Google広告のターゲティングは、広告を表示する「誰に」そして「どこに」配信するかを具体的に設定する機能です。例えば、年齢、性別、興味関心、過去のウェブサイト訪問履歴など、様々な条件でユーザーを絞り込むことが可能です。また、特定のウェブサイトや動画、アプリなど、表示される場所を指定することもできます。
適切なターゲティングを行うことで、広告費を無駄なく、最も効果の高いユーザー層に集中させることができます。これにより、クリック率やコンバージョン率の向上、ひいては広告投資対効果(ROAS)の最大化が期待できます。逆に、ターゲティングが不十分だと、興味のないユーザーに広告が表示され、クリックやコンバージョンに繋がりにくくなってしまいます。
Google広告では、多岐にわたるターゲティング手法が用意されています。ターゲティングの種類は大きく分けて以下の3つになります。
ターゲティングの種類 | 内容 |
オーディエンスターゲティング | ユーザーの属性、興味関心、行動履歴などに基づいて配信する手法。 |
コンテンツターゲティング | 広告を表示するウェブサイトや動画の内容に基づいて配信する手法。 |
その他のターゲティング | 地域、デバイス、時間帯など、さらに詳細な条件で絞り込む手法。 |
これらのターゲティングを組み合わせることで、より精緻な広告配信が可能になります。
次からそれぞれのターゲティングについて解説します。
オーディエンスターゲティングは、「誰に」広告を配信するかを定義する際に用います。これは、自社の商品やサービスに最も関心を持つ可能性の高いユーザー層にアプローチするための手法です。
キャンペーンのタイプによって使用できるオーディエンスターゲティングの種類は以下の表のとおりとなります。
画像引用元:効果的なターゲティング設定で Google 広告の効果を最大化する方法|Google広告
ユーザーの興味関心や習慣、ライフスタイルなどに基づいたカテゴリ(例:旅行好き、スポーツ好き、健康志向など)でターゲティングします。特定のトピックに関心を抱いているユーザーに対して、広告を表示する機会を得られます。
これらの大きいカテゴリ内にそれぞれサブカテゴリが設定されています。例えば「フード、ダイニング」カテゴリには「カフェの常連」「グルメ」「ファストフード愛好家」などのサブカテゴリがあり、自社の商材に合わせて細かくターゲットを設定できます。
関連性の高いキーワードやURL、アプリなどに基づいて、より詳細な興味関心を持つユーザー層を作成・指定できます。
ターゲットとするユーザーが訪問しそうなウェブサイトのURLや、使用しそうなアプリの名前をカスタムセグメントに設定すると、それらと類似したURLやアプリを利用しているユーザーに広告が表示されるようになります。
Googleプロフィールから得られた情報や推測によって得られる属性に基づき、年齢層、性別、世帯収入、子供の有無などの基本的なデモグラフィック情報ごとに設定するターゲティング手法です。例えば、若年層向けのファッションアイテムであれば、年齢層を絞ることで特定の年齢層を広告配信のターゲットにできます。
なお、世帯収入によるターゲティングは、現時点では一部の国と地域のみで利用できます。日本国内では利用できますが、海外向けの広告配信を検討している際は、事前に配信先の国でこの機能が提供されているか確認が必要です。
Google広告の世帯収入ターゲティングの手法についてはこちらの記事もご覧ください。
大学卒業、結婚、引っ越し、退職などの人生の大きな節目を迎えているユーザーに対してアプローチする手法です。大きなライフイベントに伴い複数の商品やサービスが購買されることも多く、高い広告効果が期待できます。
例えば「最近結婚したユーザー」を設定しておくと、ペアの食器や家具、インテリア用品、家電製品、生命保険、家事代行サービスなどの商品やサービスに関する広告を配信できます。
特定の商材やサービスを積極的に調べている、購買意向の強いオーディエンス(ユーザー)に対するアプローチ手法です。業種に応じて細かいターゲット設定ができ、自動車の購入を検討中の方や旅行先のホテルを探している方など、特定の商材について比較検討しているユーザーに照準を当てた広告表示が可能です。
前述したアフィニティセグメントは、選択したカテゴリについて「興味関心がある」ユーザーにアプローチする手法であるのに対し、購買意向の強いオーディエンスは選択したカテゴリに対して、商品やサービスの購入を「前向きに検討している」層が該当します。そのため、アフィニティセグメントよりもより商品やサービスを購入する可能性が高い方への広告表示が期待できます。
