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    公開日:2025.10.14

hreflangタグで多言語サイトのSEO効果を最大化する設定方法

企業の海外進出が積極化する現代において、ウェブコンテンツの多言語展開は重要なグローバル戦略の一つとなっています。インターネットの普及により、市場は国境を越えましたが、単に複数の言語でコンテンツを提供するだけでは、検索エンジンが各言語・地域向けの適切なコンテンツをユーザーに届けることができません。ここで重要な役割を果たすのが、「hreflangタグ」です。

hreflangの主な役割は以下の通り、
言語・地域ターゲティングの明確化: ウェブサイト運営者が意図する言語・地域を検索エンジンに直接指示します。
ページ間の関係性定義: あるページに対応する代替の言語・地域版のページがどこにあるかという関連性を定義します。
重複コンテンツの回避: 内容が類似した多言語ページを、検索エンジンが意図的な多言語コンテンツとして区別できるようにします。
適切なインデックス評価の維持: 各言語・地域版のページが正当な検索エンジンの評価を受けられるように保ちます。

本記事では、多言語SEOに不可欠なhreflangタグについて、その技術的な実装継続的な運用に焦点を当てて深く掘り下げ、実装パターンの具体的な記述方法と、設定エラーを回避するための実践的なノウハウを解説します。

1. hreflangタグの基本的な仕組みと記述のポイント

hreflangタグの重要性を理解した上で、まずはその基本的な仕組みと、どのように記述するのかを把握しておきましょう。

1-1. 構成要素の概要

hreflangタグは、HTMLの<head>セクション内に、rel=”alternate”とhreflang属性を用いて記述されます。基本的な構造は以下のようになります。

▼言語/地域コードの一覧や具体的な記述例について知りたい方はこちらをご参照ください。
hreflangの読み方、意味や使い方を解説!

1-2. コードとx-defaultの扱い

hreflangタグでは、言語コードと地域コードの組み合わせが重要になります。

言語コードのみ: 特定の地域に限定しない場合に利用。
(例) hreflang=”en”  → 英語話者全体を対象

言語コードと地域コード: より細やかなターゲティングを行う際に利用。
(例) hreflang=”en-US”  → アメリカ合衆国の英語話者を対象

上記の内容を具体的に、日本語版(日本)、英語版(米国)、英語版(英国)、そしてデフォルトページ(日本語版)がある場合、各ページの<head>セクションには以下のような記述が考えられます。

日本語版(https://example.com/ja/)の例:


英語版(米国)版(https://example.com/en-us/)の例:

このように、各ページには、そのページ自身を含め、サイト内に存在する全ての言語・地域版へのリンクを記述する必要があります。

2. 【最重要】hreflangタグの正しい設定方法と技術的な実装

hreflangタグを正しく設定することは、多言語サイトのSEOにおいて極めて重要です。設定方法にはいくつかのパターンがあり、サイトの構造や運用体制に合わせて最適な方法を選択する必要があります。

2-1. 実装パターンの概要

hreflangタグを実装する方法は、主に以下の3つです。

HTMLの<head>セクションに記述する方法: 各HTMLページの<head>内に直接hreflangタグを記述します。
XMLサイトマップに記述する方法: XMLサイトマップ内にhreflang情報を追加します。
HTTPヘッダーに記述する方法: HTTPレスポンスヘッダーにhreflang情報を記述します。

これらの方法は、それぞれメリット・デメリットがあり、サイトの規模や更新頻度、CMSの機能などに依存して選択されます。一般的には、HTMLの<head>セクションに記述する方法が最も一般的です。今回は、上記の①HTML方式、②XMLサイトマップ方式について詳しく解説します。

2-2. パターン1:HTMLの<head>セクションに記述する方法

この方法は、各HTMLページの<head>内に、rel="alternate" hreflang="..."の形式でリンクタグを記述するものです。

実装方法:
各言語・地域版のページにおいて、そのページ自身と、サイト内の他のすべての言語・地域版ページへのhreflangリンクを記述します。
具体的な記述方法は全章でご紹介しておりますので、再度ご確認ください。

メリット・デメリット:

メリットデメリット
実装・管理・実装が比較的容易で直感的。・ページ数が多いと<head>セクションが肥大化し、管理が煩雑になる。
可視性・各ページの言語・地域情報がそのページ自身に紐づくため管理しやすい・手作業での実装はミスが発生しやすい(自動化が必要)。
CMS連携・CMSのプラグインなどで容易に実装できる場合がある。・JavaScriptで動的に生成されるページの場合、検索エンジンが認識できないリスクがある。

2-3. パターン2:XMLサイトマップに記述する方法

XMLサイトマップは、検索エンジンがサイト内のURLを効率的にクロールするために使用されるファイルですが、このXMLサイトマップ内にhreflang情報を追加することも可能です。

