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    更新日:2025.06.13  公開日:2025.06.10

インバウンド向け広告(訪日外国人向け広告)の基本とプロモーション戦略:訪日外国人客へのアプローチ

近年、訪日外国人旅行者(インバウンド)の数は回復基調にあり、多くの企業にとってインバウンド市場は新たな成長機会として注目されています。このような状況下で、効果的にターゲットとなる訪日外国人旅行者へアプローチし、自社の製品やサービスを認知・利用してもらうためには、訪日プロモーション、特にインバウンド向け広告の活用が不可欠です。

本記事では、インバウンド向け広告の基本的な知識から、効果的な訪日プロモーション戦略の考え方までを分かりやすく解説します。

1. インバウンド向け広告(訪日外国人向け広告)とは?

インバウンド向け広告とは、訪日外国人(訪日客)をターゲットとし、日本国内での購買活動や観光体験を促進することを目的としたマーケティング手法の総称です。

具体的には、SNS広告、リスティング広告、動画広告など多岐にわたるチャネルを活用し、ターゲットの国籍・言語・習慣、そして「旅マエ/旅ナカ/旅アト」といった来訪フェーズに応じて最適なコミュニケーションを行います。

国内向けの広告とは、ターゲットユーザーの言語、文化、消費行動、主に利用するメディアなどが大きく異なるため、専門的な知識とローカライズ戦略が求められるのが特徴です。

2. インバウンド市場の最新データ

どのような広告戦略を描く上でも、まずは市場の現状をデータに基づいて正しく把握することが第一歩となります。

訪日外客数・消費額ともに過去最高を更新

指標2024年実績2019年比出典
訪日外国人数36,869,900人+15.6%(+約500万人)日本政府観光局(JNTO)2025/01/15 発表 (jnto.go.jp)
訪日外国人旅行消費額8.1兆円ロイター通信 2025/01/15 (reuters.com)
1人当たり平均消費額約22万円上記実績より試算
トップ5市場(年間累計)①韓国 8,818k②中国 6,981k③台湾 6,044k④香港 2,683k⑤米国 2,725kJNTO 同資料 (jnto.go.jp)

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2024年の年間を通じた訪日外客数は約3,687万人(2019年比115.6%)に達し、コロナ禍以前を大幅に上回る水準となりました。

また、同年の訪日外国人旅行消費額も約8.1兆円(前年比153%)と過去最高を記録しており、旺盛なインバウンド需要が継続していることがうかがえます。

国籍別の年間累計訪日客数では、以下の国・地域がトップ5を占めています。

  • 1位: 韓国(約882万人)
  • 2位: 中国(約698万人)
  • 3位: 台湾(約604万人)
  • 4位: 香港(約268万人)
  • 5 米国(約273万人)

特に、韓国、台湾、米国、そして中東地域などは2019年比でも高い伸び率を示しており、今後のプロモーションにおいても重要なターゲット市場と言えるでしょう。

3. インバウンド向け広告(訪日外国人向け広告)の目的と3つのフェーズ

インバウンド向け広告の施策は、ユーザーが旅行を計画し、体験し、帰国するまでの一連の流れ(カスタマージャーニー)に合わせて設計することが重要です。

旅マエ(訪日前):認知・興味関心・比較検討

目的: 日本や自社のサービスを知ってもらい、旅行先の候補に入れてもらう。
この段階のユーザー行動: SNSや動画サイト、Web検索で幅広く情報収集を行う。

旅ナカ(訪日中):購買・体験

目的: 店舗への来店を促し、商品購入やサービス利用に繋げる。
この段階のユーザー行動: 地図アプリでの検索、クーポン情報の収集、SNSでのリアルタイムな情報検索を行う。

旅アト(訪日後):共有・再訪意欲の醸成

目的: 良い体験をSNSなどでシェアしてもらい、新たな顧客の創出やリピーター化に繋げる。
この段階のユーザー行動: SNSへの写真・動画投稿、口コミサイトへのレビュー投稿。

4. 【目的・フェーズ別】インバウンド向け広告(訪日外国人向け広告)の主要手法9選

ここでは、インバウンドプロモーションで活用される主要な広告手法を、特に有効なフェーズと合わせてご紹介します。

手法特徴特に有効なフェーズ
1. リスティング広告検索キーワードに連動して表示。「日本のホテル」「東京 人気スポット」などニーズが明確な層に直接アプローチできる。旅マエ(比較検討)
2. ディスプレイ広告Webサイトやアプリの広告枠に表示。幅広い層にリーチし、日本の美しい風景などで旅行意欲を喚起する。旅マエ(認知)
3. SNS広告Facebook, Instagram, TikTokなどで配信。国や興味関心で詳細なターゲティングが可能。特に若年層へのリーチに強い。すべてのフェーズ
4. 動画広告YouTubeなどで配信。映像と音でサービスの魅力を直感的に伝え、視聴者の感情に訴えかける。旅マエ(興味関心)
5. インフルエンサー現地で影響力のあるインフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらう。信頼性が高く、リアルな体験として伝わる。旅マエ、旅アト
6. 位置情報広告訪日中のユーザーが特定のエリア(店舗周辺、観光地など)に入った際に広告を配信。来店促進に直結しやすい。旅ナカ
7. ライブコマース主に中国や東南アジアで人気。ライブ配信で商品を販売し、視聴者とリアルタイムで交流する。旅行商品の予約にも活用。旅マエ(購買)
8. タイアップ広告現地の有力なWebメディアや雑誌に記事広告を掲載。客観的な情報として受け入れられやすく、深い理解を促進する。旅マエ(比較検討)
9. Webサイト/SEO広告の受け皿となる最も重要なメディア。検索エンジンからの継続的な自然流入を獲得し、すべてのフェーズで情報を提供する。すべてのフェーズ

