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2020.07.16

#BlackLivesMatter 広がり続ける反差別運動　
アメリカから世界へコミュニケーション業界・大手企業のリアクション

アメリカから世界へコミュニケーション業界・大手企業のリアクション

5月末から始まった #BlackLivesMatter(#BML) の影響が、世界中で広がり続けています。5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドさんを白人のデレク・ショービン警察官が8分46秒もの間、首を膝で押さえつけ殺害した事件で燃え上がった、反黒人差別運動ですが、実は、ちょうど同日、ニューヨークのセントラルパークで、黒人男性から犬をリードにつなぐよう注意された白人女性が「黒人男性に襲われている」と警察に通報し、その様子を撮影した動画も拡散、炎上していました。(参照※1)この白人女性から差別を受け、動画を投稿した黒人男性は、ハーバード大学卒のコミュニケーション業界の大物で、影響力も拡散する力もありましたが、もし、これが高学歴ではない低所得な個人男性だったとしたら、駆けつけた警官や世論は、いったいどちらの言葉を信じたでしょうか。どんな高い社会的ステイタスを持っていても差別からは免れないという事実と、ジョージ・フロイドさんが「息ができない」と何度も言いながら、最後に「Mom(お母さん)」と言いながら息を引き取った衝撃の映像が、黒人だけでなく白人も参加する大きな運動となり、アメリカは大きく変わろうとしています。(参照※2)コミュニケーション業界の人物も発端となったこともあったのでしょうか。翌週6月3日には、大西洋を渡ったイギリスで、大手広告エージェンシーのトップたちが、連名で「Actions Not Words(言葉ではなく行動)」と題するオープンレターを発表し、長年「年長の白人男性」が多くを占め、今回のCOVID-19パンデミックでさらに人種的格差の広がった広告業界を、多くの数値で示し、「これはリーダーシップの後退だ」として、明確なKPIを設け、格差是正に取り組んでいくと表明しました。(参照※3)6月9日には、世界広告主連盟(WFA)はUN Women(国連女性機関)と共同でこの動きに賛同を示し、人種だけでなく、性差や性的指向などあらゆる差別と不公平と戦うことを業界に求めています。(参照※4)広告業界だけでなく、広告クライアントサイドでも#BMLへ多くの企業が連帯を示し、むしろ黙っていることは大きな経営的リスクとなり得る情勢です。ところが、アジア太平洋(APAC)地域では、ほとんどの企業が沈黙しています。Campaign Asia-Pacific によると、5月13日～6月21日の間、FacebookやInstagram、Twitterなどに投稿されたポストを調査したところ、興味深いことに、アメリカでは#BML についての投稿は、マスメディアより企業のほうが多く、メディアより先に企業が #BLM運動へのサポートを表明したことがみてとれます。2000以上もの企業がSNSなどで投稿している米に比べ、APACでは、わずか164ポストです。(参照※5、表1)パタゴニアやLush、Kマートなどが投稿した#BML関連ポストは全て、オーストラリアかニュージーランドでシェアされています。企業のポストのなかで、最もエンゲージが高かった投稿は、豪のアパレルブランドPrincessPolly.comが19,300インタラクションで1位。2位はインドのUrban Monkey(13,800)、3位はこれも豪のアパレルZimmermann Wear(12,300)です。(参照※5、図2)APACメディアの投稿数は887で、その上位3つは、Brut India の48,900インタラクションで、3位に日本の TBS news(46,300)が入っています。(参照※5、図3)長年使用してきた黒人のメイドや使用人を思わせる黒人のパッケージデザインを変更する企業も続々とでてきています。(参照※6、図1)6月末には、#StopHateForProfit (ヘイトで稼ぐな)というハッシュタグで、Facebook広告のボイコットが広がっています。COVID-19とは別に、#BMLも新しい日常(New Normal)を生み出していきそうです。