精密機器業をはじめとするBtoB企業は、顧客と直接接点のあるBtoC企業と異なり、ウェブサイトから直接顧客を獲得すること自体が難しく、獲得しようとしても短期的な成果が分かりづらいため、SEOに注力する企業は少ない状況でした。そのため、SEOを広告と同じ認識(結果重視=数値重視)で行うと、思うように結果がついて来ず、最終的に、「海外向けのウェブサイトを作成する」に留まってしまうパターンが多いのではないかと思います。
しかし、年々精密機器企業のウェブサイトは、むしろSEO対策が必要であると認識されることが増えています。弊社はもともとBtoB企業様へのご提案も多くございましたが、近年、特にコロナ禍からは特にご支援をさせて頂く機会が増えてきました。
“SEO対策とはなにか?”
“ホームページをただ作るのと何が違うか?”
“SEO対策を行うメリットとは?”
そういったご不明点を解決できるような内容を今回まとめました。
今SEO対策を迷っている企業様、そもそも何をしたらいいのかわからない企業様もぜひご一読ください。
「聞いたことはあるけど、そもそもSEO対策って何?」
10年前よりも「SEO」という言葉の認知が広がり、あまり聞かれることがなくなりましたが、まずは “SEO対策とは?” を簡単に説明していきましょう。
SEOとはSearch Engine Optimazationの略であり、訳すと検索エンジン最適化のことです。
検索エンジンとは、日常的に皆さんが使用しているGoogleやYahoo!といったサイトがもつ、検索するためのシステムのことです。
各検索エンジンからそれぞれのウェブサイトへロボットが巡回し、ウェブサイトに記載されている内容、構造、リンク先などの情報を持って検索エンジンに帰ります。
ロボットが収集した情報を元に、検索エンジンが各ウェブサイトを評価し、キーワードに応じた検索結果の順位を決定しています。
SEO=検索エンジン最適化とは、検索エンジンの評価高いウェブサイト制作するための施策です。
ちなみに日本の検索エンジンシェアは以下の通りです。
引用:Stat Counter 日本の2023年7月の検索エンジンシェア
https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/all/japan/#monthly-202307-202307-bar
Googleが74%以上のシェアをもっており、現状SEO対策の内容はGoogleの検索エンジンに評価されやすい施策内容ということになります。
ただ、だからといって他の検索エンジンに評価されないわけではありません。検索エンジンの評価は基本的には共通している部分も多く、施策をすればBingに対してもある程度の検索結果順位の向上が見込めます。また、Yahoo!に関しては自然検索結果はGoogleの検索エンジンを利用しているため、基本的にはGoogleと同じ結果となります。
では、精密機器企業をはじめとする製造業の方がSEO対策をするメリットというのは何があるのか。
製造業に限らず言えることですが、大衆向け商品やサービスを展開するBtoC企業と異なり、BtoB企業が提供する製品やサービスは「この業界のこんな商品に!」「こういう研究のこんな場合に!」というターゲットが明確であったり、狭義であったりするケースが多い傾向があります。
かつ、高額が製品・サービスが多いのでリードタイムが長くなり、他国の企業製品を含む競合他社との比較検討する場合も多いです。
こういった特徴を踏まえて、SEO対策をするメリットを考えると以下のポイントにまとめることができます。
どんなプロモーションでも、実施する上で、ターゲットが狭いほど結果を出すことは難しいです。
しかし、ターゲットを狭めることは必要なユーザーにしか情報がいかないことに繋がり、結果的にコンバージョン率を向上させることにもつながります。
またSEOはウェブページごとに検索結果順位を上げたいキーワードを設定して施策を行いますが、ターゲットが狭い=競合が少ないと想定されるキーワードほど施策難易度が低い傾向があり、比較的早く順位の情報などの結果が現れることが考えられます。
以前は検索結果ページ内の表示に、広告と検索結果が両方含まれていることで、検索結果の上位にウェブサイトが表示されていなくても広告を出しておけば顧客獲得が可能でした。しかし、今はどの部分が広告の表示部分かを認識するユーザーも増え、広告のクリックは避けて検索結果から情報を取得する方が、信頼性が高いと考えるユーザーが増えています。
