【2018年訪日外国人の年間動向と2019年の予測 vol.4】 検索数から見える訪日ベトナム人の最新トレンド ~北海道への関心が高いのに訪問率が低い理由は?~

アウンコンサルティング株式会社(東証二部:2459、本社:東京都文京区、代表取締役:信太明、以下アウンコンサルティング)は、アジア9拠点で、マーケティング(SEM(検索エンジンマーケティング)サービス、インターネット広告など)、アセットなどのグローバルコンサルティングを展開しています。また、アジアにおいていち早くSEOを事業化し、2018年6月より21期目を迎えています。
 この度、訪日ベトナム人の検索数からみる訪日動向を調査いたしました。
 

2018年の訪日ベトナム人市場

■訪日ベトナム人の概況
 2018 年 1 月から 12 月ベトナムからの訪日客は、前年比 26.0%増の約 38.9万人(+8.0万人)に達し、観光庁で調査している国と地域の中で最も高い伸び率(前年比)を記録しました(図:訪日ベトナム人の推移)。また、観光庁による現地旅行会社に向けた取り組みもあり、初回訪日者が増えており、リピーター割合が減少傾向にあります。(図:リピーターについて)。
 なお、2018年に観光庁では、団体旅行の割合が高いベトナムに対して、現地旅行会社に向けた取り組みを強化しました。

<事業者向け>
 訪日旅行への需要喚起と新たな観光コンテンツの訴求を軸に、セミナー商談会や旅行会社招請、旅
 行会社と連携した訪日旅行促進キャンペーンなどを実施。

<一般消費者向け>
 イベント・旅行博への出展のほか、ベトナム語公式ウェブサイトや Facebook を通じて、季節ごとの
 日本各地の魅力の情報発信を行い、訪日旅行の魅力の訴求と地方誘客への拡大を図った。

※出典:日本政府観光局(JNTO)

【 訪日ベトナム人の推移 】

訪日ベトナム人の推移

出典:日本政府観光局(JNTO)発表 国籍/月別 訪日外客数(2003 年~2018 年)を参考に アウンコンサルティングで加工


【リピーターについて】

訪日ベトナム人のリピーターについて

出典:観光庁発表 訪日外国人消費動向調査 平成 23 年 7 月~9 月 集計結果
参考表3 国籍・地域(19区分)別 回答者属性および旅行内容 【観光・レジャー目的】と
観光庁発表 訪日外国人消費動向調査 平成 29 年 7 月~9 月 集計結果
参考表3 国籍・地域(21区分)別 回答者属性および旅行内容 【観光・レジャー目的】と
観光庁発表 訪日外国人消費動向調査【2次速報】 平成 30 年 7 月~9 月 集計結果
参考4 国籍・地域(21区分)別 回答者属性および旅行内容 【観光・レジャー目的】を参考に アウンコンサルティングで加工

 以下は、旅行の手配方法と各都道府県への訪問率(2018年7月-9月)をまとめたものです(5%以上は緑、10%以上は黄色に色付け)。


【訪問率について】

訪日ベトナム人都道府県別訪問率について

出典:観光庁発表 訪日外国人消費動向調査 平成 29 年 7 月~9 月 集計結果
参考表6 国籍・地域(21区分)別 都道府県別訪問率 【観光・レジャー目的】と
観光庁発表 訪日外国人消費動向調査 平成 30 年 7 月~9 月 集計結果【二次速報】
参考8 国籍・地域(21区分)別 都道府県別訪問率 【観光・レジャー目的】を参考に アウンコンサルティングで加工

 ベトナム人は、訪日外国人全体と比較して団体旅行の利用者が多いのが特徴です(図:旅行の手配方法について)。また、ベトナムの旅行サイトでは【東京~静岡・山梨(富士山)~名古屋~大阪・神戸・京都】のようにゴールデンルートに沿ったツアーが多く紹介されています。それが起因して、主要観光都市への訪問率が高くなっていることが推測できます。また、東北経由の【福島~茨城~東京~静岡~名古屋】を巡るツアーの中では、福島の猪苗代湖や茨城の牛久大仏、九州周遊ツアーの中では、大分の地獄温泉が紹介されるなど、まだ少数ではありますが主要観光地に加えて、地方の観光地を紹介するツアーなども見受けられました。


【旅行の手配方法について】

訪日ベトナム人旅行の手配方法について

出典:観光庁発表 訪日外国人消費動向調査 平成 30 年 7 月~9 月 集計結果
参考4 国籍・地域(21区分)別 回答者属性および旅行内容 【観光・レジャー目的】を参考に アウンコンサルティングで加工
 

検索数から見えるトレンド

■主要観光地は訪問率の高さに比例して検索数も高数値

■主要観光地は訪問率の高さに比例して検索数も高数値
 以下の表は、ベトナムからの検索数が多い地域をまとめたものです。ベトナムでは、「日本旅行(Du lịch Nhật Bản)」の検索数が前年比+94.0%(55,100回106,900回、+51,800回)と高く、「東京(Tokyo)」、「大阪(Osaka)」、「京都(Kyoto)」などは、訪問率の高さに比例して検索数も多い傾向にあります。初回訪問者の多い同市場は主要観光地への関心が高いことがわかります。
 また、表で黒く色づけされている部分は本来の地域の意味とは別の要因で検索数が高いと推測できるものです。これらのワードをベトナムから検索すると日本のアニメのキャラクターやフィギアスケートのザギトワ選手の影響で話題になった秋田犬などがトップページに紹介されています。

