アジア太平洋地域の小売市場
2017年アジア太平洋地域への進出企業の3分の1は同じ地域内から
世界最大手の不動産サービスおよび投資顧問会社CBREが、2014年~2017年、アジア太平洋地域で新規開業した外食産業除く小売業者600社を分析しました。この期間、アジア太平洋地域では年間概ね50~70の新規参入がありました。同じアジア太平洋地域内からの新規進出は、2016年は全体の20%でしたが2017年には30%に増加しています。代わりにこれまでアジア太平洋市場へ積極的に参入していた米国と欧州からの新規開業ペースが下がっています。(参照※1、グラフa)
2014年~2017年に新規参入した小売業者のほとんどは、日本、オーストラリア、韓国からで、全体の3分の2以上を占め、特に日本は34%と単独で3割以上のシェアとなっています。(参照※1、グラフb、グラフc)
アジア太平洋地域における日本と韓国の強い文化的影響力は、ファッションや食料品を中心に幅広い業種にわたっています。特にエンターテイメント、美容、ライフスタイル・ブランドがブームを牽引し、日本と韓国はアジア太平洋地域で積極的に新規開業を展開しています。最近では、競争力のある価格設定戦略で韓国企業の成功が目立ちます。海外進出に積極的な国では、国内市場が飽和点に近く、売上成長率が近隣のアジア太平洋地域の平均を下回っており、これが積極的海外進出の主な要因です。ユニクロは、2014年度から2017年度にかけて中国市場進出を優先させ、この市場だけで249店舗を新規に開店し、売上高を約81%増やしました。同期間中、ユニクロの日本における売上高はわずか14%増で、いくつかの不採算店舗は閉鎖しなければなりませんでした。中国や新興東南アジアなど急速に成長する市場への新規開業数は今後も増加する見通しです。(参照※1)
※1 アジア太平洋地域小売市場調査 | CBRE
https://www.cbre.com/research-and-reports/Asia-Pacific-Major-Report—Rise-of-Asia-Pacific-Retailers-September-2018