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    公開日:2025.09.03

【ECサイト向け】集客効果を最大化する構造化データSEO対策


1. はじめに:ECサイトにおけるSEOの重要性と構造化データの役割

1-1. ECサイトの集客課題とSEO対策の必要性

競争が激化するEC市場において、新規顧客獲得やリピート率、売上向上は多くのサイト運営者の課題です。その中で、検索エンジンで上位化を目指すことは、潜在顧客が商品を探す際に目に留まりやすい機会を増やし、結果的にサイト訪問数の増加につながる戦略の一つとなります。

この可視性を高めるための施策がSEO(検索エンジン最適化)です。近年のSEOは、単にキーワードを羅列するのではなく、ユーザーの検索意図を深く理解し、質の高い情報を提供することに重点が置かれています。特にECサイトにおいては、商品情報やレビューといった多岐にわたる情報を正確に伝えることが重要になります。

しかし、検索エンジンは人間のように直感的に情報を理解するわけではありません。ウェブページに書かれた内容を、より正確かつ効率的に伝えるための強力な手段が、構造化データです。これにより、検索エンジンはサイトの情報を明確に認識し、検索結果での表示を最適化できるようになります。

1-2. なぜ今、構造化データが注目されるのか

近年、構造化データがSEOにおいて重要視されているのは、主に以下の3つの要因が背景にあります。

  • 検索エンジンの進化
    Googleなどの検索エンジンは、ユーザーの検索意図をより正確に理解するため、AIや機械学習を活用したアルゴリズムを導入しています。構造化データは、これらのアルゴリズムがページの内容を深く理解するのを助けます。

  • リッチリザルトの普及
    構造化データを実装することで、検索結果に商品画像、価格、評価などが表示されるようになります。これをリッチリザルトと呼び、検索結果上での視認性が高まり、クリック率の向上が期待できます。

  • 音声検索やAIアシスタントの台頭
    SiriやGoogleアシスタントなどの音声検索は、構造化されたデータを活用してユーザーの質問に直接答える傾向があります。これにより、音声検索からの流入機会も増えます。

  • AI検索からの流入確保
    構造化データの実装に伴い、検索エンジンだけでなくAIによるページ・サイト理解も深まり、AIに引用されやすくなります。

これらの要因から、構造化データは単なるSEOテクニックにとどまらず、ECサイトが検索エンジンからの集客を最大化し、競争優位性を確立するための、現代のSEO戦略において不可欠な要素となっています。

▼リッチリザルトについて知りたい方は、こちらもご一読ください。
「リッチリザルトとは何か?導入のメリットと実装の際に注意すべき点」

2. 構造化データとは何か?

2-1. 構造化データの定義と仕組み

構造化データとは、ウェブページ上の情報を、検索エンジンが理解しやすいように、あらかじめ定義された語彙(ボキャブラリー)を用いてマークアップ(タグ付け)したデータのことです。具体的には、HTMLコード内に特別なタグや属性を追加することで、ページ内の各要素がどのような情報(例:商品名、価格、レビュー、イベント日時など)を表しているのかを明確に指示します。

このマークアップには、主に「Schema.org」というウェブサイトで定義されている語彙が利用されます。Schema.orgは、Google、Microsoft、Yahoo!、Yandexといった主要な検索エンジンが共同で開発・推進しているボキャブラリーであり、非常に多岐にわたるエンティティ(実体)やプロパティ(属性)を定義しています。例えば、「Product」というエンティティには、「name(商品名)」「price(価格)」「description(説明)」「image(画像)」「offers(提供情報)」といったプロパティが定義されています。

▼構造化データの基礎知識について知りたい方は、こちらの記事もご一読ください。
初心者向け!構造化データとは?SEOに必須な理由をわかりやすく解説

構造化データを実装する際に用いられる主なマークアップ形式は、以下の3つです。

  • JSON-LD (JavaScript Object Notation for Linked Data)
    JavaScriptのオブジェクト記法をベースにしたデータ形式です。HTMLのheadタグ内、またはbodyタグ内の任意の場所に記述できます。他の形式と比較して、HTMLコード自体を大きく変更する必要がなく、管理しやすいというメリットがあります。Googleが推奨する形式であり、多くのECサイトで採用されています。
  • Microdata
    HTMLの属性(itemscope, itemtype, itempropなど)を用いて、既存のHTML要素に構造化データを埋め込む形式です。HTMLコードと一体化するため、管理が複雑になる場合があります。
  • RDFa (Resource Description Framework in Attributes)
    HTML5の属性を利用して、RDF(Resource Description Framework)のデータを埋め込む形式です。Microdataと同様に、既存のHTMLに直接記述されます。

これらの形式で、ウェブページ上の個々の情報要素に意味を持たせることで、検索エンジンはページの内容をより正確に解釈し、検索結果での表示方法を最適化することができます。

