Google広告では、検索キャンペーンの自動化を強化する機能として「AI Max」の導入が進められています。これに伴い、動的検索広告(Dynamic Search Ads、以下DSA)は、2027年2月からAI Maxへ自動的に移行される予定です。
本記事では、AI Maxの基本的な仕組みとDSAからの変更点を整理したうえで、移行前・移行時・移行後に広告運用者側とクライアント側が行うタスクについて解説します。
目次
AI Maxとは、既存の検索キャンペーンにおいて、広告の配信対象や広告文、リンク先などをGoogleのAIによって最適化する仕組みです。Performance Maxのような独立したキャンペーンタイプではなく、従来の検索キャンペーンの構成を維持したまま利用できます。
AI Maxの中心となる機能は、「検索語句とのマッチング」と「アセットの最適化」の2つです。「検索語句とのマッチング」は、登録したキーワードだけでは捉えにくい、関連性の高い検索需要まで配信対象を広げる機能です。「アセットの最適化」は、ユーザーの検索意図に応じて広告文を調整し、関連性の高いリンク先ページへ誘導する機能です。
AI Maxの各機能やメリット、設定手順について詳しく知りたい方は、Google新機能「AI Max for Search campaigns」β版、2025年5月より順次提供開始!AIが拓く検索広告の新たな可能性もあわせてご確認ください。
DSAからAI Maxへアップグレードすると、動的広告グループは標準の広告グループに変換され、既存の動的検索広告はレスポンシブ検索広告へ移行します。その際、レスポンシブ検索広告の配信に必要な最低限のアセットは、「テキストのカスタマイズ」を利用して自動生成されます。
移行直後は、新しく作成されたレスポンシブ検索広告が審査を通過し、配信可能になるまで、従来の動的検索広告が一時的に並行して配信されます。新しいレスポンシブ検索広告が配信可能になると、従来の動的検索広告は自動的に一時停止され、閲覧のみ可能な状態になります。
DSAで使用していたURLに関する設定は、原則として移行時に引き継がれますが、「ページタイトル・内容に特定の文字列を含む」といった一部の従来ルールは、移行後に追加や編集ができず、削除のみ可能となります。
そのため、移行前に現在の設定と対象URLを確認し、AI Maxで継続的に管理できる方法へ整理しておく必要があります。
移行における運用者側・クライアント側それぞれの役割と主なタスクの全体像は以下の通りです。詳細は、次の項目で確認していきましょう。
| 時期 | 広告運用者の主なタスク | クライアントの主なタスク |
| 移行前 | 1. 対象キャンペーンと既存設定を棚卸し 2. 移行前の実績を保存 3. 広告のリンク先に使用するURLを整理 4. 広告文に関する要件を整理 5. コンバージョン設定と入札戦略を点検 6. トラッキング設定を確認・テスト | 1. 広告配信の対象とする商品・サービスを整理 2. Webサイトの情報を最新の状態にする 3. 広告表現に関するルールの共有 4. コンバージョンの優先順位と事業上の価値の共有 |
| 設計時 | 検索語句とのマッチング、URLの登録・除外、ブランド設定、テキストのカスタマイズなどを設計 | 設計内容を事業方針、法令・業界ガイドライン、ブランド管理の観点から確認 |
| 移行時 | 広告や広告グループの変換内容、設定の引き継ぎ、Googleによる広告審査の状況、計測動作を確認 | 自動生成された広告文やリンク先ページに問題がないかを確認 |
| 移行後 | 1. 検索語句・広告文・リンク先の組み合わせを確認 2. AI Maxが成果に与えた影響を評価 3. 広告データをWebサイト改善に活用 | 1. 問い合わせや売上実績を広告運用者へ共有 2. Webサイトの更新情報を事前に共有 |
まず、DSAを使用しているキャンペーンと広告グループを特定します。あわせて、「テキストのカスタマイズ」やインテント マッチのキャンペーン設定、ページフィード、動的広告ターゲット、URLの除外、除外キーワード、入札戦略、コンバージョン設定、トラッキングテンプレートなどの利用状況を一覧にまとめます。
特に、DSAで設定しているルールは、名称だけでなく、実際にどのページが配信対象になっているかを確認することが重要です。
