ここ数年、香港の若年層の間では「週末=深圳」という新しいライフスタイルが定着しています。
2024年の統計によると、香港市民の本土への越境回数は年間9,300万回を超え、前年比48%増。
特に19歳以下の若年層が約5分の1を占めており、「週末の北上」が日常化しています。
深圳では、香港の半額以下で食事や美容サービスを受けられるほか、カフェやモールの体験価値も高いと評判です。
若者たちは「1日で食事・ネイル・買い物をまとめる」など、時間とコストを効率的に使う“体験の合理化”を重視しています。
八達通(オクトパス 交通系電子マネー)が中国本土336都市で利用可能になるなど、交通と決済のシームレス化もこの動きを後押ししています。
香港政府の統計によれば、2024年以降、小売売上は13カ月連続で前年割れ。
飲食や小売業では週末の客足が減り、企業は若年層を平日に呼び戻すための施策を模索しています。
実際に、平日限定割引やローカル特典を導入する店舗も増えています。
いまの香港の若者にとって“北上”は、単なる節約行動ではなく、より高い満足を得るための合理的選択です。
「安さ」ではなく「賢く楽しむ体験」を重視する姿勢は、香港社会における新しい消費文化を形づくりつつあります。