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    公開日:2025.12.24

台湾の検索エンジンシェアとプロモーション戦略

デジタル化が加速する台湾市場において、検索エンジンは依然として情報収集や購買検討における主要なタッチポイントです。しかし、台湾独自の言語文化や強力なコミュニティサイトの存在により、日本とは異なる独自の検索行動が定着しています。

本稿では、台湾における検索エンジンのシェア、現地ユーザー特有の検索習慣、プロモーション戦略のポイントを解説します。

1. 台湾の検索エンジンシェア(2025年版)

台湾の検索エンジン市場は、長らくGoogleが圧倒的な首位を維持していますが、日本と同様に特定のポータルサイトが一定の存在感を示し続けています。「Digital 2025: Taiwan(DataReportal)」などの最新データに基づくと、現在の市場構造は以下の通りです。

(1)Google

台湾の検索市場において、Googleは9割を超える圧倒的な占有率を誇ります。PC・モバイルのいずれにおいても、検索機能のみならず、マップ、YouTube、Gmailといった周辺サービス全体を通じて、ユーザーの生活に深く根付いています。

(2)Yahoo!奇摩(Yahoo! Taiwan)

画像引用元:https://tw.yahoo.com/

かつて台湾で最大のシェアを誇っていたYahoo!奇摩は、Googleに首位を譲った後も根強いユーザー層を保持しています。ニュース、ショッピング、メールといったポータル機能を日常的に利用する層が多く、40代以上の世代や特定のコマース領域では、依然として無視できない存在感を放っています。

(3)Microsoft Bing

近年、注目すべき動きを見せているのがMicrosoft Bingです。AI検索機能の導入により、デスクトップユーザーを中心にシェアを微増させています。情報の比較検討や、より詳細な回答を求めるユーザーに選ばれるケースが増えており、B2B領域やビジネス層向けのプロモーションにおいて、新たな検討材料となりつつあります。

2. 台湾ユーザー特有の検索行動とコミュニティ文化

台湾のユーザーには、日本とは異なる独自の検索習慣が見られます。情報の信頼性を検証するプロセスにおいて、検索エンジンと並んで掲示板やSNSが極めて重要な役割を果たしているのが特徴です。

(1)繁体字中国語による検索とローカライズ

台湾の公用語は中国語ですが、文字は繁体字を使用します。語彙や言い回しには台湾独自の表現が多く、注意が必要です。

例えば「ソフトウェア」を指す言葉も、中国大陸では「軟件」とされるのに対し、台湾では「軟體」と表現されます。キーワード選定において台湾特有のローカライズがなされていない場合、検索結果に表示されにくいだけでなく、ユーザーに違和感を与えてしまう懸念があります。

また、検索時には「名詞 + 推薦(おすすめ)」や「地名 + 宿泊 + 評価」のように、単語の間にスペースを挟みながら具体的かつ目的を絞ったフレーズで検索する傾向があるのも特徴です。

(2)「Dcard」や「PTT」など掲示板文化の検索影響力

台湾では、匿名掲示板である「Dcard(ディーカード)」や「PTT(ピーティーティー)」の存在感が絶大です。Googleで検索を行う際にも、頻繁に「商品名 + Dcard」や「ブランド名 + PTT」といったキーワードが組み合わされます。

Dcard

大学生から30代前半の若年層が中心。美容、恋愛、ガジェット、就職など、ライフスタイル全般の口コミが活発です。

参考🔗Dcard広告活用ガイド:台湾発の若年層向けSNSの基礎知識を解説

PTT

30代以上のユーザーが多く、テクノロジー、専門的な議論、速報性が高いことが特徴。 ユーザーは公式サイトの情報よりも、これら掲示板での「本音」を重視して検索・比較を行う傾向があるため、SEOにおいてもこれらのサイト内での評判が影響を及ぼすことがあります。

(3)SNS検索の併用(Facebook, Instagram, Threads)

検索エンジンだけでなく、SNSを検索ツールとして活用するのも台湾市場の大きな特徴です。飲食店や観光情報を探す際、Google検索と並行してInstagramやThreadsでハッシュタグ検索を行い、リアルタイムの口コミを確認します。特に若年層では、Googleで概要を把握し、SNSや前述の掲示板で実態を裏付けるという行動様式が定着しつつあります。

