近年、台湾の電子商取引(EC)市場は急成長を遂げ、2021年には百貨店やコンビニを抜いて最大の小売チャネルとなりました。特に2015年から2020年の5年間で業界規模が117.9%増加し、2024年には市場規模が4738億台湾ドル(約2兆2000億円)に達する見込みです。
一方で、消費者の行動変化により、OMO(Online Merges with Offline)戦略を導入する企業が増加。2024年には、EC業界の38%を占めるOMO型の小売業者が、全体売上の85%を生み出すまでになりました。しかし、流通の分散化や競争の激化により、EC事業者にとって新たな課題が生まれています。
台湾市場で急成長を遂げるECプラットフォーム「SHOPLINE」は、2025年に向けた新たな戦略を発表しました。以下の4つの主要施策により、EC事業者の成長を支援するとしています。
この施策により、SHOPLINEは「全方位零售整合專家(オールインワン小売統合専門家)」としてのポジションを確立し、台湾通販サイト業界での競争力を高めることを狙っています。
旅行ECプラットフォーム「KKday」は、急激な市場変化への対応として、全体の約3.7%にあたる38名の従業員を解雇しました。パンデミック後の観光回復に伴い、消費者の選択肢が広がり、台湾通販サイト市場での競争がより厳しくなっています。
KKdayは今後、台湾を中心としたグローバル戦略の再編を進めるとし、組織の効率化と市場適応力の向上を目指しています。
韓国発のEC大手Coupangは、台湾市場での成長を加速させるため、「商城(マーケットプレイス)」モデルを導入しました。2025年上半期の正式ローンチに向けて、現在「手数料ゼロ」の試験運用を行い、出店者の誘致を進めています。
Coupangの台湾市場での売上は2024年第4四半期に前期比23%増と好調ですが、競合であるmomo購物網(momo)の31%増には及びません。市場の覇権を握るためには、Shopeeを超える流量(トラフィック)の確保が鍵となります。
統一、富邦媒(momo)、PChome、全聯、Coupangの台湾小売大手5社は、総額1000億元以上を投じて物流インフラを強化し、2025年の市場競争に備えています。
消費者の期待する配送スピードは年々加速しており、6時間以内の即日配送が求められる時代に突入しています。今後の競争は、「どこよりも早く届けられるか」が決定的な要素となるでしょう。
台湾のEC市場は成長を続けていますが、競争が激化し、生存競争が加速しています。OMOの進展、マーケットプレイスの競争、物流のスピード化など、多くのプレイヤーが独自の戦略を展開しながら市場での優位性を確立しようとしています。
2025年に向けて、プラットフォームごとの差別化戦略、物流網の強化、そして消費者のニーズを捉えた新しいビジネスモデルの導入が、台湾通販サイト業界での生き残りをかけた鍵となるでしょう。
【出典元】
※ SHOPLINE台灣總經理徐向緯:2025零售業是一場動態的淘汰賽 | 工商時報
※ 知名旅遊電商平台「大規模裁員」!員工痛哭:3天前才剛加班 | 太報 TaiSounds
※ 酷澎悄悄進攻「商城」,劍指蝦皮?台灣市場業績「季增23%」背後,拆解電商巨頭佈局 | 數位時代
※ 電商零售業迎挑戰的一年 SHOPLINE推4新策助攻台灣商家 | 自由財經
※ 台灣5大零售巨擘砸逾千億拚物流 2025是決戰起點 | 中央社 CNA
※ 酷澎悄悄進攻「商城」,劍指蝦皮?台灣市場業績「季增23%」背後,拆解電商巨頭佈局 | 數位時代
※ 【觀點】哪種電商能幹掉蝦皮?一句話看懂市場:只有你不敢買的,沒有廠商不敢賣的! | 數位時代