あわせて、既存の検索語句を、成果が得られているもの、引き続き検証するもの、明確に配信対象外とするものに分類し、必要に応じて除外キーワードを追加します。
競合ブランドや取扱対象外のブランドなど、事業内容や広告配信の目的と一致しない検索意図による流入がないかを確認するとともに、「ブランドの登録」と「ブランドの除外」の利用方針も整理します。
AI Maxへの移行前後で成果を比較できるよう、検索語句、リンク先ページ、コンバージョン数、CPA、ROASなど、キャンペーンの目的に応じた実績を保存します。
ただし、成果には季節性や競合状況、予算変更なども影響します。利用条件を満たす場合は、Google広告のAI Maxテストを活用し、同じ期間・条件でAI Maxを有効にした場合と無効にした場合の成果を比較します。
Webサイト内のURLを、「広告のリンク先として使用するページ」「条件に応じて使用するページ」「使用しないページ」に分類します。
(除外候補例:採用情報、IR情報、利用規約、プライバシーポリシー、ログイン画面など)
広告文に必要な表記、使用できない語句、商標の表記方法、価格やキャンペーン期間、法令・業界ガイドラインによる制約などを整理します。
自動生成された広告文に使用できる表現が限られる場合は、「テキストのカスタマイズ」を利用しても問題がないか事前に検討します。最終ページURLの拡張を利用するにはテキストのカスタマイズを有効にする必要があるため、各機能の関係も踏まえて設定を判断します。
AI Maxの機能を効果的に利用するには、コンバージョンに基づくスマート自動入札との併用が推奨されています。そのため、AI Maxを導入する前に、コンバージョン設定と入札戦略がキャンペーンの目的に合っているかを確認します。
問い合わせ後に商談や受注へつながる事業では、可能であればオフラインコンバージョンを活用し、商談化や受注などのデータをGoogle広告へ反映することも検討します。
最終ページURLの拡張を有効にすると、広告に設定したURLとは異なるページがリンク先として使用される場合があります。
そのため、AI Maxを有効にする前に、リンク先として選ばれる可能性がある複数のページで遷移テストを行います。Google Analytics 4などのアクセス解析、Google広告のコンバージョンタグ、外部の計測ツールにデータが正しく記録されるかも確認します。
広告配信の対象とする商品・サービスと、対象外とする商品・サービスを整理し、広告運用者へ共有します。
対象ページのURLだけでなく、商品カテゴリ、ブランド、提供地域など、配信対象を判断するために必要な情報を整理しておくことが重要です。
Webサイトに古い情報や誤った情報が掲載されていないかを確認します。
AI Maxでは、「テキストのカスタマイズ」や「最終ページURLの拡張」を有効にしている場合は、Webサイトの情報が広告文の生成やリンク先ページの選択に利用されます。 そのため、情報が更新されていないページが配信に使用されると、広告の内容と実際の提供条件に相違が生じ、ユーザーに誤解を与える可能性があります。
広告で使用できない表現、必ず併記しなければならない注意事項、商標やブランド名の表記方法、数値を用いた訴求に必要な根拠、他社との比較表現の可否などを整理し、広告運用者へ共有します。
特に、医療、金融、人材、不動産など、法令や業界ガイドラインによる広告表現の制限を受けやすい分野では、生成された広告文をどのタイミング・頻度で確認するか、事前に決めておく事が推奨されます。
問い合わせ、資料請求、会員登録、商品購入、来店予約など、複数のコンバージョンを計測している場合は、それぞれの事業上の優先順位を広告運用者へ共有します。
コンバージョンの種類によって商談化率、成約率、粗利、継続率などが異なる場合は、可能な範囲でコンバージョン値の設定やオフラインコンバージョンの計測に反映します。これにより、単に件数が多いコンバージョンではなく、事業への貢献度が高い成果を重視した広告配信につなげやすくなります。
AI Maxへの移行は、すべてのキャンペーンを一度に変更するのではなく、事業への影響が比較的小さく、効果検証に必要なデータが蓄積されているキャンペーンから段階的に進めます。
対象キャンペーンを決めたら、「検索語句とのマッチング」「テキストのカスタマイズ」「最終ページURLの拡張」のうち、どの機能を有効にするかを、広告表現の制約、配信対象URL、コンバージョン設定、計測環境などを踏まえて判断します。