3. 台湾市場向けプロモーションの戦略的アプローチ

独自の検索習慣やコミュニティ文化を考慮した際、プロモーション設計において検討すべきポイントを整理します。

(1)SEO(検索エンジン最適化)

台湾でのSEOはGoogleへの最適化が主軸となりますが、市場の特性を捉えた多角的な視点が欠かせません。

対象エンジンの優先順位

基本的にはGoogleのアルゴリズムに基づいた施策が最優先です。ただし、PC利用者が多いB2B領域や特定のビジネス層を狙う場合は、シェアを伸ばしているMicrosoft Bingでの表示状況も無視できません。

自社サイトを超えた露出(外部ドメイン活用)

台湾の検索結果では、掲示板や大手メディアが上位を占めることが多々あります。自社サイトの順位向上だけでなく、これら外部プラットフォーム内での言及を増やし、検索結果の面を確保する視点も有効です。

(2)SEM(リスティング広告)

Google広告をメインに据えるのが一般的ですが、ターゲット属性によって媒体を使い分ける視点も大切です。

ターゲット層による媒体選定

B2B企業やビジネス層を狙う場合、デスクトップ利用時のEdgeブラウザの影響力を考慮し、Bingへの配信が補完的な役割を果たすことがあります。また、特定の高所得層や主婦層にはYahoo!奇摩のポータル面が依然としてリーチしやすい側面があります。

訴求のローカライズ

台湾のユーザーは直接的なメリット(例:買一送一=1つ買えば1つ無料)を好む傾向があり、広告文も現地の商慣習に合わせた表現への調整が求められる場合があります。

(3)UGC(ユーザー生成コンテンツ)

台湾ユーザーはGoogle検索後、情報の真偽や評判を確かめるために、掲示板やSNSで「指名検索」を行うのが通例です。この検索行動の終盤で、納得感のある口コミに触れられる状態を整えておくことが理想的です。

「指名検索」に合わせたコンテンツの蓄積

ユーザーが「商品名 + 口コミ」や「ブランド名 + 評判」で検索した際に、Dcardや有力なブロガー記事、SNSの投稿が検索結果に並んでいる状態を目指します。公式サイトだけでは解決しない実際の使用感や他社との比較という疑問に対し、第三者のレビューをWeb上に点在させておく手法が考えられます。

コミュニティ内での「話題性」の創出

台湾特有の掲示板文化(DcardやPTT)において、自然な形での体験談や議論が発生するよう、モニターキャンペーンやサンプリングを通じた「語られるきっかけ」を設けることも一つの選択肢です。これにより、検討フェーズのユーザーが目にする情報の信頼性が高まり、最終的な意思決定を後押ししやすくなります。

4. FAQ(よくある質問)

A. 一般的には有効ではありません。台湾ではGoogleが主流であり、百度のシェアは極めて限定的です。

必ずしも連動するとは限りません。 台湾のYahoo!奇摩はMicrosoftの「Bing」の検索技術を採用しています。 GoogleとBingでは検索結果を決定する仕組み(アルゴリズム)が異なるため、Googleで1位でもYahoo!奇摩では2位以下というケースも珍しくありません。「Bing Webマスターツール」の活用などが推奨されます。

3. 台湾のユーザーは英語のリテラシーが高い層も多いですが、検索行動の大部分は繁体字中国語で行われます。キーワード設定やランディングページの内容は、繁体字をベースに構築することが基本です。

5. まとめ

台湾のデジタル市場はGoogleを中心とした構造を持ちつつも、DcardやPTTといった独自の掲示板文化、そしてSNSの活用によってユーザーの検索行動が非常に多層化しています。最新の統計データを踏まえたチャネル選定と、現地ならではの文化や言語に最適化されたコンテンツ制作が、成果を左右する要素となります。

単に情報を発信するだけでなく、検索結果に現れる「信頼できる情報群」をいかに構築するかが、成熟した台湾市場で選ばれ続けるためのポイントの一つといえるでしょう。

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