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5. インバウンド向け広告(訪日外国人向け広告)を成功させるための5つのポイント

多様な広告手法が存在しますが、それらを単独で実施するだけでは成果の最大化は望めません。インバウンドプロモーションを成功させている企業に共通する、5つの普遍的なポイントを解説します。

Point 1:データに基づきターゲット国を定める

訪日客数が多い国が、必ずしも自社にとって最適なターゲットとは限りません。 「訪日客数」「一人当たり消費額」「自社サービスとの親和性」を総合的に判断し、優先順位をつけることが重要です。まずはデータに基づいた戦略的な国選定を行いましょう。

Point 2:各国の文化に合わせたクリエイティブとメッセージを設計する

広告の成果は、ビジュアル(画像・動画)やキャッチコピーなどのクリエイティブに大きく左右されます。 国ごとに好まれるデザインのトーンや色使いは異なります。また、言語の壁以上に本質的な課題となるのが文化の壁であり、文化や宗教上のタブーにも配慮が必要です。ターゲット国の文化やトレンドを深く理解し、現地の人々の心に響くクリエイティブとメッセージを設計することが不可欠です。

Point 3:広告の成果を最大化する多言語Webサイトを用意する

どんなに優れた広告でユーザーを惹きつけても、クリックした先のWebサイトが日本語のみだったり、機械翻訳で意味が通じない文章だったりすれば、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。これは非常にもったいない機会損失です。

ユーザーが求める情報をストレスなく得られる、ネイティブ品質の多言語Webサイトは、すべてのインバウンド向け広告施策の成果を左右する「受け皿」であり、最重要のタッチポイントです。

Point 4:時期やテーマ性を考慮したキャンペーン企画を行う

ターゲット国の祝祭日や旅行シーズン、あるいは特定のテーマに合わせたキャンペーンは、関心を引きつけやすい施策です。

  • シーズナルプロモーション
    各国の大型連休(春節、国慶節、イースター、クリスマスなど)に合わせた特別プランやイベントを企画します。
  • テーマ型プロモーション
    「日本の伝統文化体験」「アニメ聖地巡礼」「豊かな自然を満喫するアクティビティ」など、特定の興味関心に特化した企画は、ターゲット層への訴求力を高めます。
  • トレンドの活用
    サステナブルツーリズム、ウェルネスツーリズムなど、新しい旅行の形に対応した企画も検討の価値があります。

Point 5:効果測定を行い、継続的に改善する

インバウンド向け広告は「出して終わり」ではありません。配信した広告がどれくらいのユーザーに見られ、どれだけクリックされ、最終的に売上に繋がったのかを測定・分析する必要があります。

「どの国の、どの広告クリエイティブの成果が高かったのか」といったデータを分析し、次の施策に活かしていく。このPDCAサイクルを回し続けることが、広告効果を最大化する上で最も重要です。

6. インバウンド向け広告(訪日外国人向け広告)における一般的な注意点

インバウンド向け広告の実施においては、以下のような点に注意を払っていく必要があります。

多言語対応の質とAI翻訳の適切な活用

AIによる機械翻訳は非常に便利ですが、広告コピーやブランドメッセージなど、企業の顔となる重要な部分を完全に任せるのはリスクが伴います。文化やニュアンスを汲み取った自然な表現でブランドの信頼性を守るためにも、ターゲット言語を母国語とする専門家によるチェックは不可欠です。

文化的タブーと価値観への深い配慮

国や文化によって、色や数字、シンボルなどが持つ意味は大きく異なります。意図せずユーザーに不快感を与えないよう、ターゲット国の文化や習慣を事前にリサーチし、配慮することが大切です。

インクルーシブな表現とアクセシビリティ

人種、性別、信条など、多様な背景を持つ人々を尊重し、誰もが心地よく情報を受け取れるインクルーシブ(包摂的)な視点が求められます。また、Webサイトにおいて画像の代替テキストを設定したり、動画に正確な字幕を付与したりといったアクセシビリティへの配慮も大切です。

プライバシー保護規制への対応(Cookieレス時代)

各国の個人情報保護規制(GDPR等)やCookieレス化への対応は必須です。プライバシーに配慮した新しい広告技術を常に把握し、適切に対応する必要があります。

グローバルな社会情勢・経済変動の影響

為替変動や国際情勢などは、インバウンド市場に直接影響します。外部環境の変化を常に把握し、迅速にプロモーションを調整できる柔軟な体制を整えておきましょう。

受け入れ態勢の整備

広告を見て興味を持ち来店されたお客様に対し、現場での多言語対応や決済手段が不十分では、顧客満足度の低下に繋がりかねません。オフラインでのスムーズな受け入れ態勢の整備も非常に重要です。

7. まとめ

インバウンド向け広告は、正しく理解し、戦略的に活用することで、大きなビジネスチャンスを掴むことができる有効な手段です。本記事でご紹介した基本知識やプロモーションの考え方が、貴社のインバウンド戦略の一助となれば幸いです。

ターゲット国の選定から、具体的な広告運用、効果測定、改善まで、一貫したサポートが必要な場合や、「何から始めれば良いか分からない」「より具体的な戦略について相談したい」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひお気軽にアウンコンサルティングまでお問い合わせください。

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