アップグレードの確認画面では、広告グループや広告の変換、URL設定の引き継ぎ、サポートされていない動的広告ターゲットなどを確認します。移行後は、広告の配信状況、生成されたアセット、URLやブランドの設定、計測動作に問題がないかを確認します。
従来の検索語句の精査に加え、実際に表示された広告見出しと、リンク先として使用されたページをあわせて確認します。AI Maxの検索語句レポートでは、検索語句、広告見出し、URLを組み合わせて確認できます。
検索語句とリンク先ページの関連性が高くても、広告文がページの内容を正確に表していない場合があります。反対に、広告文が検索意図に合っていても、総合案内ページなどがリンク先として選ばれることで、ユーザーが必要な情報を見つけにくくなる可能性もあります。
検索語句、広告文、リンク先ページの組み合わせに問題がある場合は、除外キーワード、URLの登録・除外、ブランド設定、広告グループの構成、Webサイトの内容など、どの部分を修正すべきかを切り分けます。
AI Maxによって新たに配信された検索語句と、そこから発生したコンバージョンを確認します。ただし、新しい検索語句からコンバージョンが発生していても、既存のキーワードで獲得していた成果が置き換わった可能性があります。
そのため、AI Max経由の実績だけで判断せず、キャンペーン全体のコンバージョン数、CPA、ROASなどがどのように変化したかを確認します。可能であれば、Google広告のAI Maxテストを利用し、AI Maxを有効にした場合と有効にしていない場合の成果を比較します。
成果につながっている検索語句に対応する専用ページがWebサイトにない場合は、新しいページの作成や、既存ページへの情報追加をクライアントへ提案します。
例えば、特定の用途や課題に関する検索からコンバージョンが多く発生している場合、その検索意図に対応する情報をページ内で充実させることで、ユーザーが必要な情報を見つけやすくなる可能性があります。
一方、クリック数が多いにもかかわらずコンバージョン率が低いリンク先ページについては、訴求内容、サイト内の導線、入力フォームの使いやすさ、スマートフォンでの表示などに問題がないかを確認します。
広告運用者から共有されるレポートを、コンバージョン数やCPA、ROASなどの広告指標だけで評価するのではなく、実際の問い合わせ内容や商談・売上の実績と照らし合わせます。
これらの情報を広告運用者へ共有することで、AI Maxを導入したキャンペーンが実際の事業成果につながっているかを判断しやすくなります。
新しい商品・サービスページの公開、価格や提供条件の変更、キャンペーンの終了、在庫切れ、URLの変更などは、AI Maxの広告配信に影響する可能性があります。
「テキストのカスタマイズ」を有効にしている場合は、Webサイトの情報が広告文の生成に利用されます。また、「最終ページURLの拡張」を有効にしている場合は、新規ページや更新されたページが広告のリンク先として選ばれる可能性があります。
そのため、更新予定と変更内容を広告運用者へ事前に共有するルールを設けます。
AI Maxへの対応は、Google広告の設定変更だけでは完結しません。
また、Web広告の運用会社を選ぶ際は、AI Maxの設定方法だけでなく、計測環境の点検、商談・売上を踏まえた成果評価、ランディングページの改善、仕様変更への対応、クライアントとの情報共有まで支援できるかを確認しておくと安心です。
弊社では、Google広告をはじめとするWeb広告について、配信戦略の設計から運用、効果検証、改善提案まで一貫して支援しています。
AI Maxへの移行についても、既存の広告アカウントやDSA設定の整理、検索語句・広告見出し・リンク先ページの分析、コンバージョン設定と計測環境の確認、移行後の改善まで、貴社の目的や運用状況に応じてご提案します。AI Maxへの移行や現在の広告運用に課題をお持ちの方は、アウンコンサルティングのWeb広告運用支援をご覧ください。
※本記事は2026年8月27日時点で確認できる情報をもとに作成しています。Google広告の仕様や移行スケジュールは変更される可能性があるため、実際の対応時にはGoogle広告管理画面および公式ヘルプもあわせてご確認ください。