こちらのコラムでは、各国のインバウンドプロモーションにおける取り組み事項や優先順位をコロナ禍の現況を踏まえて解説致します。
まず、インバウンドプロモーション再開に向けて、国ごとの訪日客数のバランスを理解しておくことは、施策の優先順位を考える上で大切なポイントです。
上のグラフは、2019年の訪日客数の割合を表したグラフです。年間3,188万人の訪日客の中で、上位4国はアジア圏の国です。2018年は韓国がトップでしたが、2019年は中国が韓国を追い抜く結果となりました。そしてアジアに次いでアメリカ・タイ・オーストラリア・東南アジアという順です。
アフターコロナのWebプロモーションでは、各国の国と国との往来に関する規制に注意する必要があります。
日本での入国規制は、先程紹介した訪日客数上位国に対してはほとんど変わりませんが(4/30時点)、各国からの出国時や旅先からの入国(帰国)時は国ごとに対応が異なります。上の表を見ると、ゼロコロナ国である中国・台湾は受け入れ体制が厳しい状況です。
対して、ウィズコロナ国である東アジア意外の国は、3回のワクチン接種済みの場合隔離なしで入国が可能です。このような各国ごとの政府方針を踏まえてWebプロモーションの優先順位を考えることが必要です。
日本政府観光局が公表した4月の訪日外国人数(推計値)は13万9500人となり、新型コロナウイルス感染拡大の影響が本格化した2020年3月以来2年1カ月ぶりに10万人を上回りました。4月の入国者数は国別でベトナムが2万9800人、中国が2万2400人、インドネシアが1万1700人で、一時止まっていた留学生の受け入れが再開したことが要因となり、上記からの入国者が多い結果となりました。
また、政府は感染者数の落ち着きを受けて3月から観光目的以外の入国を段階的に緩和し、4月10日以降は1日当たり1万人程度の入国を認めています。
※引用:Newsイッチ(日刊工業新聞記事2022年4月22日)
https://newswitch.jp/p/32221
日本では、観光目的の訪日客を受け入れるべく、実証実験を5月から実施しています。
対象国は、訪日重点市場の4カ国(アメリカ、オーストラリア、タイ、シンガポール)で、ウィズコロナの政策を取っており、従来の訪日客数が多かった国を選抜しています。
政府は6月から入国者の上限を1万人から2万人に引き上げており、本格的な訪日旅行客受け入れ時期においても、このような国の優先度が高くなることが予想できます。
上のグラフは、2019年3月から2022年4月までの「日本旅行」に関する検索数のトレンドを表したグラフです。各国とも2022年のはじめを堺に検索数が激減していることが分かります。
タイ・アメリカ・オーストラリアでは2022年2月頃を堺に徐々に検索数が回復しています。これらの国は、ウィズコロナ国のため訪日旅行客の早期回復が見込めますが、欧米欧州圏(アメリカ・オーストラリア)と比較すると、東南アジア圏であるタイの検索数は回復が鈍いことが分かります。
インバウンドプロモーション再開時の優先順位は以下の通りです。
1. 上位対象国におけるコロナ方針(ウィズコロナ>ゼロコロナ)※及び日本の受入規制
2. 従来の訪日旅行客数(多い国)
3. 消費金額の多い国 ※ただし実質(現地通貨換算)の消費金額が重要
また、プロモーション方法については「ウィズコロナ国」と「ゼロコロナ国」で方針を分ける必要があります。
国際旅行に対して前向きな姿勢を持つウィズコロナ国には販売促進型のプロモーション、ゼロコロナ国に対しては認知・関心層向けの施策(SNS)やSEO、Web/SNSコンテンツ整備などの、成果が出るまでに時間がかかる施策をおすすめします。
インバウンドプロモーションにおける優先順位③の消費金額について解説いたします。
インバウンドWebプロモーションでは、消費金額も考慮する必要があります。各事業者様によって訪日における収益のポイントは異なるため、過去の消費金額の内訳や各国における消費力を理解しておきましょう。
上のグラフは2015・2018・2019年の訪日外国人の消費金額とカテゴリーを表しています。2019年の消費金額は4.8兆円で、前年比6.5%と少しずつ増えてきています。
カテゴリーの内訳では30%が宿泊費、買い物代が35%、飲食が20%強で、少しずつウエイトの変化が見られ、買い物から体験型の娯楽・サービスや飲食にシフトしています。
上の図は2015年から2022年までの訪日外国人の消費金額を国別にまとめたのもです。
韓国人は滞在期間が短いため消費金額が比較的低く、中国人は「爆買いブーム」が理由で欧米圏に並ぶほどの多さです。
2019年では、「爆買いブームの終息」と「ラグビーワールドカップ」があったため、中国人の消費金額が減少し、欧米欧州圏からの訪日客の消費金額が増加すると言われていました。
結果、イギリス人の消費金額は日本円比で115%、現地通貨比で152%増加しました。
一方中国は、「爆買いブームの終息」により消費金額の減少が心配されましたが、現地通貨比では91%と著しく減少することはありませんでした。
消費金額は為替レートにより常に変動するため、参考にする際は、現地通貨比(現地の通貨でどのくらい消費したか)を参考にすると、よりリアルなトレンド分析をすることができます。
ここまでは、インバウンドプロモーションにおける取り組み事項やコロナ禍の現況ついて解説いたしました。
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