広告主のビジネスを過去に利用したことがあるユーザーに対して広告を配信する手法です。過去に自社サイトを訪問したユーザーや、特定の行動(例:カートに商品を入れたが購入しなかった、デバイスに広告主のアプリをインストールした など)をとったユーザーに再度広告を表示します。
Google広告のコンテンツターゲティングは、広告を配信する「場所」を指定することで、関連性の高いユーザーにアプローチする手法です。これにより、広告が表示されるコンテンツとユーザーの興味関心のミスマッチを防ぎ、より効果的な広告配信を目指します。
コンテンツターゲティングには、主に以下の3つの種類があります。
特定のウェブサイトやYouTubeチャンネルを指定して広告を配信します。例えば、自社の商品やサービスに関連する特定のブログ記事や、ターゲット層が多く視聴しているYouTubeチャンネルに直接広告を表示させたい場合に有効です。
特定のテーマやジャンルに関連するコンテンツ全体に広告を配信します。例えば、「旅行」というトピックを選択すると、旅行に関する様々なウェブサイトや動画に広告が表示されるようになります。
特定のキーワードに関連するコンテンツに広告を配信します。ユーザーが検索するキーワードだけでなく、コンテンツ内で使用されているキーワードにも注目し、広告を表示させます。
Google広告では、上記で紹介したターゲティング手法以外にも、広告の配信対象を絞り込むための様々なオプションが用意されています。これらの機能と組み合わせることで、より精緻なターゲティングが可能になります。
国、地域、市区町村、さらには特定の半径内など、地理的な場所を指定して広告を配信できます。
ユーザーが使用している言語に合わせて広告を配信します。例えば、言語を英語に設定した場合、英語を使用しているユーザーに対して広告が配信されます。地域を「日本」、言語を「英語」に設定すれば、日本国内にいる英語使用者にターゲットを絞った広告の配信が可能です。
特定の曜日や時間帯に絞って広告を配信できます。
パソコン、スマートフォン、タブレットなど、ユーザーが利用しているデバイスを指定できます。
さらに、広告の配信を避けたい特定の地域やキーワード、ウェブサイトなどを除外する「除外設定」も活用できます。これにより、無駄な広告表示を防ぎ、より効果的な広告運用を目指すことができます。これらの多様なターゲティングオプションを理解し、戦略的に活用することが、Google広告で成果を出すための鍵となります。
Google広告で成果を出すためには、適切なターゲティング設定が不可欠です。ここでは、目的別に広告効果を最大化するためのポイントをご紹介します。
この目的では、まだ自社やブランドを知らない潜在顧客にリーチすることが最優先です。カスタムセグメントで顧客が検索しそうなキーワードや、競合・関連サイトのURLなどを指定し、見込み客のセグメントを作成します。これにより、特定の関心を持つユーザー層に効率的にアプローチできます。
ブランド認知向上を目指す場合はユーザー属性などのターゲット設定を絞り込みすぎると、広告の表示機会が減少し、潜在層へのアプローチが困難となるため、絞り込みすぎないことも重要です。
この場合は、広告費に対するリターンを最大化することが求められます。すでに自社のブランドやサービスに興味を持っている、または購入を検討しているユーザーに集中的にアプローチすることが成功の鍵です。
ユーザーが過去にウェブサイトを訪問したことがある場合に、そのユーザーに広告を再配信するリマーケティングは効果的な手法です。また、アフィニティセグメントやライフイベントを設定することで、自社の商品やサービスを「欲しくなるタイミング」を狙って関連性の高い広告を配信することも、高い効果が期待できます。
Google広告のターゲティングは、広告効果を最大化するための鍵となります。これまで解説してきたように、Google広告にはオーディエンスターゲティングとコンテンツターゲティングを中心に、多岐にわたるターゲティング手法が用意されています。
これらのターゲティングを効果的に組み合わせることで、
といったメリットが期待できます。
これらのターゲティング手法を理解し、自社のビジネス目標やターゲット顧客層に合わせて適切に設定・運用していくことが、広告効果を飛躍的に向上させるための最良の方法と言えるでしょう。