総務省のデータでは、仕事や研究、勉強について調べたいことがある場合に使用するメディアは「インターネットの検索サイト」が70%以上というデータもあり、検索結果上位にウェブサイトが掲載されることは、信頼性が高く、かつ情報収集に有意義なウェブサイトであるというブランディングが可能になると言えます。
SEO対策というのは、Googleという検索エンジンに限定せずとも、どの検索エンジンでも基本的な対策は同じです。当然違いもありますが、世界の多くの国で最も使用されている検索エンジンはGoogleであり、GoogleへのSEO対策を、それぞれの言語で実施すれば海外でも上記「1」と「2」のような効果を得ることができます。
「海外プロモーションは費用が掛かり、なんとなく敷居が高い…」と感じている場合も、SEO対策であれば基本的な部分は国内向けも海外向けも違いはありません。初めての海外プロモーション手段として実施するのであればSEOがおすすめです。
それでは実際にSEO対策をするとなった場合、どのようなポイントに気をつけて施策するべきなのか。
精密機器企業様のウェブサイトへSEO対策を実施する場合のポイントを3つにわけて説明していきます。
SEO対策にとって、最も重要なのが “キーワード選定” です。特に、ターゲット層が狭い場合はキーワード選定がかなり重要になります。 弊社の場合は、まずクライアント企業様に製品やサービスの詳細をお伺いし、その際社内で想定されているキーワードなども合わせて伺っております。それと合わせて競合他社等の情報、最終的に使用されているBtoC製品等も確認し、まずは想定されるキーワードの一覧を網羅的に作成しております。
その後、それぞれの検索数や競合性等を考慮して、ページに適したキーワードを選定しています。
キーワード表の例は下記のようなものとなります。
データ元:Googleキーワードプランナーより
上の表は、光学機器系企業の中で多い「顕微鏡」に関連するキーワードの一部です。
まず月間想定検索数が多いほど、検索するユーザーが多く、ニーズも高いキーワードとなり、ウェブページへの流入数が多く見込めるキーワードであるといえます。また一般的には検索数が多いほど、競合性が高い傾向があります。上記表であれば、キーワード「顕微鏡」が最も検索数が多く、競合性も高いキーワードといえます。
顕微鏡の商品自体、種類によって使う分野が異なるため、“光学”顕微鏡なのか“実体”顕微鏡なのかと用途が変わることで対象となるユーザーが異なるため、検索数が顕微鏡単体よりも少なくなり、その分競合性も低くなっています。ただし、リスティング広告をした場合、上位に表示させるための単価が高い傾向もあり、ニッチなニーズを広告で取得するために、数社が上位を競っているのでは?ということが想像できます。
また、広告の単価が高くなる傾向があるキーワードは、自然検索結果(SEOの影響部分)で上位に表示されているウェブサイトが固定されていて、SEO施策をしてもなかなか上位に食い込めない場合もあります。まずはウェブサイトに合わせたキーワードを網羅的に作成し、それぞれの基本情報をもとに、施策効果が最大限見込めるキーワードを選定することになります。
また、上記例は日本語キーワードとなっていますが、英語等の多言語での施策となった場合は、各言語の特性も認識してキーワードを考える必要があります。
下記表は各英語キーワードをアメリカで検索した場合の検索数の例です。
日本ではあまり検索されない文章での検索も、英語を始めとする各言語では検索数が比較的多いことがあります。前置詞の有無で検索数が変動することもありますし、前置詞有りで検索したとしても、Google側で同じキーワードと認識されて前置詞なしと同じ検索数になることもあります。
そういった状況は各国検索方法や言語特性を理解した上での情報収取が重要となるため、注意が必要です。
製造業を始めとするBtoB企業様のウェブサイトでは、コンテンツが少ない傾向があります。
商品紹介や具体的な事例も大事ではありますが、商品に関連するコンテンツを多く含むことでそれぞれの商品にあったキーワードでの施策が可能となります。また、現時点でコンテンツが少ない場合は、キーワードを先に設定し、そのキーワードに合わせたコンテンツの制作をお願いする場合もあります。
検索が想定されるような、一般名詞を含めたコンテンツを含めたページにSEO対策をすることで、今まで獲得できなかったユーザー層の獲得にもつながります。
