海外SEOとは、「google.co.th」や「google.com.vn」などの海外での検索エンジン且つ対象エンジンのメイン言語(多言語)で検索した際に自然結果の上位表示されるように(*1)、ウェブサイトの構成や記述などを最適化する調整することです。
*決して自然検索結果の上位に表示されることだけがSEOではありません。
海外SEOと国内SEOの違い、注意すべきポイントとしては、基本的なSEO対策に加えて各国特有の「検索エンジン特性」「インフラ環境」「言語」「法規制」に考慮する必要があるところです。こちらの記事では、これらの特徴について解説いたします。
海外SEOは、対象国向けのWebサイトさえあればすぐに取り組めるため、海外に拠点を構えたり、代理店などを介す必要がありません。
Web広告で海外向けにプロモーションを実施するには1ヶ月で10万円~100万円かかるところ、SEOは1度体制を整えれば追加コストを掛けずに集客が可能です。
海外SEOを改善するには、前提としてSEOの評価項目を理解しておく必要があります。その内容は国内向けと海外向けのもので違いはありません。
検索エンジンは表示順位を決定するアルゴリズムを有しており、数百種以上の評価項目を総合的に判断していると言われています。そのアルゴリズムを弊社の観点で独自に8つに分類したものが以下の項目となります。(レーダーチャート/カルテに記載の項目を参照)
1.オリジナリティ
コンテンツ内容に独自性があるか。
2. インフラ環境
サーバー環境、ペナルティの有無。
3. ソーシャルシグナル
ソーシャルメディア(Facebook、Instagram、Twitter)からどれだけ話題に挙げられているか。また取り上げられる仕様になっているか。
4. モバイルフレンドリー
サイトが適切にスマートフォン仕様になっているか。
5. サイト内リンク
サイト内部からのリンクのボリュームや適正度合い、テーマ性などが適切になっているか。
6. 外部リンク
サイト外部からのリンクのバリエーションや自然度、分散度などが適切になっているか。
7. クローラビリティ
検索エンジンに認識してもらいやすい構造・設定になっているか。
8. テキストマッチ
対策キーワードの記述や主要タグの設置状況が適切になされているか。
国内SEOでは主にGoogleの検索エンジンを対策しますが、海外SEOでは対象国の主要検索エンジンシェアを理解する必要があります。
以下は、各国の検索エンジンシェアをまとめたものです。PC、モバイル(スマートフォン)共に世界的にGoogleのシェアが多い中で、中国の「Baidu(バイドゥ)」や韓国の「NAVER(ネイバー)」など、国産の検索エンジンを使用している国もあります。
※出典
対象国: OECD加盟主要国を中心に当社にて抽出
インターネット利用率: Committed to connecting the world
検索エンジンシェアデータ参考: StatCounter
また、検索エンジンは特徴がそれぞれ異なります。
以下は「Google」「Baidu」「Bing」についての傾向と特徴をまとめたものです。それぞれ言語処理の精度や順位変動要素などが異なるため注意が必要です。
【Google】
・検索語句の言語処理機能の精度が比較的高い
・表示のされ方は海外と日本で相違はない
・海外では国や言語によっては日本と比較してSEO施策を行っているサイトが少ないため、上位表示を行いやすい環境
【Baidu】
・Googleと比較すると、検索エンジンの精度が低く、インデックススピードが遅い印象
・ページの階層が深いと検索エンジンに読み込まれないケースも有り
・Baidu独自のWebマスター向けツール(百度統計)がある
・地域によって大きく検索結果が異なる
【Bing】
・Googleと比較すると、検索エンジンの精度が低く、インデックススピードが遅い印象
・ページの階層が深いと検索エンジンに読み込まれないケースも有る
・Bing独自のWebマスター向けツールがある
・サポートしているタグがGoogleと若干異なる
→中にはGoogleでは既に評価(サポート)していないタグもある
海外SEOも、マーケティングフレームワークの3Cや4Pを用いて分析します。
3C観点をSEOに置き換えると以下の通りです。
【Company】
「SEO分析」や「Google Analytics/Search Console分析」で、現状の自社サイトの課題の洗い出しを行います。
【Competitor】
