• 2024.02.15

【2023年訪日外国人の年間動向と2024年の予測】

国内外の拠点でグローバルマーケティング業(※)を展開しているアウンコンサルティング株式会社(東証スタンダード市場:2459、本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:信太明、以下「アウンコンサルティング」)はこの度、2023年の訪日外国人の年間動向調査結果と、2024年の予測をまとめましたので、お知らせいたします。

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(サービス概要:https://www.auncon.co.jp/service/service/

調査結果のサマリー
・2023年の訪日外国人旅行者数は約2,506万人でコロナ禍前の2019年の8割に回復した。
 特に訪日客数1位の韓国では、Z世代を中心に日本文化が流行していることが大きな要因になっている。
・2023年の訪日外国人旅行消費額は約5.3兆円で過去最高を記録。
 買物代よりも宿泊料金や娯楽サービス費の増加率が高く、体験を重視する傾向が強まっている。
・リピーター数も増加しており、日本への旅行に関するキーワード数はコロナ回復とともに伸長した。
 コロナ禍前から台湾での北海道人気は継続しており「北海道旅行」の検索数が他に比べて圧倒的に多い結果となった。
・水際対策を大幅に緩和してから1年が経過し、インバウンド市場は着実に持ち直しが続いている。

2023年のインバウンド市場

2023年の訪日外国人客(以下、訪日客)数は約2,506万人で、コロナ禍前の2019年の約8割まで回復しました。
水際措置撤廃以降、円安も追い風となり、訪日客数は右肩上がりで急回復を遂げ、単月では10月に初めて2019年同月比を超えました。

出典:日本政府観光局(JNTO) 日本の観光統計データを参考にアウンコンサルティングで加工

国・地域別では、1位が韓国695万人(2019年対比+137万人、+24.6%)、2位が台湾420万人(2019年対比▲68万人、▲14.1%)、3位が中国242万人(2019年対比▲716万人、▲74.7%)となりました。
韓国においては、円安や日本各地への地方路線の増便・復便等の影響だけでなく、Z世代の若者を中心にJ-POPやアニメなどの日本文化が流行していることが訪日客数の増加に繋がっていると考えられます。また、中国においては、2023年8月に団体旅行が解禁されるなど、中国政府による規制が緩和されたものの、東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出の影響や、中国経済の減速もあって効果は限定的であり、回復は鈍化しました。

出典:日本政府観光局(JNTO) 日本の観光統計データを参考にアウンコンサルティングで加工

2023年インバウンド市場に関わる出来事

以下は2023年のインバウンド市場に関わる出来事を時系列でまとめたものです。2023年4月29日に水際対策が終了し、新型コロナウイルスの感染法上の分類が季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられました。水際対策終了をきっかけに、訪日外国人数は順調な回復を続けました。
 また、日本政府は持続可能な形での観光立国の復活に向けて、令和5年度(2023年)からの新たな「観光立国推進基本計画」を閣議決定しました。本計画は、訪日外国人旅行消費額5兆円、国内旅行消費額20兆円の早期達成を目指すとともに、令和7年(2025年)までに持続可能な観光地域づくりに取り組む地域数100地域、訪日外国人旅行消費額単価20万円/人、訪日外国人旅行者一人当たり地方部宿泊数2泊等の目標を掲げており、これらの達成のために政府全体として講ずべき施策等について定めています。

訪日リピーターについて

以下の表は、2016年・2019年・2023年の10~12月に、各国からの訪日回数を比較したものです。2019年と2023年のリピーター数を比較すると、2023年は香港で91.7%、台湾では87.9%、韓国、中国、タイ、シンガポールでは70%を超えており、東アジアや東南アジアを中心に増加していることが分かります。

<初回訪問/リピーター数【10~12月】>

出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 2016年10月~12月、2019年10月~12月、2023年10月~12月集計結果
    参考表3 国籍・地域(21区分)別 回答者属性および旅行内容 【観光・レジャー目的】を参考にアウンコンサルティングで加工

訪日客の検索動向

以下は、調査した8ヶ国・地域の「東京旅行」、「大阪旅行」、「京都旅行」、「福岡旅行」、「北海道旅行」の検索数の合計値をまとめたものです。日本政府が添乗員の同行を伴わないパッケージツアーの受け入れを開始した2022年8月以降に検索数が伸びていることが分かります。

