Threads広告活用ガイド:Meta社の”テキストでつながるSNS”の基礎知識を解説
2025年4月、日本国内を含むグローバルで「Threads広告」の配信が開始されました。Meta社が提供する広告としては、InstagramやFacebookに続く新たな選択肢として大きな注目を集めています。本記事では、2025年6月時点での最新情報をもとに、ThreadsというテキストベースSNSの基本から広告機能の概要、運用ポイント、今後の展望までを網羅的に解説します。
1. Threads(スレッズ)とは? – テキストベースのコミュニケーションSNSを理解する
Threadsの概要と開発背景
Threadsの実際の画面イメージ(左から:ログイン画面、フィード画面、プロフィール画面。出典:Meta Newsroom)
Threadsは、Instagramチームが開発したテキスト中心のコミュニケーションプラットフォームです。Instagramのアカウント情報を活用して簡単に開始でき、ユーザー同士がリアルタイムで情報交換や意見表明を行うために設計されています。
Threadsの主な機能
- テキスト投稿
最大500文字まで。短文での意見共有やトレンド発信に適した設計
- マルチメディア共有
写真(複数枚投稿可)や最大5分間の動画がアップロード可能
- リンク共有
投稿内に外部リンクを挿入でき、情報源への誘導に活用可能
- コミュニケーションを活性化する機能
リプライ(返信)、リポスト(拡散)、引用投稿(引用元にコメントを添えて再投稿)
- 検索とトピック設定
ユーザーやキーワード検索機能、ハッシュタグに近い「トピック」を投稿に1つ設定可能
Threadsの利用状況とユーザー傾向(2025年5月時点)
急速に拡大するユーザーベース
グローバル:2025年初頭に月間アクティブアカウント数が3億超と報告され、アジア地域を中心に成長中
日本国内:2024年6月には1,000万人以上が利用していたとされ、今も堅調に増加
利用目的・シーン
- ニュースやトレンドなどのリアルタイム情報交換
- 日常の出来事や意見を短いテキストで気軽に発信
- 趣味や専門分野の議論、コミュニティの交流
- ブログほど長文ではないものの、ある程度まとまった思考や情報の整理・発信
- X(旧Twitter)との使い分け・住み分けを意識しているユーザーも多い
プラットフォームの活性度とカルチャー形成
Threads上では、ユーザーが自発的に短い投稿でやりとりを繰り返し、瞬時に話題が拡散することが珍しくありません。ネットミームやパロディが生まれやすい土壌を持ち、企業がこうしたトレンドにいち早く反応することで、ユーザーとの親和性を高められる可能性があります。
ユーザー属性の傾向
- Instagramからのアカウント作成の容易さから、既存Instagramユーザーとの親和性が高い
- 新しいトレンドに敏感なアーリーアダプター層が多く流入
- 企業やクリエイターが積極的に情報発信し、ユーザーとダイレクトにつながるケースも増加
2. Threads広告とは? 基本情報を押さえる
Threads広告の提供開始と現状
2025年4月、テスト配信を経て日本を含む30カ国以上でThreads広告が正式スタート。Meta広告マネージャ(Facebook広告やInstagram広告と同じ管理画面)を通じて配置を行えるようになりました。
Threads広告の主な特徴
Threads広告には、以下のような際立った特徴があります。
- Instagramとの連携効果
Instagramのユーザーベースとアカウント情報を活用し、効果的なリーチ拡大が期待できる
- テキストコミュニケーションに特化した層への訴求
情報収集や意見交換に積極的なユーザー層へダイレクトにアプローチ
- Metaのターゲティング機能が利用可能
年齢、性別、興味関心、行動データなど詳細な設定が可能
- 競合が比較的少ない新興広告面
先行者利益を得られるチャンスがある
Threads広告を検討する上での考慮点
新しい広告配信面であるため、以下の点も念頭に置いて戦略を検討する必要があります。
- ユーザーの広告受容性
未だオーガニック投稿中心であるフィードに広告が入るため、クリエイティブの質が鍵
- 機能と分析データの発展途上性
広告フォーマットやレポーティング機能が今後さらに拡充される見込み
- DM機能の不在(2025年6月現在)
個別サポートや問い合わせ対応には別のチャネルを活用する必要あり
- 配信量の安定性
導入期であるため、インプレッションが安定するまでに時間がかかる可能性あり
3. Threads広告のフォーマット・配信面・ターゲティングなど
2025年5月の時点で、Meta公式ドキュメントにもとづき確認されている内容は以下のとおりです。
参考:https://www.facebook.com/business/help/655859553779869
利用可能な広告フォーマット
画像広告

ファイル形式
JPGまたはPNGを推奨
アスペクト比
16:9~9:16をサポート
*1:1(正方形)や9:16(縦長)を推奨
*1:1より縦長の画像は、トリミングされて表示される場合あり
解像度
1440 x 1440ピクセルを推奨
メインテキスト
80~160文字を推奨(最大500文字まで可)
*メインテキスト内でのハッシュタグおよびURLの使用はサポートされていない
見出し
最大40文字で設定可能だが、Threadsフィード上では表示されない可能性が高い
CTAボタン
Threadsフィード上では未表示。クリック誘導は主にテキスト内リンクまたは画像タップから
今後の拡充
