近年、中国のインターネット文化において急成長を遂げているSNSプラットフォームがあります。
それが「小紅書(RED)」です。
画像引用元:Xiaohongshu – あなたの人生の興味コミュニティ
単なるSNSにとどまらず、中国の若者たちのライフスタイルや消費行動に大きな影響を与える存在として注目されています。
一般的に「中国版Instagram」と称されることもありますが、その実態はより多岐にわたり、情報共有の場にとどまらず、新たなトレンドの発信源であり、消費行動を促進する力を持つプラットフォームです。
本稿では、小紅書(RED)の特徴、利用方法、ビジネス活用まで、多角的に解説していきます。
※2025年9月29日時点の情報となります。
「小紅書(RED)」は、中国のZ世代を中心に人気を集めるライフスタイル共有型SNSです。単なる写真投稿にとどまらず、ユーザーのリアルな「体験」が重視され、商品やサービスの感想、レビュー、使い方、購入場所や価格といった詳細情報が豊富に共有されます。
特徴 | 内容 |
---|---|
コンテンツの中心 | 美容、ファッション、旅行、グルメ、インテリアなどの「体験談」「レビュー」 |
ユーザー行動 | 情報収集、購買意欲の向上、実際の購買行動への強い影響 |
プラットフォーム特性 | UGC(ユーザー生成コンテンツ)を基盤とした、EC機能を兼ねるコミュニティ型SNS |
このように、小紅書(RED)は「見る」だけでなく「調べる」「買う」までをシームレスにつなげる存在として、中国の消費文化に欠かせない役割を担っています。
「小紅書(RED)」は、かつては美容やファッションに関心の高い若い女性ユーザーが中心のプラットフォームとして知られていました。しかし、その人気と影響力の拡大に伴い、ユーザー層は大きく多様化しています。
現在では、以下のような幅広い層が利用しています。
このように多様な興味関心を持つユーザーが集まる、中国の消費トレンドを形成する重要なプラットフォームへと進化を遂げています。
小紅書(RED)は、主にスマートフォンのアプリを通じて利用されるサービスです。そのため、お使いのデバイスに合わせて、以下のいずれかの方法でアプリを入手してください。
iOS: App Store
Android: Google Play
アカウント登録は、スマートフォンアプリから簡単に行えます。
初めて利用する方は、まずアプリストアで「小紅書」と検索し、アプリをダウンロード・インストールしてください。
登録方法は主に以下の2つがあります。
電話番号認証:
SNSアカウント連携:
登録時には、ユーザー名やプロフィール画像の設定も行えます。これらの基本情報を登録することで、すぐに小紅書(RED)の世界を楽しむことができるようになります。
小紅書(RED)はスマートフォンアプリでの利用が一般的ですが、ブラウザ版も提供されています。
これにより、PCなどからでもコンテンツを閲覧することが可能です。アプリをインストールできない環境や、より大きな画面でじっくり情報収集したい場合に便利です。
ブラウザ版の主な活用方法は以下の通りです。
アプリ版と比べると機能は限定的ですが、小紅書(RED)の世界観に触れる入り口として、また外出先でアプリが使えない際の代替手段として、ブラウザ版も有効な活用方法と言えるでしょう。
小紅書(RED)のコンテンツは非常に魅力的ですが、アカウント登録なしでどこまで閲覧できるのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。現時点での小紅書(RED)の仕様についてご説明します。
結論から申し上げますと、一部のコンテンツは登録なしでも閲覧可能ですが、機能には制限があります。
具体的には、Webブラウザから小紅書(RED)にアクセスした場合、トップページに表示される一部の投稿や、特定のハッシュタグで検索した結果などを閲覧できることがあります。
しかし、これらのコンテンツはあくまで「お試し」のような位置づけであり、小紅書(RED)の持つ深い情報やコミュニティ機能を十分に体験することは難しいのが現状です。
より多様なコンテンツを発見し、ユーザー同士の交流を楽しむためには、アカウント登録が推奨されます。プラットフォームの魅力を最大限に引き出すには、アカウント登録が不可欠と言えるでしょう。
小紅書(RED)のアルゴリズムは、ユーザーがコンテンツにどれだけ関わったか、すなわち「エンゲージメント」を非常に重視しています。
投稿されたコンテンツがどれだけ多くのユーザーの興味を引きつけ、滞在時間や「いいね」「コメント」「保存」「シェア」といったアクションを促すかが、そのコンテンツの表示頻度や露出範囲を決定づける重要な要素となります。
具体的には、以下のようなエンゲージメント指標がアルゴリズムに影響を与えます。