【 Google AdWords検索数 】

※Google AdWords キーワードプランナーツール利用による検索数データ
※調査対象国・地域:韓国・台湾・香港・タイ・マレーシア・フィリピン・アメリカ・オーストラリア
※検索キーワード
・東京旅行:도쿄 여행、東京 旅遊、tokyo travel
・大阪旅行:오사카 여행、大阪 旅遊、osaka travel
・京都旅行:교토 여행、京都 旅遊、kyoto travel
・福岡旅行:후쿠오카 여행、福岡 旅遊、fukuoka travel
・北海道旅行:홋카이도 여행、北海道 旅遊、hokkaido travel

また、訪日客の多い韓国・台湾のキーワード別の検索数をみてみると、韓国は「福岡旅行」、「大阪旅行」の検索数が多いのに対して、台湾では「北海道旅行」が圧倒的に多い結果となりました。1年中温暖な気候で冬らしい冬を感じられない台湾人にとって、北海道の雪景色やスキーなどのアクティビティ、自然豊かな大地でとれる食材、旭山動物園などの観光地が人気の理由にあげられます。コロナ禍前の2019年5月に当社が調査した【世界 13 カ国の親日度調査 vol.2】において、「今後行きたい観光地はどこですか?」の問に対して、台湾の1位は「北海道」となりました。コロナ禍前から台湾での北海道人気が継続していることが分かります。

※Google AdWords キーワードプランナーツール利用による検索数データ

都道府県別宿泊者数

以下は、2019年・2023年10~11月の都道府県別宿泊者数をまとめたものです。上位の宿泊者数のうち、6つの都道府県でコロナ禍前の2019年を上回りました。
特に福岡県は、2019年対比で153.4%と全都道府県のなかで一番高い結果となりました。米有力紙ニューヨーク・タイムズの「52 Places to Go in 2023(今年行くべき52か所の観光地)」では福岡市が選ばれており、屋台をはじめグルメの街として世界からの注目を集めています。福岡県の宿泊者数を国別にみると、2位の台湾(13万人)に大差をつけて韓国が38万人で1位となり、全体の約4割を韓国人が占めています。

<都道府県別訪日外国人宿泊数【10~11月】>

※2023年上位都道府県を2019年値と比較。100%以上を赤く色付け

出典:観光庁 宿泊旅行統計調査 2019年、2023年 集計結果
参考第1表 年、月(12区分)、施設所在地(47区分及び運輸局等)、国籍(出身地)(21区分)別外国人延べ宿泊者数(従業者数10人以上の施設)(10月~11月)を参考にアウンコンサルティングで加工

外国人消費動向

2023年の訪日外国人旅行消費額は約5.3兆円(2019年対比+9.9%)となり、過去最高額を更新しました。円安により国内の商品やサービスの割安感が強まったことで、外国人観光客の消費も活発になっています。費目別では宿泊費が約1.8兆円(2019年対比+29.4%、構成比29.4%→34.6%)と最も多く、買い物は約1.3兆円(2019年対比▲16.4%、構成比34.7%→26.4%)と減少しており、買い物よりも体験を重視する傾向が強まっています。

出典:日本政府観光局(JNTO) 日本の観光統計データを参考にアウンコンサルティングで加工

以下は14ヶ国・地域の旅行前及び滞在中の支出をまとめたものです。
旅行前支出について、平均支出額はシンガポール、フィリピン、インド以外のすべての国・地域で2019年の数値を上回りました。最も増加率が高かったのはマレーシアの「個人旅行向けパッケージ商品」の290%でした。
滞在中支出では、すべての国・地域で2019年の平均消費金額を上回る結果となりました。マレーシア、インド、イギリス、アメリカでは、買物代の増加率が100%を超えており、円安がインバウンド消費の追い風となっていることが伺えます。また、台湾、香港、中国、インドネシア、フィリピンでは、買物代よりも宿泊料金や娯楽サービス費の増加率が高く、ここでも体験を重視する旅行ニーズに変化していることが分かります。

<旅行前支出>
※0%以下を青、50%以上を黄色、100%以上を赤く色付け

<滞在中支出>
※0%以下を青、50%以上を黄色、100%以上を赤く色付け

出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査 2019年10月~12月、2023年10月~12月 集計結果
参考5 国籍・地域(21区分)別 費目別購入率および購入者単価 【観光・レジャー目的】を参考にアウンコンサルティングで加工

