一枚岩ではない東南アジア市場に苦戦
中国の次の市場として、東南アジアが注目されています。しかし、中国市場で成功した企業も東南アジアでは苦戦しているようです。日本貿易振興機構(JETRO)が地域・分析レポートを公表し、東南アジア越境ECのヒントを提示しています。東南アジアEC市場の成長は著しく、Googleとテマセクの調査によると、2015年の55億ドルから、2018年には232億ドルと4.2倍に増加しています。しかし、市場規模5,880億ドルの中国市場と比べるとASEAN主要6カ国(シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム)あわせてもまだ140億ドルにすぎません。(参照※1、グラフa)また、単純に、日本からの距離も送料や配送日数がネックになります。中国向け越境ECでの成功体験が東南アジアに適用するかというと、それも要注意です。国ごとの文化的(Cultural)、制度的(Administrative)、地理的(Geographical)、経済的(Economic)な違いを把握する、「CAGEフレームワーク分析」でASEAN各国の市場規模や距離、消費傾向を理解し、課題を明確にし、それぞれに対応していく必要があります。(参照※1、表1)
各国で文化も法制度もバラバラなASEANの中で、日本から越境ECがやりやすい国として、JETROでは、EC化率の高さや越境EC比率などからシンガポール、マレーシア、タイにチャンスがありそうだと分析しています。現地ECサイトへの出店を検討している企業も多いと思いますが、ASEAN各国で人気のECサイトも異なります。マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピンでは、2016年にアリババが買収したLAZADAのシェアが高く、シンガポールは、地元企業ジオシスのQoo10、ベトナムもローカルのモバイルワールドのbachhoaxanh.com(バイックホアサイン.コム)がシェア1位です。注目は、シンガポール企業のシーが運営するShopee(ショッピー)で、各国でシェア5位以内で、最近、出店料無料など日本からの越境ECサービスを充実させています。(参照※1)
※1 地域・分析レポート – ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/9db7645e1c18dfad.html