Year of the Dragon 春節広告セレクション｜辰年の春節　広告は受容・不安・富を表現

英国のマーケティング・メディア業界向けパブリッシャー、The Drum が、2024年春節のベスト広告を選んでいます。
2024年の春節は2月10日(土)に新年を迎え、2月25日(日)まで2週間のあいだ続きました。中国の干支占いによると、2024年、辰年は、大いなる繁栄とチャンスに恵まれる年と言われています。

世界中で約15億人が春節を祝うと見込まれ、多くの企業が春節広告を実施しています。The Drum が選ぶ2024年ベスト春節広告は、Apple の「Shot on iPhone (iPhoneで撮影)」でした。ユーモラスなアプローチで、コミュニティや受容、相互理解といったテーマをインターネット時代らしい手法で撮影しています。動画の内容は、少女のかかえる容姿と自己アイデンティティへの葛藤が胸に迫る物語で、中国や世界中のZ世代が感じているであろう悩みを描いています。15分の広告スポットは、全て iPhone 15 Pro Max の アクションモードやシネマティックモードで撮影され、デリケートな題材を、生き生きと魅力的に表現しています。Appleの春節広告は毎年話題で、昨年の京劇役者になることを夢見る若者と困難な状況に遭遇したとしても成長するレジリエンスの力を描いた心温まる広告スポットに続き、今年で7回目のベスト広告となります。

シンガポールに本店を置き、アジア各国に展開しているDBS銀行は、幸運を呼び込む限定香水「Huat Eau De Parfum」を発売するというスポット広告を制作しました。「Huat」は、「上昇、拡大、富の増加」を意味し、春節期間中、なんども交わされる新年のあいさつ「恭喜發財」に含まれています。この香水について、もっと知りたい人はDBSのインスタグラムへアクセスするよう勧めています。動画では、僧侶を思わせる男性が、金色の布をまとい、従来、女性モデルが香水広告で見せていたようなポージングを披露しています。シンガポール政府の春節広告は、シンガポールの多様性とお互いを思いやるシェア・カルチャーの促進を促す、心温まる物語を描き、マレーシアのMaybank (メイバンク)は、ろうあ者のコミュニティにスポットを当て、爆竹が鳴り響き、久しぶりに再開した人々があちこちでおしゃべりに花を咲かせる、おそらく世界で最も音にあふれたお祭りを別の視点を描いています。

マレーシアのもう一つの銀行、RHBは、幼い頃から生きづらさを抱え、30代半ばで自閉症と診断された、アクティビストで起業家のベアトリス・レオンの物語を一人称で伝える春節広告で、自閉症への理解を促進しています。マレーシアのインターネットプロバイダー、Telco Time の春節広告には、主に中華系が祝う春節にも関わらず、インド系家族が食卓を囲むシーンから始まり、娘が「ちょっと待って。なぜ、春節のコマーシャルに私たちが登場しているの？」と質問するなど、コミカルにマレーシアの民族多様性を見せています。(参照※1)目頭が熱くなるものから、既存のジェンダー・バイアスやダイバーシティを上手に利用して表現した笑える広告まで、選出された作品はどれも見応えがあります。

【出典元】
※1：Best of CNY: The Drum celebrates the Year of the Dragon | The Drum
https://www.thedrum.com/news/2024/02/09/best-cny-the-drum-celebrates-the-year-the-dragon