訪日2025:中国・香港・台湾の“いま”を読む
2025年7月の訪日外客は343.7万人で同月過去最高、1–7月累計は2,495.5万人(前年比+18.4%)。為替効果に加え、供給(路線・新規施設)と決済がよりシームレスになり、需要を押し上げています。主要3市場の足元は次のとおりです(2025年7月/1–7月累計)。
- 中国本土:97.45万人(+25.5%)/569.3万人(+47.9%)
- 台湾:60.42万人(+5.7%)/388.9万人(+9.5%)
- 香港:17.6万人(-36.9%)/144.7万人(-6.9%)
いずれも2025年9月5日時点の公表値・報道をもとに要約。(参考元:JNTO)
中国本土:高伸長×テーマ性の深化
ポイント
- 回復の牽引役。年初来の伸びが最も大きく、渡航目的は家族・親族訪問とレジャーの二つに分かれている。
- ビザ制度の段階的な緩和(数次査証の対象拡大や滞在日数の運用見直しなど)が、今後1〜2年程度の需要押し上げ要因となる。
- 訪問地の“面”が拡大:東京・関西に加え、高松・熊本・金沢など「二三线都市」(=大都市圏以外の地方中核・中堅都市)の検索・予約が上向き。
- 関心テーマは、アニメ/ゲーム聖地巡礼、和菓子・茶、職人系体験、温泉地の長め滞在。
- 決済はAlipay+や銀聯の広がりで、ドラッグストア・百貨店、交通系ICカードのチャージの即時購買が伸長。
提案
- 主要都市+地方ハブを2–3泊ずつ繋ぐ周遊導線(例:東京→金沢→能登/大阪→熊本→阿蘇)。
- 体験×決済特典のセット化(例:工房体験+タックスフリー店舗のクーポン、交通ICチャージ特典)。
- 聖地巡礼MAPの簡体字整備と撮影マナーの視覚化。
香港:短期のボラティリティ、長期の日本志向
ポイント
- 7月は台風・風評などの外部的要因で一時的に落ち込み。
- とはいえ日本は最有力の週末・休暇先。価格と為替に極めて敏感で、直前期のプロモーションに反応。
- 短期・高頻度の東京/大阪+1日地方など“ミニ分散”が主流。
- 決済はAlipayHK等の利用増で現地同等の感覚を実現。
提案
- 直前期フラッシュセール(3–10日前、週末出発)を為替訴求と抱き合わせ。
- 滞在36–72時間のモデルコース(深夜便入り→朝活→夜景・食)を繁体字・英語で。
- 悪天候・運休時の代替提案テンプレ(屋内体験・近郊温浴・美術館)を事前公開。
台湾:分散化の中核、家族・女子旅が牽引
ポイント
- 需要は安定成長。「混雑回避×在地体験」の志向が強く、静岡・山梨・熊本・横浜などが台頭。
- 愛知・長久手(ジブリパーク)は引き続き人気。沖縄北部の大型テーマパーク「JUNGLIA」(7/25開業)が親子客の新定番に。
- 冬季はスキー(11–2月)で北海道・長野への回帰継続。
- 食はご当地喫茶・夜市的体験や海鮮丼・和牛等の“分かりやすい贅沢”。
提案
- 親子向け:JUNGLIA+美ら海+北部自然のセットで2泊3日。
- 女子旅:静岡の茶・和菓子体験→山梨のワイナリー→河口湖フォト。
- スキー:リゾート内で完結するレンタル・託児・食の繁体字案内を充実。
共通トレンド:分散・体験・マナー・決済
- 分散化の本格化
東阪ゴールデンルートから、地方小都市・二拠点滞在へ。自治体の観光政策も時間帯・エリア分散を重視。
- 体験価値の重み
“撮るだけ”から参加・学び(工房・茶・酒蔵・農園・祭礼)へ。雨天代替・季節差分を用意する施設が評価されます。
- マナーと規制の明確化
京都・祇園の路地立入規制や宿泊税の見直しなど、「できる/できない」の可視化が進行。
- 無摩擦決済
Alipay+や銀聯対応の拡張で、交通・小売・飲食の即時購買が平準化。ポイント還元/即時クーポンが送客を押し上げ。
すぐにできる実務アクション(チェックリスト)
- 為替連動の価格訴求:店頭・LPに円建て実効値引きを明示(「本日レート参考」表示)。
- 地域分散の“理由づくり”:主要駅から60–120分で行ける体験を時短導線で紹介。
- 決済の見える化:店舗入口・LP・SNSに利用可能ウォレットのロゴを統一掲示。
- 多言語マナー案内:写真とアイコンでOK/NG をすぐ判断。
- 天候別プラン:雨天・猛暑・台風時の即時代替コースを予約導線付きで公開。
- 短編動画×縦型:各市場で15–30秒の縦動画(交通→体験→会計)を継続投下。
2025年Q4〜年明けの販促カレンダー(簡易)
- 10/1–8 国慶節(中国本土):地方分散ルート+家族向け体験を前倒し訴求。
- 10–11月 紅葉ピーク:混雑回避時間割(早朝・夜間)と駐車・二次交通情報を強化。
- 12月 クリスマス〜年末:ホテル×商業施設×決済特典の合体施策。
- 1–2月(冬季):スキー/温泉滞在に託児・送迎・用具の“全部入り”パッケージ。
まとめ
香港・中国・台湾はいずれも「旅行先として日本が第一想起になる」という土台は変わらず、分散化・体験志向・決済のシームレス化が購買と満足度を押し上げています。“混雑を避けつつ、ちゃんと楽しい”——市場ごとの好みに合わせた設計の見直しを重ねれば、体験の質はいっそう高まっていきます。
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