実装方法:
XMLサイトマップの各<url>エントリ内に、xmlns:xhtml="http://www.w3.org/1999/xhtml"名前空間を宣言し、<xhtml:link>タグを用いてhreflang情報を記述します。

例として、日本語版(https://example.com/ja/)、英語版(https://example.com/en/)がある場合、XMLサイトマップは以下のようになります。

どの実装パターンを選択するにしても、最も重要なのは「一貫性」と「正確性」です。後述する「相互リンクの欠如」や「言語コードの誤用」といった間違いを避けるためにも、慎重な設計と実装が求められます。

▼海外向けウェブサイトのその他のSEO対策について知りたい方はこちらをご参照ください。
海外SEOチェックリスト:海外SEO対策の確認ポイント

3. 【失敗回避】hreflangタグで陥りやすい構造的な間違いと効果検証

hreflangタグは正しく設定することで強力なSEO効果を発揮しますが、一方で、些細な間違いが原因で意図した効果が得られなかったり、むしろSEOに悪影響を与えたりする可能性があります。ここでは、多くのサイトで発生する代表的な設定エラーとその回避策、そして設定後の効果検証方法について解説します。

3-1. Googleが警告する主要な設定エラー

Google Search Console(旧ウェブマスターツール)では、hreflangタグに関するエラーを検出・通知する機能があります。特に注意すべきエラーとしては、以下のようなものが挙げられます。

・相互リンクの欠如(Missing bidirectional linking): あるページから別の言語版ページへのhreflangタグが設定されているにも関わらず、その別の言語版ページから元のページへのhreflangタグが設定されていない状態です。

不正なURL(Invalid URL): 指定されたURLが存在しない、または間違っている場合です。

不正な言語コード/地域コード(Invalid language or region code): ISO 639-1やISO 3166-1の規格に準拠していないコードが使用されている場合です。

URLの正規化に関する問題: 指定されたURLが、検索エンジンが認識している正規URLと異なっている場合など。

-defaultの未設定または誤設定: どの言語・地域にもマッチしないユーザーへのフォールバック先が不明確な場合。

これらのエラーは、hreflangタグが検索エンジンに正しく解釈されない原因となり、多言語サイトのSEOパフォーマンスを著しく低下させる可能性があります。

3-2. <間違い1>相互(双方向)リンクの欠如

これはhreflangタグ設定における最も一般的で、かつ致命的な間違いの一つです。「相互リンクの欠如」とは、例えばページAがページBを「英語ページ」として指定しているのに、ページBがページAを「日本語ページ」として指定していない、という状態を指します。

なぜ問題なのか?
hreflangタグは、言語・地域版ページ間の「関係性」を検索エンジンに伝えるものです。この関係性は双方向でなければ、検索エンジンはどのページがどのページと紐づいているのかを正しく理解できません。双方向のリンクが成立しない場合、Googleはそのhreflangタグを無視したり、誤って解釈したりする可能性があります。結果として、検索エンジンはユーザーに適切な言語・地域版のページを提示できなくなり、検索順位の低下につながります。

回避策:
全ページで相互リンクを保証する:
どの言語・地域版ページを作成する際も、そのページ自身と、サイト内の他のすべての言語・地域版ページへのhreflangタグを網羅的に記述し、かつそれらが相互にリンクされていることを確認してください。

自動化ツールやスクリプトの活用:
サイトの規模が大きい場合、手作業での確認は現実的ではありません。hreflangタグの生成・検証を自動化するツールやスクリプトを導入し、常に正確な相互リンクが維持されるようにします。

CMSのプラグインの活用:
WordPressなどのCMSを使用している場合、hreflangタグを自動生成・管理してくれるプラグインが多数存在します。これらのプラグインは、双方向リンクの整合性を保つ機能を持っていることが多いです。

3-3. <間違い2>言語コード(hreflang)の誤用・不一致

言語コードや地域コードの指定ミスも、hreflangタグの誤認識の原因となります。

なぜ問題なのか?
言語コードや地域コードは、検索エンジンがユーザーの意図する言語・地域を特定するための直接的な情報源です。ここに誤りがあると、例えば「en-US」と指定すべきところを「en-Us」としたり、存在しない言語コードを指定したりした場合、検索エンジンはその指定を認識できず、誤ったターゲティングを行ったり、hreflangタグ自体を無視したりする可能性があります。

回避策:
・ISO規格に準拠したコードを使用する:
言語コードにはISO 639-1、地域コードにはISO 3166-1 Alpha 2の規格に準拠したコードを使用してください。
(例)日本語は ja、アメリカ英語は en-US、イギリス英語は en-GB、フランス語は fr

大文字・小文字の区別:
地域コードは通常大文字(例: US, GB)で記述しますが、言語コードは小文字(例: en, ja)です。これらの表記規則を統一してください。

