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    2022.10.28

ベトナム進出における基礎情報2022

目次

法人設立の3つのメリット

ベトナムにおける法人設立のメリットとデメリットについてまとめました。
※ここで取り扱う内容はあくまでも一般的な内容で、特定の企業や業種向けの情報は個別に調査が必要になります。

メリット1:勤勉な労働力、日本語人材が豊富

2020年現在、ベトナムの人口は約9,734万人と言われています。

ASEANの市場は6億人と言われていますが、ベトナムはこの中でも3番目の人口を誇ります。国民の平均年齢は28歳と低く、人口構成が若いため、教育可能な労働力が多いのです。
また、国民の民度も日本のように勤勉な国民性が特徴で、仕事に対する姿勢も真面目といわれています。

様々な業種において、東南アジア諸国の中でも労働力の質は高いと言われています。
さらにベトナム国民は親日的と言われているので、友好的な関係を作り易くプロジェクトをスムーズに進めることができます。
日本語の人材も他のASEAN諸国と比較して数も質も良いと言われています。

加えて、2020年にベトナム統計総局が行った調査によると、ベトナム全国の平均賃金(月収)は4,249,150VND(約2万1千円)という状況で、この10年で所得は倍増しているとはいえ日本や他の国と比較してもまだまだ低い水準にあり、優秀な人材確保がしやすい環境が伺えます。

メリット2:安定した政治情勢

ベトナムといえば冷戦時代に南北が争う「ベトナム戦争」を経験している国です。
国名が「ベトナム社会主義共和国」ということからも分かるように、共産党一党による政治体制が続いています。
一見政治的に不安定なイメージに見られがちですが、過去には東西、現在でいえば中国と西側諸国との距離感を非常にうまく保つことを実践している国でもあります。

ハノイを中心とした北ベトナムは中国寄りと言われ、政治や文化を中心に中国と深い結びつきを持っています。ホーチミンを中心とした南ベトナムはベトナム戦争時代に国外に逃れたいわゆる「越僑」が近年では帰国する機会が増えるなどして、西側諸国との連携により経済を牽引している印象があります。

この絶妙なバランスが、長期にわたる安定した政治情勢を下支えしていると言えます。

メリット3:経済成長が著しい

これは他の東南アジア諸国にも言えることですが、ベトナムは2019年のGDP成長率が7.0%と高水準にあります。加えて、2000年から2019年までの間、毎年GDP成長率5%以上を継続している数少ない国のひとつでもあります。
このことは前述した政治の安定にも関連してきますが、単純にベトナムに対する他国の需要だけではなく、国として外資をうまく取り込もうとする数々の政策が功を奏している部分も伺えます。

また、香港やシンガポールであれば金融、タイであれば製造業といった外資依存による産業の偏りも少なく、幅広い業種で投資の機会があることも安定的な成長の背景にあります。

法人設立をするためのステップ・必要書類

続いてベトナムで法人設立するためのプロセスと必要書類についてまとめてみました。 ベトナムに進出するには、会社の形態が主に「現地法人」「支店」「駐在員事務所」「プロジェクト企業」の4つがあり、それぞれ条件が異なりますが、大まかな流れはおなじですので以下のステップを参考に展開を進めることで法人設立が可能となります

1)現地調査

まずは現地調査。
ベトナムは国の北と南で大きく国民性や文化が異なります。
社会主義の雰囲気が色濃く残る北のハノイと、ベトナムの中では一番資本主義が進んでいる南のホーチミン。それぞれ環境が異なるので、事業との親和性から事前に検討が必要になります。

2)オフィスをきめる、契約する

ベトナムの不動産価格は、他の東南アジアの大都市と比較してもそれほど高額にはなりません。ただ家賃の上昇が続いていることは事実なことと、電車やバスといった公共交通機関が発達していない部分からも立地条件はよく検討するのが望ましいと言えます。

スモールスタートの事業規模であれば、レンタルオフィス、バーチャルオフィス等を活用して事業を進めながら拠点を吟味しているのも方法の一つと言えます。
因みにベトナムの一般的なオフィスの賃借契約は1年間毎の更新で、契約時に保証金として家賃の1ヶ月分を支払うことが多いです。

3)書類を用意する、登記する

続いて法人設立の為の書類、登記です。
会社の設立だけであれば2~3週間程度で登記が可能ですが、事務所の整備(インフラ、什器等)、口座の開設、人材の採用などを含めると2ヵ月程度は必要と言えます。
尚会社登記に際しては、以下の書類が必要になります。

・本社の登記簿謄本
・本社の会社定款
・本社の決算報告書(直近2期分)
・現地不動産の賃貸契約書
・現地不動産の関連書類(一部公証が必要)
・本社代表者のパスポート
・現地法人代表者のパスポート

また、投資額や事業の分野(業界)によっては申請する内容が異なる為、注意が必要です。
一般的には投資額が3,000億ドン未満で、かつ投資規制業種でない場合には、省・市人民委員会または工業団地管理委員会へ投資登録申請を行います。書類に不備がない場合には、受理されてから15日以内に投資証明書が発行されます。投資額が3,000億ドン以上の場合、投資許可申請に加え、案件に応じて首相、計画投資賞(MPI)、人民委員会、工業団地委員会と決定権者が異なります。書類の受理から45日以内に投資証明書が発行されます。

