日本でも高い人気を誇るMLB(メジャーリーグ)において、台湾出身の選手たちが残した足跡は少なくない。台湾からMLBへの道を切り開いた先駆者は、2002年にロサンゼルス・ドジャースでデビューした陳金鋒選手である。
それ以降、王建民、郭泓志、陳偉殷、張育成、胡智為など、多くの台湾出身メジャーリーガーたちが次々と活躍を見せた。特にMLBでの最大の成績を残した王建民は、2006年と2007年にそれぞれ19勝を挙げ、メジャーリーグにおける台湾の存在感を一気に高めた。
これらの実績は、単なる成績にとどまらず、台湾の若者にとってのロールモデルとなり、台湾国内のプロ野球文化の発展にも大きな影響を与えた。
一方、台湾のプロ野球リーグである「台湾プロ野球(中華職業棒球聯盟/CPBL)」も、近年大きな盛り上がりを見せている。
2023年には年間観客数が180万人を超え、2024年には276万人に達し、かつての人気を取り戻しつつある。特に「台北ドーム」の開場はメディアでも大きな話題となった。
これに並行して、スポーツ観戦者の性別バランスにも変化が見られる。最近の統計では、女性観客の割合が37%を超え、それに伴いチーム運営や応援文化にも多様性が増している。
さらに、球団経営面では富邦金控や中信兄弟、味全グループ、統一企業グループといった大手企業が参入し、経営の安定性と資本力の強化が図られている。地方行政と連携したスタジアム整備や地域密着型の運営なども進み、台湾野球は持続可能な成長基盤を整えつつある。
MLBと台湾プロ野球——その双方における台湾選手の存在と、国内市場の活性化は、今後のアジア野球全体の潮流を占う上でも大きな注目ポイントである。