近年、台湾の電子商取引(EC)市場は急速に拡大し、日韓中をはじめとする主要な国の企業が相次いで参入し、激しい競争が繰り広げられています。特に双11(ダブルイレブン)のショッピングフェスティバルを前に、各社が新たな戦略や優待を打ち出しており、消費者にとって魅力的な買い物の機会が増えています。しかし、この成長には一方で偽造品や物流の課題といった影もあります。
日本最大級の二次流通プラットフォーム、Mercariは2024年に台湾市場への進出を発表しました。Mercariは日本でKPOPグッズやアニメフィギュア、ブランドバッグといったコレクション性の高い商品を多く取り扱い、台湾の消費者にも支持されています。Mercariが台湾市場で展開を強化する背景には、アメリカ市場での成長が頭打ちになり、中国の競合企業Temuが攻勢を強めていることが挙げられます。Mercariは新たな成長の場として台湾を選び、日本のtenso社が運営するBuyeeや台湾の代購業者PChomeと提携し、消費者にとって使いやすい体験の提供を目指しています。
EC市場の成長とともに模造品の流通も問題となっており、消費者が安心して買い物できる環境の整備が求められています。米国の貿易代表部が発表する「悪名市場名単」には、Amazon、Shopee、Taobaoといった大手プラットフォームも名を連ねており、これら企業のプラットフォーム上では模造品が多く流通していると指摘されています。台湾では、MomoやCoupang、Rakutenなどが模造品の取り締まりに積極的に取り組み、消費者に安心できる選択肢を提供していることが評価されています。
双11はもともと中国のAlibabaが開始したイベントですが、現在では台湾を含む多くの国で「ネットの一大買い物日」として定着しています。2024年の双11を前に、台湾のShopeeやPChome、momo、Coupangは、それぞれ大規模な割引やキャッシュバックキャンペーンを展開しています。銀行と提携したクレジットカードのキャッシュバックやポイント還元が豊富で、消費者にとってはお得に買い物できる絶好のチャンスです。
Alibabaのタオバオも、台湾市場での競争力強化に向けて大きな投資を行っています。タオバオ台湾事業部は「台湾市場でローカルのEC並みの利便性」を目指し、消費者が不満を抱きがちな集運(合同配送)を廃止。簡潔な物流フローで迅速な配達を実現し、またApple PayやJiekou Payなどの多様な決済手段を導入するなど、台湾の消費者がスムーズに利用できるような体制を整えています。さらに家具販売の分野にも関心を示し、台湾市場での存在感をさらに強化しています。
台湾の食品・小売大手、統一集団はPChomeとYahoo電子商取引への投資を通じて、台湾のEC市場でのポジションを強固にしています。統一集団はすでにセブンイレブンや康是美(コスメ販売)、家楽福(大手スーパー)といった実店舗網と物流網を備え、今回の投資によってPChomeとのシナジー効果を生み出すことが期待されています。これにより、台湾のEC業界における競争がさらに激化し、他社もデジタル戦略やサービス向上に注力せざるを得なくなっています。
台湾のEC市場は、双11を機にさらなる成長を遂げようとしていますが、同時に模造品対策や物流の改善といった課題も顕在化しています。各社は利便性の向上や消費者保護を軸に、台湾市場での競争力を高めようとしていますが、消費者は信頼できるプラットフォームを慎重に選ぶ必要があります。台湾のEC市場が今後どのように発展していくのか、またどの企業が消費者の信頼を勝ち得るのか、注目が集まっています。
【出典元】
※ 日本最大二手電商Mercari悄悄登台!台灣人最瘋哪3類商品?為何中日韓電商都搶進台灣? | 數位時代
※ 網購熱潮來襲 假貨問題需警惕:消費者應慎選電商平台 | 蕃新聞
※ 2024雙11電商優惠懶人包:蝦皮、momo、PChome與5款網購信用卡回饋一次看 | 天下雜誌
※ 電商續戰雙11》整軍4年 物流、支付、生態圈全到位!淘寶叫陣,台灣電商板塊將出現什麼變化? | 財訊
※ 統一入股PChome、Yahoo電商!如何擴張零售市場版圖、加速零售業數位轉型? | 食力
※ ヤフー台湾、ヤフー株式会社とtensoが業務提携!ヤフオクとBuyeeの越境EC連携で日本と台湾を結ぶ | ECのミカタ編集部