Webサイトの計測タグや広告タグが増えるほど、「どこに何のタグが入っているか分からない」「更新のたびにエンジニアに依頼していて非効率」といったお悩みを抱える企業が増えています。
その結果、タグの入れ忘れや二重計測などが発生し、せっかくのマーケティングデータが正しく取得できていないケースも少なくありません。
こうした課題を解決するために登場したのが、タグをまとめて管理できる無料ツール「Google Tag Manager(GTM)」です。
GTMを導入すれば、Webサイトのソースコードを直接編集することなく、管理画面上からタグの追加・変更・削除ができるようになり、マーケター主導でスピーディーな運用が可能になります。
本記事では、これからGTMを導入したい方や、名前は聞いたことがあるがまだ触ったことがない方向けに、GTMの基本的な仕組みから導入手順、日々の運用のポイントまでをわかりやすく解説します。
※本記事の内容は2025年11月時点の情報に基づいており、機能や仕様は今後変更される可能性があります。
GTMとは、Googleが提供する無料のタグ管理ツールです。Webサイトに設置したタグ(計測コード)を一元管理し、コードの直接編集なしに追加・変更・削除ができます。
| 用語 | 説明 |
| コンテナ | GTMの管理単位。1つのWebサイトに1つのコンテナを設置 |
| タグ | Google広告やGA4など、サイトに埋め込みたい計測コード |
| トリガー | タグを発火させる条件(例:ボタンクリック時、ページ読み込み時) |
| 変数 | トリガーやタグで使用するデータ(例:ユーザーID、商品価格) |
1:開発チームへの依頼が不要
マーケター自身が管理画面からタグを管理できる
タグの更新に数日待たずにすぐ対応可能
2: タグの一元管理で計測ミスを防止
何のタグがどこに設置されているか一目瞭然
二重計測や入れ忘れを防げる
3:バージョン管理で安全に運用
タグの変更履歴が自動保存される
問題発生時にすぐ前のバージョンに戻せる
4:無料で使用可能
機能制限なしで本格的なタグ管理が実現
従来の方法とGTMの違い
| 項目 | 従来の方法 | GTM |
| タグ追加 | エンジニアが直接コードを編集 | 管理画面から簡単設定 |
| 更新速度 | 数日かかる | 数分で完了 |
| ミスの可能性 | 高い | 低い |
| コスト | エンジニアの工数が発生 | 無料 |
GTMはWebサイトの計測基盤を強化し、スピードを大幅に向上させるツールとして、今や多くの企業で導入されています。
GTMの導入・セットアップ完全ガイド
GTMを導入するには、以下の3つのステップを進める必要があります。
ステップ1:GTMアカウント・コンテナの作成
1:Googleアカウントでログイン
・tagmanager.google.com にアクセス
2:アカウント作成
・「アカウントを作成」をクリック
・企業名やアカウント名を入力
3:コンテナ作成
・Webサイト名を入力
・プラットフォーム選択(Web/モバイルアプリ/AMP等)
4:トラッキングIDを取得
・GTMコンテナが生成される
・後でサイトに設置するコードが表示される
ステップ2:Googleタグをサイトに設置
GTM側で表示されたコードをコピーし、サイトに埋め込みます。
設置箇所:
HTMLの <head> タグ内に1つ
<body> タグの直後に1つ
※ WordPressやShopify等のプラットフォーム別に、設置方法が異なります
ステップ3:計測の動作確認
Tag Assistantを使用して検証
・Chrome拡張機能「Tag Assistant」をインストール
・GTMが正常に機能しているか確認
・赤や黄の警告がないかチェック
効果測定に欠かせない!GA4とGoogle広告との連携設定
GTM導入後、最初に設定すべきはGA4(Googleアナリティクス4)とGoogle広告のコンバージョン計測です。これが広告効果測定の基盤となります。
GA4タグの設定手順
1: Googleアナリティクス4のプロパティを作成
・analytics.google.com にアクセス
・新しいプロパティを作成
・測定IDを取得(G-で始まるID)
2: GTM側でGA4タグを作成
・GTM管理画面で「タグ」→「新規」をクリック