Metaは公式に、動画広告やカルーセル広告の導入を計画しているとアナウンスしています。新情報のリリースを逐次チェックすることが重要です。
広告の掲載場所
Threadsフィード:オーガニック投稿が並ぶタイムラインに広告が差し込まれる形で表示
ターゲティング
他のMeta広告(InstagramやFacebook)と同様に、年齢・性別・地域・興味関心・行動データなど細かく設定可能。
対応している広告の目的
「認知」「トラフィック」「売上」の三種類。
4. Threads広告で成果を出すためのポイント
Threads広告の運用効果を最大化するために、以下のポイントを意識しましょう。
プラットフォーム特性を踏まえた訴求
- テキスト中心
簡潔で魅力的なコピーや問いかけでユーザーの興味を引く
- リアルタイム性
時事的な話題やトレンドを意識した訴求が効果的
- 比較的ポジティブなコミュニケーション
一方的な売り込みは敬遠されやすいので、共感を呼ぶ文面が重要
クリエイティブの自然さ
- オーガニックな投稿との親和性
あからさまな宣伝臭を出さず、ユーザーのタイムラインに溶け込む演出を意識
- キャッチーなテキスト
スクロールが早い環境なので、端的かつ印象的なフレーズ設定がカギ
- 画像の品質
高解像度かつブランドと関連性の高いビジュアルで、注目度を高める
CTA(コール・トゥ・アクション)の工夫
- ThreadsフィードにはCTAボタンが表示されないため、キャプションの末尾などに「詳しくはプロフィールから」等の明確な誘導文を配置
- 画像にテキストを添える場合も、シンプルな誘導要素を取り入れる
A/Bテストで最適化
- 画像やテキスト、ターゲット設定を複数パターン用意し、効果比較を繰り返しながら勝ちパターンを見出す
- データを蓄積してクリエイティブやターゲティングを微調整
オーガニック運用との相乗効果
- 自社アカウントの通常投稿が高いエンゲージメントを得ていれば、その要素(文体やビジュアルなど)を広告にも活かす
- 企業アカウントでユーザーとコミュニケーションを図り、フィードバックを得ながら広告クリエイティブを練り直す
ランディングページ最適化
広告からの流入先ページの内容や表示速度を見直し、モバイルフレンドリーかつ分かりやすい情報設計にする
5. Threads広告の注意点・デメリット
- 広告フォーマットの限定性
2025年5月現在、主流は画像広告であり、その他のリッチなフォーマットは今後の拡充待ちです。そのため、表現の幅が限られる可能性があります。
- ユーザーの広告疲れ・広告耐性
新しいプラットフォームでは、ユーザーが広告に慣れていない、あるいは広告の表示頻度に敏感である可能性があります。クリエイティブの質と配信頻度のバランスに注意が必要です。
- コンバージョン獲得への直接的貢献度
情報収集やコミュニケーションが目的のユーザーが多いと想定されるため、直接購入や資料請求などのアクションに結びつきにくい場合もあります。認知度向上など、長期的な視点でのKPI設定が重要となります。
- Metaプラットフォームへの依存
Meta全体のポリシー変更やシステム障害などの影響を直接受ける可能性があります。
- Threads面のみへの配信は不可
2025年6月現在ではThreads面のみへの配信はできず、Instagram面を含む必要があります。
6. Threads広告の今後の展望
ThreadsはMeta社が力を入れている新興プラットフォームのため、今後もさまざまな機能拡充が見込まれます。
- 広告フォーマットの多様化
動画広告やカルーセル広告など、表現力の高い形式の導入が進む見通し
- ターゲティング精度の向上
Threads内での行動データをより詳細に収集し、興味・関心カテゴリなどに反映
- AIによる広告最適化の高度化
Advantage+キャンペーンのような自動最適化機能がThreadsにも適用される見込み
- ショッピング機能の連携強化
Instagramショッピングとの連動による、発見→購入までのワンストップ化など
実際に、広告フォーマットについては、2025年5月の「IAB NewFronts 2025」にて以下のように動画広告のテストをアナウンスしています。
リーチを広げ、使い慣れた広告を使って複数のプラットフォームでオーディエンスに訴求できるようにするために、Threads動画広告をテストしています。
引用元:IAB NewFronts 2025: Metaがクリエイターとブランド向けの新たなソリューションを発表
まとめ:Threads広告の可能性を最大限に引き出すために
Meta社の新たなテキストベースSNS「Threads」への広告配信は、企業にとって、成長著しいプラットフォーム上で新しい顧客接点を創出し、ブランド認知の拡大やエンゲージメントの深化を実現する大きなチャンスを秘めています。特に、Instagramとの強力な連携や、Meta広告プラットフォームの精緻なターゲティング機能を活用できる点は、他の広告媒体にはない大きなメリットと言えるでしょう。
一方で、Threads広告はまだ新しい広告媒体であるため、ユーザーの反応や最適な活用方法については、まさにこれからデータと実践を通じて知見を蓄積していく段階にあります。本記事でご紹介した情報が、皆様のThreads広告導入・運用の一助となれば幸いです。
まずは少額のテスト配信からスタートし、自社の商品・サービス、そしてターゲット顧客とThreadsプラットフォームとの相性を見極めながら、クリエイティブの改善とターゲティングの最適化を繰り返していくことを強くお勧めします。
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