・「埼玉(Saitama)」・・・日本の漫画「ワンパンマン」の主人公「サイタマ」
・「佐賀(Saga)」・・・社名「SAGA」
・「秋田(Akita)」・・・秋田犬
・「明石(Akashi)」・・・日本の漫画「黒子のバスケ」のキャラクター「赤司」
・「宇部(Ube)」・・・ubeというイモの一種

訪日ベトナム人観光地別検索数について

※Google AdWords キーワードプランナーツール利用による検索数データ

訪日ベトナム人日光の検索数について

※Google AdWords キーワードプランナーツール利用による検索数データ
 

検索数から見えた旅行トレンド

■「栃木県」より知名度が高い「日光」
 栃木県について、「栃木(Tochigi)」の2018年の年間検索数は6,120と低数値ですが、「日光(Nikko)」は20,100と栃木を大きく上回り、検索数が上昇傾向にあることがわかりました。ベトナムから「日光(Nikko)」と検索すると、YouTubeのプロモーション動画が確認できたため、これらの影響で検索数が伸びていることが推測できます。

訪日ベトナム人北海道の検索数について

※Google AdWords キーワードプランナーツール利用による検索数データ

■降雪地域への関心は高いものの、訪問率が低い理由
 「北海道(Hokkaido)」は訪問率の低さに対して、年間の検索数や上昇率が高く、関心が高いことがわかりました。ベトナムは雪が降らない気候であることから、雪やウィンタースポーツへのあこがれを持つ人も多く、実際に「白川郷(Shirakawa-go)」の検索数も上昇傾向にあります。しかし、ベトナムの冬の長期休暇であるテト休暇(旧正月)は、里帰りをして家族や親戚と過ごすのが一般的で、海外旅行をするという風習がないため、2018年2月の訪日客数は2.3万人と1年間で最も低く、冬の観光地への関心はありながらも訪問数は少ないのが現状です。

訪日ベトナム人北海道の検索数について
訪日ベトナム人白川郷の検索数について

※Google AdWords キーワードプランナーツール利用による検索数データ

■映画の影響で「原宿」の検索数が急上昇
 「原宿(Harajuku)」の検索数が2018年12月に急上昇しています。当社のベトナム常駐スタッフが調査したところ、日本のドラマを原作にした映画「パパと娘の7日間(ベトナム版)」が12月28日に公開され、話題になりました。その中の父親役が原宿ファッションのファンであることから、検索数が急激に増えたと推測できます。

訪日ベトナム人原宿の検索数について

※Google AdWords キーワードプランナーツール利用による検索数データ
 

今後の訪日ベトナム人のトレンド

■今後旅行客が増えていく観光地は?
 前述したように、テト休暇は里帰りをし、家族や親戚と過ごすのが一般的であるため、ベトナムの海外旅行のピークは夏で、訪日シーズンは桜ツアーのある4月と紅葉ツアーのある10月です。ベトナムでは、ほとんど四季がなく、自国では見ることのできない景色を求めて旅行する人が多いため、雪や桜、紅葉のシーズンは旅行需要が高い状況にあります。

 また、ベトナムは住んでいる地域によって余暇の過ごし方が異なり、ハノイに住んでいる人は「集団主義」や「家族主義」の意識が高く、余暇を家族と過ごすことが多い傾向にあります。これに対して、ホーチミンに住んでいる人は、「友人や同僚」と過ごす人と「家族」と過ごす人が同じ割合となっています。現在は、「テト=里帰り」の風習が根付いていますが、友人や同僚などのグループでの海外旅行の増加や、積雪地域への関心の高さをみると、今後、冬に日本を訪れるベトナム人も増えていくと予測できます。

【 ベトナム人の一般的な旅行シーズン 】
・1月下旬~2月上旬:テト休暇(旧正月)
・5~8月:小学校~中学校が休み
・7月:大学が休み
・8月下旬~9月上旬:建国記念日
・4月下旬~5月上旬:南部解放記念日・メーデー

■オーバーツーリズムに向けて
 今回取り上げた白川郷では、オーバーツーリズムの影響で入場規制があり、予約が必須となるなど、各地で問題が深刻化しています。ベトナムは団体ツアーの利用者が多く、滞在日数も4~6日と比較的長いため、【福島~茨城~東京~静岡~名古屋】のように主要観光地に地方観光地を加えるなど、初回訪問時に受け入れ体制の整った地方観光地への旅行パッケージを用意し、誘致を行うことで、このような問題を回避することができるのではないかと考えます。

 海外へのプロモーションを行うには、まず現地の文化や生活を理解し、現地のニーズを的確に把握することが重要です。当社ではアジア9拠点のネットワークを活かし、今後もインバウンド領域における検索市場からみなさまに有益な情報をお伝えできるよう努めてまいります。

調査概要

【調査主旨】
【2018年訪日外国人の年間動向と2019年の予測 vol.4】
検索数から見える訪日ベトナム人の最新トレンド
~北海道への関心が高いのに訪問率が低い理由は?~

【調査要綱】
調査日:2019年2月12日 ~ 2019年3月22日
調査対象時期:2007~2018年
参考資料:JNTO訪日旅行誘致ハンドブック2018

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[設立] 1998年6月8日
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