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2021.01.14

世界広告主連盟(WFA)　2021年予測　2021年のキーワードはサステナビリティとインクルーシブ

2021年のキーワードはサステナビリティとインクルーシブ

世界広告主連盟(WFA)が、12月15日に2021年マーケティング業界予測を公表しました。外部要因と内部要因それぞれ5つずつ、10のトレンドを解説しています。外部要因の1つめはサステナビリティ。広告業界も持続可能な社会の実現のため行動を起こす必要があります。2021年は二酸化炭素排出量がピークに達する年です。イギリスの広告協会は、「広告ネット・ゼロ」という野心的な計画を発表しています。WFAも国連の持続可能な開発目標(SDGs)と共同でリサーチを行っています。2つ目はプライバシー保護の波です。EUのGDPRに影響された個人情報保護の波が中国やインド、米国といった世界の巨大広告市場にも押し寄せています。市場によってルールは異なりますが、広告業界としては「クッキーのない世界」へシフトチェンジが迫られています。3つめは、巨大テック企業のコンテンツに対する責任です。米国やイギリス、オーストラリアでは、巨大テック企業が、データをどう集め、オンライン広告など含めどういった手順で収益をあげているのかを競って厳しく調査しています。より安全なインターネット環境のためWFAも法案成立などへ働きかけていきます。4つ目は児童のプライバシー保護の強化です。2019年、YouTubeとTikTokはともに連邦取引委員会より、児童のプライバシー保護法に違反したとして訴えられました。YouTubeは、法令遵守するため児童プライバシー情報の収集システムを一から作り直す必要がありました。2021年はこの修正がGDPRにも準拠するのか試されることになります。外部要因の最後は、甘いものやジャンクフードへの規制です。イギリスのジョンソン首相は、自身が新型コロナウィルスに感染し重症化した経験から、英国政府が提案する不健康な食品のテレビ及びオンライン広告禁止について法案成立を悲願とするようになりました。メキシコやインド、タイでも高脂肪や塩分・砂糖が多い食品の18歳以下への販売を禁止する法案を審議中です。こういった食品はタバコやアルコールと同じように広告規制の対象になっていくと予測されます。広告業界を引っ張るトレンドは、まずより消費者目線に立つことです。広告業界は常に時代の先を行くことに誇りを持っていますが、まだ十分ではありません。BLM運動は、2020年で最も重要な瞬間でした。広告は消費者の声に耳を澄ませ、社会を映し出すことができれば、よりよい社会、インクルーシブな社会へと変えていく力になります。オフィスの意味が様変わりし、場所にとらわれないコラボレーションは2021年ももっと加速するでしょう。巣ごもり消費はコロナ収束後も続くと予想されます。拡張現実や仮想現実などの没入型コンテンツなどへの人的資金的投資が増えるでしょう。データを駆使したマーケティングをすべてあきらめるわけではありませんが、クッキーの終焉により、データの精度にかけるコストがリターンに見合わない年になる恐れがあります。2021年は、より広範囲なオーディエンスへリーチし、消費者体験やインプレッションの質により焦点を当てる年になるでしょう。2021年は、クライアントと広告代理店が、相互に信頼しあい、根幹に焦点を当て成長に向けて真の意味で助け合う必要があります。双方にとって仕事をしやすくするコラボレーションツールへの投資や代理店が安心して真実を伝えられ、かつクライアントも納得してアドバイスを受け入れられるよう、評価項目の見直しなどが必要です。(参照※1)
年末年始のホリデー広告をみても、WFAが予測するような、インクルーシブ広告サステイナブル広告が目についた印象です。英語で送られるグリーティングから、何気なく開いた調査レポートまで。人種ミックスが本当に当たり前になりましたし、BLM運動の一環で黒人オーナー企業を応援する動きなど広告業界がインクルーシブ社会への責任を担っているというトレンドをひしひしと感じます。