2024年の終わりには、旅行業界は完全に回復し、コロナ前の水準に戻ると予測されています。McKinsey が旅行トレンドを調査し「The state of travel and hospitality 2024(2024年旅行・ホスピタリティ産業の現状)」レポートを公開しています。そのレポートのハイライトをご紹介いたします。
McKinsey は、2024年2月~3月に中国・米・英・独・UAE の過去2年以内に観光旅行をしたことのある 5,000 人にアンケートを実施し、今の旅行者の姿を調査しました。
アンケートに回答した旅行者の66%が、コロナ前より旅行に関心を持っていると回答しました。特にミレニアム世代やZ世代の若者の旅行意欲が高く、収入に対する旅行費用の割合も高い傾向があります。また、若い世代は海外旅行を好み、年齢があがると国内旅行を好む傾向があります。若年層旅行者の92%が、SNSの他の人の投稿に触発されてたびに出かけたことがあると回答しています。
中国の旅行者の69%は、次の旅行で有名な観光地に行く予定と答えていますが、ヨーロッパや北米の旅行者でそう答えた人は20%のみです。UAEの旅行者も、有名な観光地を好みますが、それと同じくらいショッピングやアウトドア・アクティビティにも関心を持っています。
McKinsey が注目する旅行業界トレンド3つは、1)国内旅行消費が旅行消費全体の75%を占め、2)インドや東南アジア、東欧が海外旅行送客市場として成長が見込まれる点と、3)サステイナブル・ツーリズムの興隆で思いがけない目的地が旅行者の注目を集める可能性があります。例えば、ルワンダは、ゴリラ・トレッキング許可を限定販売することで、環境保護と収益向上の両方を図っています。
旅行・ホスピタリティ産業の中で、最も成長している分野は、富裕層ホスピタリティ分野です。しかし、今の富裕層は、あなたが思い描いている富裕層とは異なっているかも知れません。多くの富裕層旅行者は、60歳以下で、そして必ずしもヨーロッパや米国からの旅行者とは限りません。また、贅沢な旅行を好む旅行者のなかには、全方位的に贅沢三昧の旅行をする旅行者だけではなく、ある人は食事への出費を惜しまず、ある人は片道は贅沢にファーストクラスにアップグレードしたい、などお金をかけるポイントが人によってまちまちな傾向がみられます。
もうひとつ、今の旅行者の大きな特徴として、モノより思い出、体験に価値を置いている点があげられます。下のグラフは、1959年を100とし、米国消費者のモノ(Things)への裁量消費額と、思い出・体験(Experiences)への裁量消費額の推移です。
富裕層向けのサービスは、旅行者のニーズを予測し、期待を超える大切な思い出つくりを支えるスタッフ確保・育成への投資が、大理石の床や金メッキの浴槽への投資より、より多くの利益を得る可能性が高いでしょう。
【出典元】 ※1 What are the latest travel trends? | McKinsey