台湾では、毎年8月8日が「父の日」として親しまれている。
中国語で数字の「八」は「バ(bā)」と発音され、「八八(8月8日)」は「爸爸(パパ)」の音に近いため、語呂の良さからこの日が父の日に定められた。
この風習は1945年、戦争中に亡くなった父親たちを追悼する目的で始まったのがきっかけとされており、その後台湾全体に広がり、現在では家族の記念日として定着している。
台湾の父の日は祝日ではないが、多くの家庭では食事会やプレゼントなどを通じて感謝の気持ちを伝える。近年はホテルや百貨店がこの日に合わせた特別企画を多数展開している。
例えば、台北や高雄のホテルでは、ロブスターやアワビを含む特別コースを提供するほか、「88折(12%オフ)」といった語呂にちなんだ割引キャンペーンも実施されており、父の日ならではの演出が楽しめる。
新光三越などの大手百貨店では、会員限定のキャンペーンや抽選イベントも行われており、スマートウォッチや生活家電などが人気のギフトとして注目されている。
また、一部地域では親子参加型のチャリティイベントやスポーツ企画も行われており、健康と絆をテーマにした取り組みが広がっている。
台湾の父の日は、「八八」という語感を活かしたユニークな記念日でありながら、家族を大切にする文化や、感謝を形にして伝える風習が色濃く表れている。
日本とは異なる日程や風習を知ることで、台湾という国の価値観や暮らしぶりに触れる機会にもなる。8月に台湾を訪れる際は、街中の父の日ムードにも注目してみると興味深い発見があるかもしれない。