Vacation は、「休暇」という意味ですが、英語の辞書では「家から離れ楽しむ、(一般に)旅行する」と説明されていて、vacation という一つの単語で、「旅に出る」という意味を内包しています。また、vacation は、主にアメリカで使用されます。イギリス英語では、holiday です。ただし、もちろんただの「休日」や「祝日」の意味もあるので、旅行を楽しむ「休暇」という検索意図と乖離するおそれがあります。「パッケージツアー」やそれを略した「パックツアー」は和製英語で、英語では「vacation package」や「package holiday」での検索数が多く「tour」の代わりに「休暇」を意味する単語が使われていることがわかります。
旅の「モデルコース」も和製英語で、英語では「旅程」を意味する「itinerary」の検索数が多く、近頃、話題の AI 機能でも「AI で簡単に旅行プランをたてる」際に使われる単語は、圧倒的に「itinerary」です。検索レポート|ホテル業界 でもご紹介しましたが、日本の宿泊施設ペンションは、英語では「年金」という意味になってしまうので、アコモデーションやベッド・アンド・ブレックファストなどへ訳す必要があります。
英語キーワード | 日本語キーワード | 月間平均検索ボリューム | ||
米国 | 英国 | 日本 | ||
vacation | 休暇 | 201,000 | 18,100 | 12,100 |
holiday | 休暇 | 246,000 | 368,000 | 12,100 |
vacation package | パッケージツアー | 74,000 | 320 | 1,600 |
package holiday | パックツアー | 590 | 74,000 | 1,600 |
model course | モデルコース | 210 | 210 | 720 |
travel plan | 旅行プラン | 12,100 | 8,100 | 3,600 |
itinerary | 旅程 | 165,000 | 40,500 | 4,400 |
accommodation | 宿泊施設 | 110,000 | 110,000 | 60,500 |
bed and breakfast | ペンション | 201,000 | 49,500 | 40,500 |
人との対面接触が著しく制限されたコロナ禍が終息したあと、旅行に行けなかった欲求不満を解消する「revenge travel(リベンジ旅行)」が盛んになるだろうと予測されていました。SDGsに関連した環境に負荷のかからないツアーや、先住民文化など旅先の文化をより深く体験できるアクティビティも注目されています。ただ、「indigenous culture(先住民文化)」の検索ボリュームが少ないのは、英語では、「先住民文化」と、漠然と広く浅く検索するのではなく、旅行者個人個人が、見に行ってみたい固有の民族名、例えば「maori people(マオリ民族)」のように、特定の固有名詞を検索する特徴があります。また、コロナで大切さが身にしみた心身の健康を促進するオプションにも関心が高まっています。
英語キーワード | 日本語キーワード | 月間平均検索ボリューム | ||
米国 | 英国 | 日本 | ||
revenge travel | リベンジ旅行 | 1,600 | 170 | 320 |
sustainable travel | サステナブル トラベル | 1,000 | 880 | 590 |
sustainability in travel and tourism | サステナブル ツーリズム | 1,600 | 1,000 | 1,300 |
responsible travelling | レスポンシブル ツーリズム | 720 | 2,900 | 480 |
indigenous culture | 先住民文化 | 1,300 | 170 | 20 |
maori people | マオリ族 | 27,100 | 4,400 | 4,400 |
ainu people | アイヌ民族 | 12,100 | 1,900 | 40,500 |
cultural experiences | 文化体験 | 1,000 | 210 | 260 |
health and wellness retreats | ウェルネス リトリート | 18,100 | 5,400 | 110 |
thing to do(直訳では「やること」、おすすめや特集の意味)、places to visit(直訳は「訪れるべき所」、観光地の意味)、destinations(旅行の目的地)など、日本語の旅行関連キーワードからは、なかなか翻訳(特に機械翻訳)では導き出てこないキーワードがあります。hideaway(隠れ家)、getaway(逃避行)なども旅行関連の広告キャッチコピーには多用されますが、英語から日本語直訳は旅行関連キーワードでは、なかなか思いつかない単語ではないでしょうか。前述した、心身の健康を促進するオプションの「health and wellness retreats」の検索ボリュームが多いですが、この retreat も「隠れ家」という意味を持ちます。wellness は「心身ともに満たされた状態を目指す」という意味です。ぴったりとはまる日本語はまだなく、カタカナでもそれほど検索されていません。国境を開放し、観光業回復を支援している各国政府はじめ、2024年1月から韓国政府もはじめた「デジタル ノマド ビザ」は英語でも急上昇ワードです。
英語キーワード | 日本語キーワード | 月間平均検索ボリューム | ||
米国 | 英国 | 日本 | ||
thing to do | やること | 2,740,000 | 673,000 | 1,000 |
places to visit | 訪れるべき 場所 | 27,100 | 12,100 | 50 |
destinations | 目的地 | 33,100 | 6,600 | 2,900 |
Digital Nomad Visa | デジタル ノマド ビザ | 6,600 | 4,400 | 720 |
wellness resort | ウェルネス リゾート | 4,400 | 210 | 480 |
wellness vacations | ウェルネス・バケーション | 590 | 30 | 10 |
wellness activities | ウェルネス体験 | 1,600 | 210 | 30 |
health and wellness retreats | ヘルス&ウェルネス リトリート | 18,100 | 5,400 | – |
retreats | 隠れ家 | 40,500 | 12,100 | 14,800 |
【出典元】※1 Discover the hottest new trends | Exploding Topics