ここ数年、香港では「日本」が改めて脚光を浴びています。
その背景には、為替の追い風、旅行需要の回復、そして日本文化への親近感があります。
今回は、香港の消費者や街の動きを手がかりに、今“香港的日本”がどのように映り、何が注目されているのかを探ってみたいと思います。
2025年現在、香港から日本へ旅するハードルはむしろ下がりつつあります。
円安が「いつもより少し良い料理」「少し上質な旅館」「少し豪華な買い物」を現実にしてくれます。
実際、香港の旅行会社や航空会社は、週末に有給を1日足して弾丸旅行を楽しむ客を想定したプランを強化しています。
ただ一方で、地震や台風などの噂が突然拡散することもあり、旅行需要には揺らぎが生まれています。
最近も、自然災害の情報をきっかけに、特定路線で便数の調整やキャンセルが発生しました。
そのため旅行事業者には、柔軟な日程変更対応やリスク説明が一層求められています。
香港の中心街では、ドン・キホーテ、無印良品、日系カフェ、和食店が目立つようになりました。
日本食品、菓子、家電、生活雑貨など、“日本製”のラベルは今も強い引力を持っています。
また、日本食品の展示会(たとえば Food Expo)は、香港のバイヤーと日本の輸出業者を結ぶ重要な交流の場となっています。
和食料理店の人気も続いています。
特に、寿司や割烹といった高価格帯の店は、料理の質や素材を武器に“体験価値”を高めています。
さらに、日本酒や焼酎もワインやウイスキーと並ぶペアリングの対象として注目され、「日本ならではの飲食体験」が都市の魅力として定着しつつあります。
香港では、Ani-Com & Games(ACGHK)などのアニメ文化イベントの存在感が圧倒的です。
2025年の会場拡張や出展社数の増加は、その熱気を如実に示しています。
こうしたイベントでは、日本の人気キャラクターやIPとのコラボグッズや限定商品が主要な“動線”となり、ファンはイベント参加を通じて自然に物販にも足を運びます。
また、街や飲食店でも“キャラコラボ×期間限定メニュー”が次々と展開され、
「フェスと店舗体験の融合」――すなわち“来場→購買→拡散”という回遊の仕掛けが定着しつつあります。
円安と旅行需要の回復をきっかけに、香港での「日本熱」は単なる一過性のブームではなくなっています。
その流れは次のような意味を持っていると考えられます。
香港において、日本はもはや「遠くて憧れる国」ではなく、「行きやすい国」「味わいやすい国」「カルチャーが身近な国」へと変わりつつあります。
そしてこの変化は、香港と日本の双方にとって、新しい可能性を生むレイヤーになるでしょう。