「競合SEO分析」で、競合サイトのSEO観点からの対策状況や流入状況、注力コンテンツ等を調査した上で、相対優位性が保持できる、またはうまく活用すべき点を発掘します。
【Customer】
「キーワード検索数調査」で、検索ユーザーから見た対象国単位でのニーズを発掘します。
特に注意が必要なのが「Competitor」の分析です。競合分析をする際、同業の日系企業をベンチマークされている企業様が多くいらっしゃいますが、事業上の競合と検索結果上の競合は異なります。検索結果上の競合には「他国のグローバルサイト」や「現地企業のサイト」なども含まれることを頭に入れておきましょう。
検索数やキーワードの難易度を調査し、対策キーワードを選定していきます。その際、海外SEOで注意すべき点は対象国の「検索トレンド」です。日本語を単純に翻訳して単語を羅列したものでは、現地の検索トレンドと合わない場合があります。
例えば、バンコクの観光地を調べる際、日本人は「バンコク 観光」のように「名詞+名詞」で検索しますが、タイでは「ทีเทีย่ วในกรุงเทพ(バンコクへ行く)」のように「名詞+動詞」の検索数のほうが多い傾向にあります。
・検索キーワード「ทีเทีย่ วในกรุงเทพ(バンコクへ行く)」 約8,500回/月平均
・検索キーワード「กรุงเทพ ท่องเทีย่ ว(バンコク 観光)」 約35回/月平均
このような失敗を避けるためには、ネイティブスタッフのチェックを必ず行い、現地の検索トレンドとズレがないか確認することが重要です。
ここでのインフラ環境は、主に「ドメイン設定」「ディレクトリ設定」を指します。
海外向けのWebサイトを作成する場合、日本語サイトと区別するためにドメインやディレクトリを設定します。その際、どちらを活用しても検索結果に差異はないと言われていますが、BtoB企業で現地に拠点がある場合は【国×言語ターゲット】ができる「ドメイン(下図左側)」、BtoC企業で現地拠点を持たず、オンラインで海外にプロモーションをご検討中の方は【言語ターゲット】ができる「ディレクトリ(下図右側)」で区別すると良いでしょう。
なお、同一URLで日本語サイトを自動翻訳しただけのものはSEO効果を期待出来ないため注意が必要です。異なる言語でサイトを作成する場合は、URLも別で設定しましょう。
複数の国や言語でサイトを展開されている場合は、「アノテーション」を必ず設定しましょう。アノテーションとは、対象国や対象言語に向けたページであることを検索エンジンに示すものです。
この設定をしないと「ドイツで英語の検索をするとアメリカのページが表示される」といった事象が起き、ターゲットとしないユーザーにサイトが表示されてしまいます。
例えば、タイでは検索ワードによってはタイ語より英語の方が検索数の多い場合があるため、「タイに向けたタイ語のページ」と「タイに向けた英語のページ」を用意するケースがあります。このように、1つの国に対して複数の言語のページがある場合はそれぞれのページに「国×言語」のアノテーション設定が必要です。
また、「アメリカに向けた英語ページ」「イギリスに向けた英語ページ」のように、ページの内容に大差のないページは、重複コンテンツとして認識される危険もあるため、それぞれのページにしっかりアノテーション設定を行いましょう。
法規制については国によって大きく異なるため注意が必要です。
中国を例にすると、以下のようなのもが挙げられます。
・個人情報保護法(PIPL)
欧州における「一般データ保護規則(GDPR)」に類似した法律で、アプリメーカーに対し、「個人の情報をどのように使用するかor使用しないか」「使用する場合は個人の特性に基づいてマーケティングを行うかorマーケティングの対象としないか」といった選択肢をユーザーに提供するよう求める法律です。
・グレートファイヤーウォール(金盾)の影響
グレートファイヤーウォールの影響により、中国国内では日本のサーバーを使用したコンテンツの表示スピードが遅くなります。
・中国サーバー&ICP登録
中国のサーバーを借りるには中国のICPが必要です。また、中国のICPは中国国内の法人登録が必要なため、参入障壁を高める要因となっています。
・Google等の中国系サービス以外のタグ利用
中国では、GoogleやFacebookなど、グローバルツールのタグが埋め込まれているサイトは読み込みのスピードが極端に遅くなり、正確な情報を集計することが出来ません。代わりにBaidu統計やBaiduMAPなどの中国サービスのタグやスクリプトの使用が必要となります。
