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    2020.04.15

コロナ不況 政府水際対策の影響でインバウンド消費額月間3,000億円減の見込み コロナショック 観光・百貨店へ直撃 家電品は在庫不足に

コロナショック 観光・百貨店へ直撃 家電品は在庫不足に

  新型コロナウィルス感染拡大の影響が企業の業績に影響し始めています。エイチ・アイ・エス(HIS)は3月2日、2020年10月期通期(2019年11月1日〜20年10月31日)の売上高を従来の9000億円から13.9%減の7750億円に、営業利益は193億円からマイナス91.2%の17億円へ下方修正する見通しを明らかにしました。国内最大級のレストランクルーズ船を運行する神戸のルミナスクルーズが、新型コロナウイルスの感染拡大によるキャンセルの増加を受け、3月2日に民事再生法の適用を申請し倒産。3月4日には、沖縄県の旅行大手・沖縄ツーリストが従業員体制を4割縮小し、政府の雇用調整助成金制度を使い、毎日250名ほどを雇用継続のまま3月末まで休ませると発表しました。3月2日に百貨店各社が発表した売上速報にも大きな影響が見られます。J.フロント リテイリング(大丸松坂屋など)は、2月の百貨店事業の売上高が前年同月比で21.4%減少。2019年に新本館をオープンさせた大丸心斎橋店を含め、各店舗が軒並み10%以上売り上げが減り、なかでも免税売上高が同比75%も減っています。エイチ・ツー・オーリテイリング(阪急阪神百貨店など)も、2月の既存店売上高が前年同月比14%減少。新規出店のおかげで全店舗計は同1.2%減で済んだものの、インバウンド売り上げは同68%減だった。とくに旗艦店である阪急(うめだ)本店のインバウンド売り上げは同比73%減と、苦しい結果となりました。(参照※1)3月4日、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は、国内線予約が4割減したことを理由に国内線の減便を発表しました。3月6日~12日に羽田-新千歳と羽田-福岡間という重要路線を3割~2割減便し、13日以降も状況を見ながら減便を検討する予定です。JR東日本では3月の新幹線指定席予約状況が前年比5割減。在来線でも企業の在宅勤務の影響などで利用者が減り、2月の鉄道事業は110億円の減収の見込みです。日本バス協会が貸し切りバス事業者51社に実施したアンケート調査によると、1~4月のキャンセル数は1万1000件以上に上っています。2月の中国政府による団体旅行禁止の影響などでインバウンド向けのキャンセルと、3月の自粛による国内観光ツアーや企業イベントの影響を受けた形です。日本旅行業協会によると、個人旅行の予約状況が、国内旅行予約は3月が前年同月比3割減、4月は5割減と減少幅が拡大しています。(主要7社、2月末時点)(参照※2)
  新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に、政府は3月6日、訪日外客数の55%を占める香港・マカオを含む中国、韓国からの入国者に対して、3月末までビザの効力停止、ビザの免除停止、2週間の待機要請など、水際対策を抜本的に強化しました(参照※3、グラフa)。また、日本国内での感染拡大を受けて、訪日客の多い台湾、タイでは、日本からの渡航自粛要請や帰国者の隔離措置などを行っています。当面の間、これらの国と地域からの訪日客は大幅に減少する見込みです。2019年、4兆8,000億円だったインバウンド消費額のうち、中国・香港・韓国で全体の53%のシェアを占め、これに台湾・タイも加えると68%にも上ります(参照※3、グラフb)。一人当たり消費額では、訪日外客数最大の中国は他国に比べて多額の買い物をする傾向がみられます。(参照※3、グラフc)日本総研のインバウンド消費への影響の試算によると、中国・香港・韓国の訪日客が9割減、台湾・タイを7割減と想定し、さらに、上記以外の国・地域からも訪日客が3割減少すると仮定すると、インバウンド消費は月間で約3,000億円(全体の約7割)減少する計算となります。混乱が長引き、この今回の措置が延長された場合には、影響はより甚大となります。地域別にみると、中国(含む香港)からの旅行者の比率が大きい中部・近畿地方や、韓国人旅行者の比率が大きい九州地方でとりわけ深刻な打撃を被る恐れがあります(参照※3、グラフd)。

訪日外国人消費額の国籍別シェア
訪日外国人の1人あたりの消費額

  家電量販店にも新型コロナウィルスの影響がでてきています。引っ越しシーズンにもかかわらず、中国からの部品調達が滞り、パナソニックはシステムキッチンやトイレ機器「アラウーノ」、ビルトイン型の食器洗い乾燥機について、受注停止や納入を延期しています。新型コロナ対策としてテレワークを推進する企業の増加と、Windows7のサポート終了にともなう買い替え需要も続いていて、パソコンの需要が増えていますが、在庫切れの製品が出始めています。また、国内電機大手にとって国内テレビは重要な市場で、この数年は「台数は横ばい。単価上昇で売上高は増えている」製品だったが、五輪延期が決まり、テレビの買い換え需要の大きな落ち込みが懸念されます。(参照※4)

※1 コロナ不況 | Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/post-209037
※2 ホテル・旅館・バス・鉄道・航空 :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56384710U0A300C2TJ2000/
※3 水際対策でインバウンド消費激減|日本総研
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/research/pdf/11614.pdf
※4 新型コロナ家電在庫切れ | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/335255

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