2-2. 構造化データがECサイトにもたらすSEO効果

構造化データは、ECサイトに具体的なSEO効果をもたらし、主な効果は以下の通りです。

  • クリック率(CTR)の向上
    構造化データを適切に実装することで、検索結果に商品画像、価格、レビューの星評価などが表示されるようになります。これを「リッチリザルト」または「リッチスニペット」と呼びます。
    例えば、商品ページに「Product」や「Review」の構造化データを実装することで、検索結果に商品画像や価格、平均評価が表示されるようになります。これにより、ユーザーは検索結果上でより多くの情報を得られることができ、結果的にクリック率(CTR)の大幅な向上が期待できます。

  • 検索エンジンからの評価向上によるランキングへの間接的影響
    構造化データは、検索エンジンがウェブページの内容をより正確かつ詳細に理解するのを助けます。これにより、検索エンジンはユーザーの検索クエリに対して、より関連性の高いページとして認識しやすくなります
    Googleは構造化データが直接的なランキング要因であるとは明言していませんが、リッチリザルトの表示や、検索意図との合致度を高めることで、間接的にランキング向上に寄与する可能性は高いと考えられます。
    近年では、AI検索も発展しており、より複雑なユーザーの質問に対し、構造化データが回答の根拠として利用される場面も増えています。

  • 音声検索からの流入機会の増加
    近年、スマートスピーカーやスマートフォンでの音声検索の利用が拡大しています。音声アシスタントは、構造化データによって明確に定義された情報(例:「〇〇円で買える△△は?」)を、より正確に音声で回答することができます。ECサイトの商品情報などに構造化データを適用することで、音声検索からの流入を獲得する機会が増える可能性があります。

  • Googleショッピングなどの特定機能への対応
    Googleショッピングなどの検索機能では、構造化データは必須とも言えます。商品名、価格、画像、ブランド名などの構造化データが正しく実装されていることで、これらの検索機能からの流入を効果的に獲得できます。

これらのSEO効果は、ECサイトの集客戦略において、トラフィックの増加、コンバージョン率の向上、そして最終的な売上増加に大きく貢献するものです。

3. ECサイトで活用すべき主要な構造化データとその実装方法

ECサイトの集客効果を最大化するためには、サイトの特性に合わせて適切な構造化データを実装することが重要です。ここでは、ECサイトで特に活用すべき主要な構造化データ「商品」「パンくずリスト」「よくある質問」とその実装方法について解説します。

3-1. Product(商品)の構造化データ

「Product」の構造化データは、ECサイトの商品ページにおいて最も基本的かつ重要なものです。これにより、商品名、画像、説明、価格、在庫状況、ブランド、レビュー、評価といった商品に関する詳細情報を検索エンジンに伝えることができます。

「Product」でマークアップすべき主なプロパティ (@type: Product/Offer):

プロパティ名必須・推奨記述内容
name必須商品名
image推奨商品画像のURL、複数指定可能
description推奨商品の説明文
brand推奨ブランド情報
sku推奨在庫管理単位(SKU)
gtin推奨国際識別番号(JANコード、EANコードなど)
offers必須販売情報
aggregateRating推奨レビューの集計情報
review推奨個々のレビュー情報
price必須価格
priceCurrency必須通貨コード(例: JPY, USD)
availability推奨在庫状況(例: https://schema.org/InStock)
url推奨商品ページのURL

実装方法(JSON-LD形式の例):


3-2. Review(レビュー)とAggregateRating(評価の集計)の構造化データ

ECサイトでは、ユーザーによる商品レビューは購買意欲に大きく影響します。ReviewとAggregateRatingの構造化データを実装することで、検索結果に平均評価(星の数)やレビュー数を表示させることができ、クリック率の向上に繋がります。

「Product」の構造化データ内にaggregateRatingやreviewとして含めるのが一般的ですが、レビューページ自体に特化したマークアップも可能です。
実装方法については、「3-1. Product」の例を参照してください。

AggregateRatingでマークアップすべき主なプロパティ(@type: AggregateRating):

プロパティ名必須・推奨記述内容
ratingValue必須平均評価点(例: 4.5)サイト上の表示と構造化データで一致させる必要があります。
reviewCount必須レビュー数(例: 120)

Reviewマークアップすべき主なプロパティ (@type: Review):

プロパティ名必須・推奨記述内容
author必須レビュー投稿者、個人名(Person)または匿名(Anonymous)などで指定します。
datePublished必須レビュー投稿日(ISO 8601形式)
name推奨レビューのタイトル
description推奨レビュー本文
reviewRating必須評価点
itemReviewed必須レビュー対象のアイテム

3-3. BreadcrumbList(パンくずリスト)の構造化データ

パンくずリストは、サイト内でのユーザーの現在地を示し、ナビゲーションを容易にするためのものです。検索エンジン側に対しては、サイトの構造を理解させるのに役立ちます。

▼パンくずリストについて、より知りたい方についてはこちらもご一読ください。
パンくずリストとは?SEO効果を高める設定方法を解説

「BreadcrumbList」でマークアップすべき主なプロパティ (@type: BreadcrumbList):

プロパティ名必須・推奨記述内容
itemListElement必須各パンくず要素の配列

階層化されたプロパティの詳細
itemListElement (@type: ListItem)

プロパティ名必須・推奨記述内容
position必須リスト内での順序(1から開始)
item必須リンク先の詳細情報

実装方法(JSON-LD形式の例):