・タグタイプから「Google アナリティクス:GA4 設定」を選択
・測定IDを入力
・トリガーで「すべてのページ」を選択
・公開して完了
Google広告コンバージョンタグの設定
1: GoogleアナリティクスとGoogle広告をリンク
・GA4のデータをGoogle広告に連携
・これにより、GA4で計測したコンバージョンを広告側でも認識
2:GTM側でコンバージョンイベントを設定
・購入完了ページ、フォーム送信、会員登録等のイベントを定義
・各イベントをトリガーで指定
・コンバージョン値(商品価格等)を変数で設定
連携のメリット
自動入札の最適化 – Google広告が正確なコンバージョンデータで最適化
効果測定の正確性 – 重複のないクリーンなコンバージョン数を把握
マルチチャネル分析 – 複数の流入元がどこから来たか追跡可能
GTM設定後に発生しやすいトラブルと、その対策方法を解説します。
| トラブル | 原因 | 解決方法 |
| タグが動作しない | トリガー条件が誤設定 | Tag Assistantで確認、トリガーを修正 |
| 二重計測が発生 | 古いタグとGTMの両方が稼働中 | 既存タグをサイトから削除 |
| イベントが計測されない | 変数の定義に誤りがある | GA4でイベント名が正しいか確認 |
| データが欠落している | タグの順序が不適切 | トリガーの優先順位を調整 |
| 特定ページでだけ計測失敗 | ページ別の条件指定ミス | トリガー条件をページ単位で確認 |
1:Tag Assistantをインストール
・Chrome ウェブストアから「Tag Assistant」を追加
2:GTMのプレビューモードを起動
・GTM管理画面で「プレビュー」ボタンをクリック
・新しいタブで目的のサイトに接続
3:タグの発火を確認
・Tag Assistantの画面右側にリアルタイムでタグ情報が表示
・緑:正常 青:軽度注意 黄:要確認 赤:エラー
本番公開前の必須ステップ
・新しいタグやトリガーを作成したら、必ずプレビューモードで検証
・実際にユーザーが行動するシナリオ(ボタンクリック、フォーム送信等)をシミュレート
・エラーなく計測されることを確認してから公開
デバッグ機能を効果的に使うことで、正確で信頼できる計測環境を維持できます。
GTMの基本設定ができたら、次は複数の広告媒体やマーケティングツールをGTM経由で管理する段階へ進みます。
| 媒体 | 用途 |
| Google広告 | リスティング広告、ショッピング広告、ディスプレイ広告 |
| Meta(Facebook/Instagram) | Meta Pixel設定、コンバージョン計測 |
| LINE | LINE TAG設定、ユーザー追跡 |
| TikTok | TikTok Pixel設定 |
| Googleアナリティクス4 | Webサイトのトラッキング |
| Hotjar等の分析ツール | ユーザー行動分析 |
1: データの一元化
・すべてのコンバージョンデータをGTMを通じて一括管理
・タグの整合性が取れた状態を維持
2: 更新効率が大幅向上
・複数媒体の設定を1箇所から管理
・タグの修正が必要な場合も、GTMで一度変更すれば全媒体に反映
3: 計測ミスの防止
・タグの重複や落とし漏れが視覚的に把握できる
・新しい媒体追加時も、既存タグとの重複を事前確認
複数人で運用する場合、権限の適切な設定が重要です:
管理者権限 – コンテナ設定、ユーザー権限管理
編集権限 – タグやトリガーの作成・編集
承認権限 – 公開前の変更内容チェック・承認
読取権限 – レポート確認のみ
権限を分けることで、不具合を未然に防ぎ、安全な運用を実現できます。
これにより、広告運用のスケール感が大幅に向上し、企業規模を問わず高度なプロモーション表示オプション運用が可能となることが期待されます。
2025年のトレンド:サーバーサイドタグ管理
今後、GTMはサーバーサイド(Google側のサーバー)でのタグ管理へシフトしています。
メリット:
ブラウザやCookie廃止の影響を受けにくい
より正確な計測が可能
セキュリティ強化
次のステップとしてサーバーサイドGTMへの対応を視野に入れることで、将来の計測環境に対応できます。
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