GoogleではSEO施策に役立つ無料のウェブサイトの様々な数値が把握できるツールを提供しています。
それは、“Google Search Console”です。
Google search Consoleは、ウェブサイトにタグを設置することで、ウェブサイトのセッション数や流入数をはじめとした多くのデータを取得することができます。
また、このツールを通して、新しく作成したページや新しくドメインを取得したウェブサイトを、Google側に知らせることも可能です。本来は、Google側からウェブサイトに情報収集しにきてくれるのを待つ必要がありましたが、 Google search Console を活用することで検索結果へ表示される反映速度もあがり、SEO施策をした後に情報を提供すると検索結果に表示される順位向上を早める事ができます。
他にも有用なツールは様々ありますが、まずは“Google Search Console”の登録をすればSEO対策の一つになると言えます。
では続いて、前述したポイントを抑えた実際のSEO施策の流れについて説明していきます。 前述したポイントについても、施策の流れについてはどんなキーワード、ウェブページ、言語であっても同じですので、SEOの基本的な知識として認識しておいて頂ければと思います。
※図3:弊社(アウンコンサルティング株式会社)でSEO施策を実施頂く場合の流れ
前述したポイントのうち、「コンテンツ」ついては、内部施策提案に含まれています。
キーワードに合ったページが施策実施時点で確認できなければ新規ページの制作をお願いすることもあります。「ツール」の登録については、ご契約時点でまだご利用されていない場合は、まず登録をお願いしています。弊社で代理登録させて頂く場合もあります。
図3の通り、SEOの提案は提案前の分析段階の比率がかなり高く、重要になります。
キーワードありき、場合によっては外部リンク設置ありきの提案は提案期間も短く、成果報酬型の経済条件であったりと実施するハードルの低い提案に見えますが、それはすべてのウェブサイトに合わせた提案とは言えません。提案までの期間が長くなる場合、それがネックと見えるかもしれませんが、SEOは時間がかかったとしても、長期的に有用な結果を出せる施策ですので、結果的にはウェブサイトに合わせた丁寧な提案がベストであるといえます。
今回は、弊社でSEOを実施して頂いた、非鉄金属製品メーカー B社様の施策内容を事例として紹介させて頂きます。今回の事例は英語サイトでの施策となるため海外SEOでの事例となりますので、キーワードやコンテンツ内容における言語特性の部分で日本国内の施策とはことなる部分がありますが、全体的な流れや対応は変わりません。国内外問わず、弊社がご支援している例としてご覧ください。
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▼問題点
海外からの英語サイトへのアクセスが少なく、海外との取引に繋がりにくい
また、英語圏全体がターゲットになるため、リーチ系のプロモーションだと費用対効果が見合わない
▼SEO上の課題
・関連する製品での一般名詞キーワードの上位表示化
・セッション数やCV数の増加
▼実施内容
・検索キーワードの調査
→ 要望と市場ニーズの把握、各キーワードの伸び代の把握、言語特性の考慮(※)
・施策キーワードの提案
→ 調査情報を元に、ページに合わせた施策キーワードの提案
→ キーワードにあったページがない場合は、新コンテンツの制作を提案
・内部施策の提案
→ タグラインの記載内容、テキスト内容・ボリューム、ページ遷移(サイト内リンク)の改善等
▼成果
※初回内部施策提案の実装完了後の月数を横軸で記載
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成果の表を見て頂けるとわかる通り、実装完了してから4ヶ月目以降で効果が出ていることがわかります。
元々コンテンツにもウェブサイトにも伸び代があったため、比較的効果がわかりやすくでた結果となりました。
精密機器業をはじめとする製造業のSEO対策では、
・施策キーワード選びが重要!特に海外向けに施策する場合、言語特性には要注意!
・コンテンツ(施策対象ページ)とキーワードの親和性と高めるため、コンテンツの拡充できるとベスト
・Google Search Consoleを登録してない場合は、すぐ登録! 以上を注意して対策をしていきましょう。
もし少しでも興味がありましたら、下記よりお気軽にお問合せください。