専門的なノウハウは必要になります。
リソースや分析規模など、どの程度を要するかは訴求する商材やプロジェクトそのものの予算にもよりますが、最小限で数キーワード掲載してみるところから始めたい場合は「まず出稿してみる」というところからはじめ、必要に応じて段階的にテコ入れしていくのが良いでしょう。
また、規模感を持ってある程度しっかり実施されるのであれば専門のノウハウを持つ代理店や外部委託に相談していくのが得策かと思います。

外部委託の場合

専門のノウハウを持つ代理店や外部委託を予定している場合は、言語変換、現地における検索数調査等根幹となるタスクは委託することが可能です。そのような委託先は国や地域よる日本との違いや特徴については実績に基づいたデータを保有しているため的外れな出稿計画になるリスクは大きく削減できるはずです。
スケジュール的には委託開始してから「キーワードの確認→入稿→審査→出稿開始」までで概ね1ヵ月程度見て頂ければ実装は可能です。
また、媒体によっては(海外広告主は)審査が厳しい場合もあるので事前にヒアリングすることも可能になります。

海外リスティング広告出稿における注意点

最後に海外リスティング広告における注意点について上げさせて頂きます。

言語

まず言語について。ターゲットとなる地域の公用語を正確に理解する必要があります。
例えば、アメリカ→英語、中国→中国語等その地域のメイン言語が明確な場合は良いのですが、複数言語が公用語となっているスイス(仏語・ドイツ語・イタリア語・ロマンシュ語)やカナダ(英語・フランス語)は有名な話ですが、身近な所で台湾であっても中国語の他に台湾語や客家語が公用語として存在します。また一見英語のみが使用されていると思われがちなアメリカでもスペイン語の話者は5,000万人以上存在するのが現状ですし、英語が公用語となっているフィリピンでも第一言語であるタガログ語の存在は無視はできません。
広告やWEBページ言語設定は国や地域、ターゲットによって変わってくる場合もありますし、ユーザーの利用シーンによってWEBサイトとSNSで言語を使い分ける場合もあります。
これらをよく理解して、意図的に言語設定していくことが重要になります。

PDCAが基本

これは国内でも海外でも言える事ですが、リスティング広告(運用型広告)はPDCAサイクルをしっかりまわすことで成果の最大化を目指す広告になります。理由として、リスティング広告の成果は実際の出稿計画とそれに基づく入稿内容もさることながら、同業や同じキーワードを購入する競合企業との相対的な比較によって大きく変動する仕組みであるためです。
加えて実際の効果はユーザーが広告主のWEBサイトに遷移した後の動き方にも大きな影響を受けます。
これらを調整・修正しながら最適化していくことで成果の引き上げを試みる広告になります。
最適化の期間については実際のところ、最低でも3ヵ月は必要でプロモーションの仕方によっては継続的に最適化を続けていくケースもあるのが実情です。
メリットの部分で触れた「すぐに成果が期待できる」という印象と相反する部分も否めませんが、運用型広告の特徴として認識しておく必要があると言えます。

費用対効果の考え方

次に注意するべき点として「費用対効果」について。
リスティング広告は広告を出稿した分だけ収益が期待できる。いわゆる費用対効果の良い広告として広く知られています。特定の言葉に関心を持ったユーザーに表示する広告なので、それも頷けるのですが、敷居の低い広告であるため、年々プレイヤーは増加傾向にある→広告の仕組み上競合が増えれば単価上昇の圧力が強くなる実情があります。

加えて、日本国内と比較した場合、広告慣れしているユーザーや、広告などお構いなしにクリックするユーザーが一定数存在します。結果積極的にクリックするユーザーが増える傾向にある一方で、広告主のサイトに遷移した後の直帰率の低下や成約率の低下が懸念される可能性が増える傾向にあります。

まとめ

単純に「インターネット上で精度の高い集客を増やす」という観点では便利なリスティング広告ですが、シンプルにリスティング広告だけを実施すれば課題が解決されるという時代は過ぎ去っています。

そもそもリスティング広告だけでは補えない部分として潜在層へのアプローチやテキスト広告以外の訴求の仕方、WEBサイトの内容がユーザーとマッチしているのか(購買や問い合わせに結びつくWEBサイトになっているか)?など様々な重要な要素のひとつとして、リスティング広告が位置づけられていることを念頭に海外リスティング広告の導入を検討されるのが望ましいと思います。

また、前提として「広告」として販促費を投下する以前に、WEBサイトそのものの検索エンジンへの最適化(SEO)や、問い合わせ・購買率の向上といったサイト内の最適化などWEBサイトそのものの機能引き上げとセットで実施することで、高い効果が期待できることは言うまでもありません。

「リスティング広告」自体はあくまでもWEB集客の手法のひとつであり、また広告であること。この認識をもとに海外WEBマーケティングに関する組み立てを進めていくことをお勧めします。

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