2024年の予測

日本政府が水際対策を大幅に緩和してから1年が経過し、インバウンド市場は着実に持ち直しが続いております。そのため、特にプロモーションに力を入れなくても訪日外国人旅行者を獲得でき、今までのプロモーション方法で満足している企業も少なくないのではないでしょうか。人手不足やコロナ禍で影響を受けた財務状況が完全には回復しておらず、プロモーションに対しての投資に躊躇してしまう企業も多いと思います。また、米国や欧州でのインフレ抑制を目的とした金融政策の継続や、各国の金融政策による為替変動、ウクライナ情勢に加えイスラエル・ガザ紛争により、資源価格の高騰などインバウンド業界を取り巻く環境は未だ不安定な状況です。
 このような中、2024年は2019年以来、1年を通じてコロナ禍による渡航制限等がない状況となり、今後の桜シーズンや需要が高まる夏休み・バカンスシーズンの7月~8月の動向が今後のインバウンドを左右する重要なターニングポイントとなります。
また、訪日客数が増加するなか課題となっているのが、人手不足やオーバーツーリズム等、サステイナブルツーリズム(訪問客、業界、環境および訪問客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在および将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光)への対応です。「観光立国」実現のためには、官民一体となったサステイナブルツーリズムへの取り組みが重要な鍵となります
今後インバウンド産業はどう動いたら良いのか以下にまとめました。

▽将来を見据えたインフラ面への投資
滞在日数を伸ばし、地方へ誘致するためには、交通インフラ整備は欠かせません。公共交通機関へのアクセス向上だけでなく、Webサイトやアプリの改善(UI/UX/機能改善/多言語化/海外SEO対策)等、短期的な施策だけではなく、中長期的な視野にたって、将来を見据えたインフラ面への投資が重要となります。

▽訪日客数・消費金額増加に向けた取組み
円安を追い風に日本の食文化やアニメなどのサブカルチャー、自然や寺社仏閣などの観光名所など、日本人気は継続しており、訪日外国人は引き続き堅調に推移することが予想されます。今後は訪日外国人旅行者一人当たり地方部宿泊数2泊等の目標達成に向けて、主要都市から地方へも足を伸ばし、日本の古き良き文化を感じられる体験型へのコト消費へ繋げられるよう、日本独自のコンテンツを駆使した高付加価値プランの販売促進が重要となります。

▽越境ECを活用した旅前/旅後プロモーション
訪日客創客のためには、旅行の段階にあわせたプロモーションが重要となります。昨今、SNS等のメディアの増加だけでなく、生活様式や消費行動、マーケティング環境の変化もあり、マーケティング手法が多様化したこと、また、検索行動もこれまでの「ググる」からSNSでのハッシュタグ検索「タグる」へ変化しており、ターゲット層にあわせたマーケティングが必要となります。

▽その他の取組み
・隣国や地域への観光交流
・各DMO、自治体、観光庁他、官民が一体となった訪日客創客への取り組み
・オーバーツーリズム対策の推進
・国際線の増便・復便
・初回訪問者の割合が多い国の訪日客の増加へ向けた取り組み(リピーター化)

インバウンド業界を取り巻く環境は未だ不安定な状況が続きますが、可能な限り準備と対策を行うことが大切です。当社もインバウンドマーケットの成長に少しでも貢献できるよう、尽力してまいります。

調査概要

【調査主旨】
【2023年訪日外国人の年間動向と2024年の予測】

【調査要綱】
調査日:2024年2月5日 ~ 2024年2月8日
調査対象時期:2012年~2023年
日本政府観光局(JNTO)日本の観光統計データ
https://statistics.jnto.go.jp/
日本政府観光局(JNTO)訪日外客数・出国日本人数データ
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/
観光庁 訪日外国人消費動向調査
http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html
観光庁 宿泊旅行統計調査
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/shukuhakutoukei.html

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[事業内容]
国内外含むアジア数拠点でSEO、PPC(リスティング広告)などのグローバルマーケティング事業を展開

[設立] 1998年6月8日
[本社] 東京都千代田区丸の内二丁目2番1号 岸本ビルヂング6F
[代表者] 代表取締役CEO 信太明
[社員数] 66名(正社員のみ55名、2023年11月末現在)
[資本金] 100,000千円(資本準備金 538,774千円、2023年11月末現在)
[URL] https://www.auncon.co.jp

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