Googleは2023年5月10日に検索エンジンにGenerative AI(生成AI)を取り入れた「SGE(Search Generative Experience)」を発表しました。
公式ブログはこちらから :https://blog.google/products/search/generative-ai-search/
今までも、画像検索やショッピング検索時にAIを使ってより最適な検索結果を出すアップデートを行っていましたが、SGEは現在の検索エンジンとは異なるシステムとなります。
2023年4月にNYタイムズにて、「Googleが新しい検索エンジンを計画中」と報じられたり、5月初旬にはWSJにて「AI等を利用するよりパーソナル化した検索エンジンを計画中」という記事が出たり、事前情報がいくつか公開されていましたが、おそらくこのSGEのことであったのでしょう。
また、AI機能を搭載した検索関連サービスといえば、ChatGPTとよく比較される「Google Bard」がすでに知られていますが、今回は全く違うプロダクトとされています。
Google Bardでも検索のようなことも可能ですので、その2つの違いなどもあわせて、 今回はGoogleの発表した新サービス「SGE(開発中)」について、まとめていきたいと思います。
SGE(Search Generative Experience ※以下SGE)とは、Generative AI(※以下生成AI)と検索を融合した新しい検索エンジンです。
生成AIとはそもそも、クリエイティブかつ現実的な、新しいオリジナルアウトプットを生み出すAIです。
最近流行っている画像生成AIや、ChatGPTもこの生成AIに含まれます。
上記でも記載した通り、Google自身も「Google Bard」という生成AIを開発しており、5月11日より日本語でも使用することができるようになりました。
関連記事:ChatGPTとBing AI Chatbotが切り拓く検索の未来 – SEO観点から見るインパクト
SGEはユーザーが検索した文章、文脈から求められている検索結果をテキストや画像、リンク、動画等とともに表示することが可能です。Googleと同じ仕様のようにも思えますが、実際の検索結果画面は全く異なります。
下記が公式ページにて例として掲載されている検索結果画面です。
赤枠内がAIによる結果の表示です。
検索文=質問文は「what’s better for a family with kids under 3 and a dog, bryce canyon or arches」(3歳未満の子供と犬がいる家族にとってブライスキャニオン国立公園とアーチーズ国立公園、どっちがいい?)という内容です。
検索するための文章ではなく、単純な質問文です。それに対してAIのは、それぞれの公園の特徴などをウェブ上に掲載されている内容から質問者に提示します。次に、「Ask the follow up」として、更に質問をユーザーに返しています。
“どのくらいの時間過ごすの?”“犬は何匹?”といった内容です。AIが質問文の中の単語、文脈を理解した上で、最善の提案をするための追加質問をします。
追加質問は最初の検索文に引き継がれていくため、より詳細で、ユーザーの求める検索結果を表示させることができるようです。
また、SGEはショッピング等とも高い融和性があるとされ、Googleがもつ「Googleショッピンググラフ」というデータセットに基づいて商品の検索結果を表示します。世界中のウェブ添付と各販売者の情報が紐づいたものなので、ユーザーにとってはほしい商品に出会いやすくなると考えられます。
商品検索は下記のような動画で公式ページでも紹介されています。
なお、現状は米国・英語ユーザーに対してのみ、SGEを利用したいユーザーの事前登録を開始しています。まだ実際にユーザーへ提供はされていないようですが、発表時から数週間以内に試験的に使えるようになるようです。
※事前登録は下記にて募っています。
Search Labs:https://blog.google/products/search/search-labs-ai-announcement-/
前述した通り、SGEは新しい検索エンジンとして画一された存在ですが、GoogleBardとはどう違うのでしょうか?簡単に比較表を作成してみました。
大まかに、上記のような違いがあります。
SGEは一般公開されていないサービスで、詳細はまだ分かっていませんが、現時点で検索結果の部分に大きな違いがあるように思います。
検索と生成AIが融合されたことで、新しい検索体験へと繋がるようです。
そしてSGEの類似サービスとして記載した“Bingチャット検索”ですが、こちらはすでに5月から一般公開されています。
※Bingのチャット検索はアプリよりマイクロソフトアカウントにログインした上で利用可能です。
https://www.microsoft.com/ja-jp/bing?form=MA13FJ
Bingのチャット検索は、“ChatGPT”と同じGPT-4という言語モデルを使用しており、テキスト面についてはChatGPTと同じような結果が出るようですが、プラスしてBingの検索結果に含まれる画像や動画などのコンテンツも学習して、答えとして出してくれるようです。
日本語でも利用でき、すでに多くの国で利用されているようですが、マイクロソフト社ではBingページへの訪問数が15%以上増加したというデータもあり、その関心の高さが伺えます。
すでに言語モデル等の違いなどわかっている部分はありますが、今後Googleが本格的にSGEを始動した後に、どういった違いが出てくるのかも気になりますね。
以上から、SGEの本髄は、「質問としての文章」(長いクエリ)での検索を前提としてのものです。検索窓に含まれる情報が多いほど、文脈等を理解して最適な結果へと導くことができるからです。
実際の検索行動から考えると、現時点ですぐにこの検索エンジンが定着するかはわかりません。
検索数や、現在のユーザーの多くの検索行動から考えると、特に日本語では“単語”での検索がメインです。そのため、検索窓に長い文章を入力する習慣が根付くまでには時間がかかることが推測できます。
はじめは関心を持って利用するユーザーも多いかと思いますが、現状のGoogle検索エンジンと同程度のシェアを得るには少し時間がかかりそうです。
また、現時点ではAIが出す検索結果の精度も不明です。
現在使用されている生成AIやチャット検索においても、間違った情報が全くないというわけではありません。AIが今後検索体験を多く学んでいくことで精度は改善すると思いますが、こちらもまだ時間がかかる部分だと考えられます。
従って、短期的にはSGEの導入によるSEO対策への大きな影響はないと考えられます。
SEO対策は、検索エンジンが異なったところで根幹はゆるぎません。引き続き、ユーザーに対してよりよいコンテンツと使いやすいウェブサイトを提供することを心がけていきましょう。
AI技術の進歩、そして更に加速するパーソナル化でGoogleはユーザーに対しての利便性の向上を日々行っています。それは喜ばしいことであり、私たちユーザーが利用するにはとてもありがたいことです。
ただし、プロモーションをする立場から考えると、プロモーションツールとしての立ち位置や使い方を考えていかなければならないのも事実です。
前述した通り、SEOの施策自体、検索エンジンが変わったとしてもやるべきことは変わらないでしょう。より良いコンテンツを生み出し、ユーザーがわかりやすいページ構成とサイト構成、そして文章構成をすることで検索エンジンからの評価は得られるはずです。
もし不明点や今後対策が必要なことなどがあった場合は、ぜひ弊社へご相談ください。