グローバルコンテンツ&ライティングは、ネイティブリソースによる現地言語でのコンテンツ作成をおすすめします。
同一ページでブラウザ上の自動翻訳を使用するケースもありますが、この場合検索エンジンが別言語のページとして認識できないため、非推奨です。
また、「タイ人に日本語ページをそのまま翻訳してもらい、タイ向けのページを作成する」など、他国語のページをそのまま翻訳したものは、自動翻訳より悪くないものの、言い回しや現地のトレンドとのズレによりユーザーに違和感を与える場合があるため注意が必要です。
グローバルコンテンツ&ライティングの質は、グローバルSEOやその後のユーザーのアクションにも関わるため、しっかり作り込むことが大切です。
複数の法人(サイト)を持つ企業様は、Webサイト制作等のガイドラインにSEO項目も追加しましょう。
タイトルタグの構成に「対策キーワード」「ページのカテゴリ」「企業名」を必ず入れるなどのルールを定め、各国ごとに運営すると良いです。
<ガイドラインのイメージサンプル>
海外SEOの競合分析のポイントは以下の通りです。
・事業競合と検索結果上の競合を混同しない
特に多言語Webプロモーションでは、日本国内の企業を競合とするのではなく、海外の企業に目を向ける必要があります。また、事業競合だけでなく、検索結果上の競合を意識することが大切です。 業界の一般ワードにおける検索結果上の上位サイトがSEOをする上での競合となります。
・実施手法や利用ツールは日本語と大差はない
実施手法や利用ツールは日本語と大差はありませんが、対象国特有の対策(法規制等)や言語依存している箇所は注意する必要があります。
・SEO実績の有無>方針>手法・取り組み度合いの順でチェック
競合分析をする際は、上記の優先順位で行います。
また、競合分析の優先順位については以下のとおりです。
1.SEO経由での流入がある程度あるかどうか
ブランド名以外の一般ワードでの流入があればSEO対策を行っていると言えます。SEO経由の流入がない場合、競合分析ができないため注意が必要です。
2.対象サイトのTOP/サービスページ/コラムコンテンツ等で一般ワードを意識したタグラインが実装されているか
TOP/サービスページ/コラムコンテンツ等でSEO上強化されているポイントがないか確認します。
3.多言語サイト/ページ固有のタグを設定しているか
競合企業が複数の多言語サイトを持っている場合、SEO対策に必要なタグを設置しているかを確認します。
タグがしっかり設定されている場合、SEOに力を入れていると言えます。
<対策の有無・方針 ― SEO経由での流入数の確認方法>
SEO経由での流入数の確認方法
※いくつかの外部ツールを活用することで、SEO経由の流入数を把握できます。
(ツールにも寄りますが拡大推定の数値であるケースが多いです)
<対策の有無・方針 ― タグライン/多言語用タグのチェック>
主要なタグ(タイトルタグ/<h1>、Meta keywords)を確認することで、どのようなキーワードでSEO対策をしているのかを調査することができます。
日本のサイトでは、「見出しタグ」として<h1>を利用していますが、海外のサイトでは設定していない場合が多いです。また、「Meta keywords」は直接的な順位決定要素ではなく、サイトのテーマ性を伝えるものとして設定しているケースが多く、各ページユニークで設定するのが難しい場合や、新しいサイトだと設定されていない場合があります。
以上が海外SEOの概要です。
当社では、海外Webプロモーションに関連するコンテンツを数多くご用意しておりますので、以下のコラム一覧からご覧ください。
また、毎月開催しているセミナーや、無料オンライン相談なども承っております。
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アウンコンサルティング株式会社
[事業内容]
日本およびアジア数拠点でSEO、PPC(リスティング広告)などのグローバルマーケティング事業を展開
[設立] | 1998年6月8日 | |
[本社] | 東京都千代田区丸の内二丁目2番1号 岸本ビルヂング6F | |
[代表者] | 代表取締役 信太明 | |
[資本金] | 100,000千円(資本準備金 538,774千円、2023年11月末現在) | |
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