4)恩典制度の申請

ベトナムでは、外資系企業に対して政府からの優遇制度が充実していると言われています。
ベトナムでは以下の条件で進出を行った場合、法人税の優遇税率に加えて、外資企業及びBCCプロジェクトに参加する外国当事者は、2~4年間法人税が免除されます。更にその先の4年~9年目迄は法人税が50%減税されます。

・政令124の付表に基づく特別に社会的・経済的に困難な地域
・経済特区及びハイテク団地
・特定のセクター

ベトナムでは、輸入関税が免除または減免される製品がありますので、自社の製品や展開と併せてどのような分野で進出するかを検討しましょう。

5)会計代行・監査代行委託

ベトナムには日系企業の進出が増えており、日本語対応可能な会計代行会社も多数存在します。代行会社に外注することで会計問題は解決できます。

自社で専門の会計を置いて対応することも可能ですが、最初のうちは日本語で依頼できる会計代行会社にお願いするのが良いかもしれません。また、ベトナムの主要都市には、現地の日本商工会があり、それらから最新の税務の状況や動きを確認することも可能なので、はじめのうちに日本語でベトナム税務を押さえるのが良いでしょう。

ベトナムの会計制度を理解した上で進出の人員や規模を検討しましょう。大きく分けると、「個人所得税」、「法人税」、「付加価値税」、「外国契約者税」などの税金があります。個人所得税に関しては、原則20%です。付加価値税は10%です。

6)銀行口座の開設

ベトナムへの進出が決まったら、なるべく早いタイミングで銀行口座を開設しておきましょう。ベトナムで会社設立をする場合、資本金を払う口座と通常支払い口座の2種類の口座を開設する必要があります。
この2種類は、同じ銀行である必要はありません。資本金口座を、円建てが可能で安心感もある日系の銀行に依頼し、通常の口座を、手数料の安いローカル銀行に依頼するケースが多いようです。

以下の書類を準備することで口座開設が可能となります。

・投資許可証
・企業登録証明書(税コード証明書)
・印鑑サンプル掲載通知書

7)採用

ベトナムで採用活動をする場合、都市部であれば日本語人材も採用可能ですが、現在ベトナムへの日本企業の進出も増加しており、給与相場も上昇しています。
人材紹介会社等に情報収集しながら適正相場で採用するのが良いでしょう。

ベトナムのWEBプロモーション事情

続いてベトナムにおけるWEBプロモーションについて触れておきたいと思います。
本記事では特に特徴的な部分についてのみまとめさせていただきました。

エンジンはGoogle一択

まず検索エンジン対策に関しては、多くの他の国同様にGoogle一択で問題ないと言えます。

ベトナムでも検索エンジンにおけるGoogleのシェアは90%を超えており、対策をするのであればまずGoogleからというのがセオリーになります。また、Googleは世界中の検索エンジンの中でも最も進化したアルゴリズムを保有しているという観点でも、Google対策をおさえておけば、他のエンジンにも概ね対応できるという観点でGoogle一択で問題ありません。

広告はGoogle・Facebookが効果的

続いて広告の出稿に関してはGoogleとFacebookをおさえるところから進めるのが良いでしょう。Googleは検索エンジン対策だけではなく、ディスプレイネットワークも活用できます。

一方SNSユーザーに対しては、現在利用者が圧倒的に多い媒体としFacebook広告が有効と言えます。Instagramに関しては、一般的ではないものの、一部の情報感度の高いユーザーには有効な施策になり得るため、ターゲットによっては活用の価値があります。

また、近年ではYouTubeの視聴者数も増えてきているので、優先順位としてはGoogleやFacebookの次にはYouTube上への広告も検討の余地はあります。

加えて、ベトナム独自のメッセージアプリケーションとして利用されているZaloですが、こちらについては訴求できるターゲットや広告プラットフォームの状況などからも、事前の調査は慎重に実施するのが良いでしょう。

その他注意、配慮するべき事

回線速度に配慮が必要

ベトナムでも一般家庭で光回線化が進み、高速インターネットの利用率は上がってきています。しかしながらまだ発展途上で、日本並みに環境が整っているとは言い切れません。
また、光回線自体も日本同じ水準の速さや快適さが確立してはないことや、時より海外への通信速度が著しく低下する事もあると言われています。

ベトナムへの広告出稿時やWEBサイトによる情報提供などを検討している場合には、日本基準ではなく、現地基準でストレスなく閲覧できるWEBサイト、広告クリエイティブを制作する必要があります。

ベトナム語独自の対策にも注意を

ベトナム語のSEO(検索エンジン最適化)やキーワード広告を実施する場合、ベトナム語独自の表現への対応等は注意する必要があります。
ベトナム語には日本語でいう濁点の様な表現方法があり、これにより検索エンジンでの表示結果やパフォーマンスが変化してきます。そのため、広告出稿前やWEBページ制作時、執筆時などは成果が期待できるかを念頭に入念な確認が必要になります。

まとめ

今回はベトナムにおける設立に関する諸情報とWEBプロモーションについてまとめてみました。ベトナムは「社会主義国」という印象が強く、確かにその名残ともいえる文化や風土が残っていることも事実です。ただ一方では積極的に外資を受け入れていこうとする政府の方針も垣間見れる為、投資先としては魅力的な国の一つと言えます。

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