3-4. HowTo(ハウツー)とFAQPage(よくある質問)の構造化データ

ECサイトでは、商品の使い方や購入方法、あるいはよくある質問に関する情報を提供することが、ユーザーの疑問解消や購入の後押しに繋がります。これらの情報を構造化データとしてマークアップすることで、検索結果に「リッチスニペット」として表示され、ユーザーの関心を引きやすくなります。

HowTo(ハウツー)の構造化データ(@type: HowTo):

プロパティ名必須・推奨記述内容
name必須手順全体のタイトル
description推奨手順の概要

FAQPage(よくある質問)の構造化データ(@type: FAQPage):

商品に関するFAQ(よくある質問)ページに適用し、質問と回答のペアをマークアップします。これにより、検索結果に質問と回答が直接表示される「リッチスニペット」として表示される可能性があります。

プロパティ名必須・推奨記述内容
mainEntity必須質問と回答の配列
name必須質問文
acceptedAnswer必須回答の詳細情報
text必須回答文

実装方法(JSON-LD形式の例):

4. 構造化データを実装する上での注意点とガイドライン

構造化データを実装する際には、その効果を最大限に引き出し、検索エンジンからのペナルティを避けるために、いくつかの注意点とガイドラインを遵守する必要があります。

4-1. Googleの構造化データガイドラインを遵守する

構造化データを実装する際は、Googleのガイドラインを遵守することが不可欠です。マークアップする情報は、ウェブページ上で実際に表示されている内容と一致させる必要があります。偽の情報や誤解を招くようなマークアップは厳禁です。

また、「Product」や「Review」といったスキーマタイプごとに、必須プロパティと推奨プロパティが定められています。リッチリザルトを適切に表示させるためにも、可能な限り関連するすべてのプロパティをマークアップしましょう。

最も重要なのは、構造化データがユーザーへの価値提供を目的としているという点です。検索エンジンを欺くためではなく、ユーザーがより多くの情報にアクセスできるよう、正確な情報を付与することを心がけましょう。最新のガイドラインは、Googleの公式ドキュメントで常に確認してください。

Googleの構造化データに関する公式ドキュメント(https://developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data

4-2. 構造化データのテストと検証

構造化データを実装した後、それが正しく機能しているかを確認するために、必ずテストと検証を行う必要があります。

  • リッチリザルト テスト (Rich Results Test)
    Googleが提供するツールであり、構造化データがGoogleのガイドラインに準拠し、リッチリザルトとして表示される可能性があるかをサイトから検証することができます。
    [https://search.google.comcom/test/rich-results/](https://search.google.com/test/rich-results/)
  • スキーマ マークアップ検証ツール (Schema Markup Validator)
    Schema.orgが提供するもので、マークアップされたデータがSchema.orgのボキャブラリーに沿っているかを確認できます。リッチリザルト テストとは異なり、Google固有のルールではなく、Schema.orgの定義に基づいた検証を行います。
    https://validator.schema.org/

  • Googleサーチコンソール (Google Search Console)
    Googleサーチコンソールをウェブサイトに設定している場合、「拡張機能」レポートで、構造化データのエラーや検出状況を確認できます。ここでは、特定のスキーマタイプ(例:Product、FAQ)ごとにエラーが表示されるため、問題の特定と修正に役立ちます。
    https://search.google.com/search-console/

これらのツールを定期的に使用し、実装した構造化データが正しく機能しているかを確認することが、SEO効果を維持・向上させる上で不可欠です。

4-3. 既存のSEO対策と組み合わせる

構造化データは単体で効果を発揮するものではなく、既存のSEO対策と組み合わせることでその効果を最大化できます。

構造化データはコンテンツの内容を検索エンジンに伝えるための「ラベル」に過ぎません。まずはユーザーに価値ある高品質なコンテンツを提供することが不可欠です。商品名や説明文には、ターゲットとするキーワードを自然に含めましょう。

また、サイトのクロール性や表示速度など、基本的なテクニカルSEOが最適化されていることが前提となります。構造化データを実装しても、サイトの基盤が不安定であれば期待する効果は得られません。さらに、サイト内の適切な内部リンクや、優れたユーザーエクスペリエンス(UX)も重要です。構造化データでクリック率が向上しても、ランディングページが見づらければユーザーはすぐに離脱してしまいます。

これらの要素を総合的に改善することで、構造化データが真価を発揮し、ECサイトのSEO効果を最大化できます。

5. まとめ:構造化データの活用でECサイトの持続的成長につなげよう

今回は構造化データについて、詳しい実装方法と共にご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

競争が激化するEC市場において、検索エンジンからの安定した集客はビジネス成長に不可欠です。本記事で解説したように、構造化データは検索エンジンにサイト情報を正確に伝え、検索結果での視認性を高める有効な手段となります。

「Product」や「Review」といった構造化データを活用することで、競合サイトとの差別化を図り、集客効果を最大化できます。今後もその重要性は増していくため、変化に柔軟に対応し、構造化データを活用したSEO対策を継続的に実施していきましょう。

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