
P-MAX(パフォーマンス最大化)キャンペーンを運用する中で、「意図しないキーワードで広告が出て予算を浪費している」「ブランドイメージに合わないサイトやアプリに配信されている」といったお悩みを抱える企業が増えています。
AIによる自動最適化が強みのP-MAXですが、すべてを任せきりにすると、本来獲得したいターゲット以外にも配信が広がりすぎてしまい、CPA(獲得単価)が高騰するケースも少なくありません。
こうした課題を解決するために重要なのが、P-MAXにおける「除外設定」の正しい理解と実装です。
以前はブラックボックスと言われていたP-MAXですが、2025年現在は管理画面から細かくコントロールが可能になり、マーケター主導で無駄な配信をカットできるようになっています。
本記事では、P-MAXのパフォーマンスをさらに高めたい方向けに、キーワード、プレースメント(配信面)、ブランドリストを用いた除外設定の具体的な手順と、成果を出すための運用のポイントをわかりやすく解説します。
※本記事の内容は2025年12月時点の情報に基づいており、機能や仕様は今後変更される可能性があります。
P-MAXにおける除外設定とは、AIによる配信拡張に対して「ここには出さないでほしい」というガードレールを設ける機能です。
| 対象 | 説明 |
| 除外キーワード | 特定の語句を含む検索に対して広告を表示させない設定 |
| プレースメント除外 | 特定のWebサイト、アプリ、YouTubeチャンネルへの配信をブロックする設定 |
| ブランド除外 | 自社名や競合名など、特定のブランド名での指名検索配信を制御する設定 |
1:無駄なコストの削減
コンバージョンに繋がらないキーワードや、誤タップの多いアプリ面を除外することで、予算を有効活用できます。
2:ブランドセーフティの確保
自社のブランドイメージを損なう可能性のあるサイトや動画チャンネルへの表示を防ぎます。
3:AIの学習精度向上
質の悪いトラフィックを最初から遮断することで、AIが誤ったユーザー層を学習するのを防ぎ、最適化を早めます。
P-MAXでキーワードを除外するには、大きく分けて「アカウント全体で除外する」方法と「キャンペーンごとに除外する」方法があります。
1. アカウント単位での除外(すべてのキャンペーンに適用)
全キャンペーンで共通して配信したくない語句(例:「求人」「ログイン」「クレーム」など)は、アカウント設定から一括で除外します。
1:Google広告の管理画面で「設定」→「アカウント設定」をクリック
2:「除外キーワード」セクションを展開
3:「+」ボタンをクリックし、除外したいキーワードを入力して保存
2. キャンペーン単位での除外(特定のP-MAXのみ適用)
以前はGoogle担当者への申請が必要でしたが、現在は管理画面から設定可能です。特定の商材だけで除外したい語句がある場合に使用します。
1:対象のP-MAXキャンペーンを選択し、「設定」をクリック
2:設定項目の中にある「除外キーワード」等のセクションを探す(※UIにより「自動作成アセット」付近にある場合があります)
3:キャンペーン固有の除外キーワードリストを作成・適用
「指名検索(社名やサービス名)は、検索キャンペーンで安く取りたいので、P-MAXでは配信したくない」というケースで有効なのが「ブランド除外」です。
◯設定手順
1.ブランドリストの作成
・「ツールと設定」→「共有ライブラリ」→「ブランドリスト」を選択
・自社のブランド名を登録してリスト化します
2.キャンペーンへの適用
・対象のP-MAXキャンペーンを選択し、「設定」をクリック
・「ブランドの除外」セクションを選択
・作成したブランドリストを紐づける
これにより、P-MAXが自社名キーワードの検索トラフィックを奪ってしまう「カニバリゼーション」を防ぐことができます。
P-MAXはあらゆる面に配信されますが、特定のアプリやサイトの効果が著しく悪い場合は除外を検討します。
◯配信先の確認
1:「レポート」→「事前定義レポート(詳細)」→「その他」→「P-MAX キャンペーンのプレースメント」を選択
2:表示回数が多いがコンバージョンしていないサイトやアプリを特定
◯プレースメント除外の手順(アカウント単位)
P-MAXのプレースメント除外は、基本的にアカウント全体(またはコンテンツの適合性設定)で行います。
1:「ツールと設定」→「コンテンツの適合性」をクリック
2:「除外されたプレースメント」を選択
3:「除外設定を追加」から、除外したいURLやアプリIDを入力
4:「アカウント全体」に適用して保存
※特定のアプリカテゴリ(ゲーム等)を一括で除外することも可能です。
設定後に発生しやすい問題と、その解決策をまとめました。
| トラブル | 原因 | 解決方法 |
| 表示回数が激減した | ビッグワードを除外キーワードに入れてしまった | 除外キーワードのマッチタイプ(部分一致など)を見直す |
| CPAが悪化した | コンバージョンしていた配信面まで除外した | レポートを期間長めで確認し、必要な面は除外解除する |
| 指名検索が止まらない | ブランドリストの登録漏れがある | リストに表記ゆれ(ひらがな、カタカナ、英語)を追加 |
| 設定項目が見当たらない | 管理画面のUIが更新されている | 「設定」だけでなく「その他」メニュー内も確認する |
最新のP-MAX運用では、単なるキーワード除外だけでなく、「既存顧客データ(1st Party Data)」を用いた除外も重要視されています。
すでに購入済みのユーザーリストをP-MAXの「顧客の獲得」目標設定で「除外」または「入札弱化」することで、新規顧客の獲得だけに予算を集中させることが可能です。
1:顧客リストのアップロード:メールアドレス等のデータをGoogle広告に連携
2:目標設定の変更:「新規顧客の獲得のみに入札」にチェックを入れる
これにより、リピーターへの無駄な広告配信を抑制し、効率的に新規ユーザーを開拓できます。
P-MAXの除外設定は、AIのパワーを正しい方向に導くための「ハンドル操作」のようなものです。
一度設定して終わりではなく、定期的に「どこに出ているか」「どんなキーワードで拾っているか」を確認し、メンテナンスを行うことで、より筋肉質な広告運用が可能になります。