サマリー
製造業の景況感(PMI:購買担当者景気指数)は50前後、物価は伸びにくく、名目成長の弱さが企業収益の回復を抑えやすい局面です。一方、サービス消費や旅行関連は季節要因での持ち直しが見込まれます。年内は物価の底打ちの度合いと連休明けの需要戻りを注視したいところです。
春の調整で、預金準備率(RRR:銀行が中銀に預ける義務比率)や貸出基準金利(LPR:ローンプライムレート)を引き下げ。その後は流動性の維持と分野別の支援手段(再貸出・再割引など)を組み合わせる運用に移行しています。為替動向と銀行の利ざやを踏まえ、追加利下げには慎重な姿勢が続くと見られます。
中央政府は超長期特別国債を発行し、設備更新や社会インフラへ重点的に資金を配分しています。一方、地方政府は特別債や借換えを通じて資金繰りの安定化を図っています。
この政策効果の成否を分けるのは、執行速度と投資の質であり、四半期末の執行率や着工・引渡しの進捗が、その評価の鍵となります。
全国で住宅ローン金利・頭金比率の引き下げや公的住宅ローンの調整を実施。都市ごとに購入制限の緩和・認定ルール見直しを進め、中古主導で新築在庫の消化を図る方針です。回復は一線都市(北京、上海など)と主要な二線/新一線都市(成都、杭州など)が先行しやすく、税・手数料の減免や引き渡し支援の積み増しが材料となり得ます。
対米は逆風が続く一方、ASEANや中東向けは底堅い状況です。工業利益の回復には、過度な値下げ競争の抑制と高付加価値化が重視されています。
新エネルギー車(NEV)は各国の関税・規制強化を受け、輸出の許認可・現地化・製品ポートフォリオ(ハイブリッド比率など)の見直しが課題です。
指数に連動する上場投資信託(ETF)を対象にしたオプション取引など、値下がり対策(ヘッジ)に使う金融商品を海外投資家が利用できる範囲が広がりました。国内でも中長期資金の呼び込みや、公募投信の手数料引き下げ、プログラム取引のルール整備が進んでいます。これにより、リスクを考慮した投資の魅力や資金の滞在期間の改善が見込まれます。
2025年の中国は、「一括での大規模な景気刺激策」ではなく「緩やかな下支え+構造転換」で持続性を高める方針です。重要なのは、資金がどれだけ速く、適切な分野に届くか、そして需要回復のシグナル(小売・サービス・在庫指標)の立ち上がりです。数字の大小だけでなく、執行の速度と質を合わせて見る視点が、今後の判断を左右します。