地域コードの必要性の検討:
特定の国・地域に限定しない一般的な言語ページ(例: 英語全般)の場合は、地域コードを省略し、言語コードのみ(例: hreflang="en")で指定します。

x-defaultの適切な使用:
どの言語・地域にもマッチしないユーザー向けのフォールバックとして、x-defaultを正しく指定してください。

3-4. <間違い3>絶対URLの不使用とホストミス

hreflangタグのhref属性には、必ず「絶対URL」を指定する必要があります。相対URL(例: /ja/page.html)や、プロトコル(http/https)が抜けたURLは使用できません。また、誤ったドメインやサブドメインを指定してしまう「ホストミス」もよく見られます。

なぜ問題なのか?
絶対URLを指定することで、検索エンジンは対象ページの場所を正確に特定できます。相対URLの場合、基準となるURLが不明確になり、検索エンジンが正しくページを認識できない可能性があります。ホストミスは、本来指定すべきではないドメインのページを参照させてしまうため、全く意図しない動作を引き起こします。

回避策:
・常に絶対URLを使用する:
https://www.example.com/ja/page.html のように、プロトコル、ドメイン名、パスをすべて含めた形式でURLを指定してください。

ホスト名を正確に記述する:
www.の有無、httphttpsか、サブドメインの指定などを正確に確認し、誤りがないようにしてください。

正規化されたURLを使用する:
サイト内でURLの正規化(例: httpからhttpsへのリダイレクト、wwwあり・なしの統一など)を行っている場合は、検索エンジンが認識している正規URLを指定することが重要です。

3-5. 効果検証とデバッグ方法

hreflangタグを設定した後は、その効果を検証し、問題がないかを確認することが不可欠です。

①Google Search Consoleの活用:
「言語と地域」レポート:
Google Search Consoleの「インデックス」セクションにある「言語と地域」レポートを確認します。ここで、hreflangタグに関するエラーや警告が表示されている場合は、それらを解消する必要があります。

URL検査ツール:
特定のURLを入力し、そのURLがどのようにインデックスされているか、hreflangタグが正しく認識されているかを確認できます。

サードパーティ製ツールの利用:
Screaming Frog SEO Spider:
このクローラーツールは、サイト全体をクロールし、hreflangタグの設定ミス(相互リンクの欠如、不正なURLなど)を検出する機能を持っています。大規模サイトのチェックに非常に役立ちます。

hreflangタグチェッカー:
オンラインで利用できる hreflangタグチェッカーツールも多数存在します。特定のURLを入力すると、hreflangタグの有効性を診断してくれます。

手動での確認:
ソースコードの確認:
ブラウザの開発者ツールなどを使用して、各ページの<head>セクションに記述されたhreflangタグを確認します。

HTTPヘッダーの確認:
ブラウザのネットワークタブや、オンラインのHTTPヘッダーチェッカーツールを使用して、HTTPヘッダーにhreflang情報が正しく含まれているか確認します。

④検索結果での確認:
・特定のキーワードで検索し、意図した言語・地域版のページが検索結果に表示されているかを確認します。

・ブラウザの言語設定を変更したり、VPNなどを使用して異なる地域からアクセスしたりして、表示される結果が変化するかを確認します。

これらの検証方法を組み合わせることで、hreflangタグが正しく機能しているかを多角的に確認し、問題があれば迅速に修正することが可能になります。

▼海外SEOでミスが起こりやすく気をつけなければいけないポイントについて、こちらの記事もご参考にしてください
海外SEOで陥りがちな罠をさけるには|Search Engine Land

4. まとめ:継続的な管理とメンテナンスの重要性

ここまでhreflangタグの設定について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

hreflangタグは、一度設定すれば終わりではありません。ウェブサイトの更新に伴い、新しい言語・地域版の追加やページの削除・変更があるたびに、設定も継続的に管理・メンテナンスしていく必要があります。設定を怠ると、「相互リンクの欠如」や「不正なURL」といったエラーが発生し、タグの効果が失われるだけでなく、SEOに悪影響を及ぼすリスクがあります。そのため、新規コンテンツの追加やURL構造の変更時には、必ずhreflangタグを最新の状態に更新し続けることが不可欠です。本記事で解説した内容を参考に、技術的な管理体制を確立し、運用プロセスに組み込んでください。

hreflangタグは、多言語サイトがグローバルな市場で競争力を高め、検索エンジンからの恩恵を最大限に受けるための基盤です。正確な実装と継続的なメンテナンスが、多言語サイトのSEO効果を最大化します。しかし、その実装には専門知識を要し、サイトの特性に応じた最適な設定が求められます

海外向けマーケティングで豊富な実績を持つアウンコンサルティングは、貴社のウェブコンテンツの多言語展開を強力にサポートいたします。サイトの特性に応じた最適な実装方法のご提案から、具体的な実装コードの提供まで一貫して支援可能です。
グローバル市場への発信強化をお考えでしたら、hreflangタグの確実な実装とSEO効果の最大化に向けて、ぜひ一度ご相談ください。

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