エンゲージメント指標 | 説明 |
---|---|
いいね(点賛) | コンテンツへの好意的な反応 |
コメント(評論) | ユーザー同士の交流や意見交換 |
保存(收藏) | 後で再度見たい、参考にしたいという意図 |
シェア(分享) | 他のユーザーへの共有、拡散 |
閲覧時間 | ユーザーがコンテンツをどれだけ長く見ていたか |
これらの指標が高いコンテンツほど、より多くのユーザーにおすすめとして表示されやすくなります。
そのため、投稿者はユーザーの関心を引くような、価値のある情報や魅力的なビジュアルを意識したコンテンツ作成が求められます。この仕組みが、小紅書(RED)の活発なコミュニケーションと情報共有文化を支えています。
小紅書(RED)のおすすめ表示は、ユーザー一人ひとりの興味関心に合わせたパーソナライズが特徴です。
システムは、ユーザーの過去の閲覧履歴、いいね、保存、コメントなどのエンゲージメントデータを詳細に分析します。
これらの行動データに基づき、ユーザーが「好き」と判断する可能性の高いコンテンツを予測し、おすすめフィードに表示する仕組みとなっています。
具体的には、以下のような要素が考慮されます。
これらのデータが複合的に組み合わされることで、ユーザーは自分だけのおすすめフィードを目にすることになります。これにより、プラットフォーム上での滞在時間やエンゲージメントを高め、より深い情報探索を促しています。
小紅書(RED)のユーザーは、単なる情報収集に留まらず、リアルな体験に基づいた「生きた情報」を求めています。
特に、以下のようなコンテンツが人気を集めています。
リアルな口コミ・レビュー:
ライフスタイル提案:
最新トレンドのキャッチアップ:
これらの情報は、アルゴリズムによってユーザーの興味関心に合わせてパーソナライズされ、おすすめとして表示されます。そのため、小紅書(RED)は常に最新のトレンドとユーザーのリアルな声が反映されるプラットフォームとなっています。
小紅書(RED)では、多様な広告フォーマットを通じて、中国の若年層、特に女性ユーザーに効果的にアプローチすることが可能です。主な広告の種類は以下の通りです。
広告の種類 | 特徴 |
---|---|
フィード広告 | ユーザーが閲覧するタイムラインに表示され、自然な形で情報を提供します。 |
検索連動型広告 | ユーザーが特定のキーワードで検索した際に表示され、ニーズに合致した訴求が可能です。 |
インフルエンサータイアップ広告 | 人気インフルエンサー(KOL)が商品やサービスを紹介する形式で、高い信頼性と拡散力が期待できます。 |
ブランド広告 | アプリ起動時などに表示される、認知度向上を目的とした広告です。 |
これらの広告は、小紅書(RED)の公式広告プラットフォームを通じて出稿できます。出稿にあたっては、ターゲットとするユーザー層やキャンペーンの目的に合わせて、最適な広告フォーマットとクリエイティブを選定することが重要です。
また、広告配信のターゲット設定も細かく行うことができ、年齢、性別、地域、興味関心など、詳細なターゲティングが可能です。
これにより、広告予算を無駄なく活用し、パフォーマンスの向上を目指すことができます。
小紅書(RED)では、企業が公式アカウントを開設し、ブランドの世界観を伝えたり、商品情報を発信したりすることが可能です。これにより、ターゲット層である中国の若年層との直接的なコミュニケーションを図り、ブランド認知度向上やエンゲージメント強化につなげることができます。
公式アカウントの運用では、以下のような点が重要となります。
魅力的なコンテンツの作成:
ユーザーとの積極的な交流:
データ分析に基づいた改善:
これらの施策を通じて、小紅書(RED)のプラットフォーム上で効果的なマーケティングを展開することが期待できます。
近年、訪日外国人観光客の誘致において、小紅書(RED)の活用は不可欠となりつつあります。特に、中国の若年層や女性層に絶大な影響力を持つ小紅書(RED)は、日本への旅行を検討する際の情報収集源として、また旅行先の発見の場として非常に重要な役割を担っています。
小紅書(RED)が訪日インバウンド対策において重要視される理由は、以下の点が挙げられます。
小紅書(RED)は単なるSNSプラットフォームに留まらず、中国の消費行動やトレンドを形成する上で非常に重要な役割を担っています。
多様化するユーザー層、そしてビジネス活用に至るまで、その全体像を把握することは、中国市場の動向を理解する上で不可欠です。
小紅書(RED)を理解することは、以下のようなメリットをもたらします。
小紅書(RED)のアルゴリズムやユーザー行動を理解し、戦略的に活用することで、中国市場におけるビジネスチャンスを最大限に広げることができるでしょう。