Google広告のP-MAX(パフォーマンス最大化)キャンペーンは、Googleの全ての広告チャネル(検索、ディスプレイ、YouTube、Gmail、Discover、マップ)へ横断的に広告を配信できる、自動化に特化した広告キャンペーンです。その自動化された性質から「分析が難しい」「ブラックボックス」といった印象を持つ運用者も少なくありません。
しかし、2025年以降、利用可能な分析手法が増え、多角的な分析が可能になりました。本稿では、P-MAXのレポート機能を正しく理解し、データに基づいた改善サイクルを回すための具体的な方法を解説します。
P-MAXキャンペーンの全体的なパフォーマンスを把握するためには、まず基本的な指標を確認することが重要です。これらの指標は、他のキャンペーンタイプと同様にGoogle広告の管理画面の「キャンペーン」から確認できます。
パフォーマンス把握のために必要な主な表示項目は以下の通りです。
表示項目の例:

表示項目は赤枠の「表示項目」から適宜変更可能です。
これらの基本指標を時系列で分析し、キャンペーン全体の健全性を定期的に評価することが、P-MAX運用の第一歩となります。
基本的な指標を分析したら、次はP-MAXの特性を理解し、より深い分析を行います。
「分析情報」は、キャンペーンのパフォーマンスに影響を与えている重要な要因を理解するための中心的な機能です。分析情報にアクセスするには、該当するキャンペーンを選択した状態で左側のメニューから「分析情報とレポート」>「分析情報」をクリックします。

「分析情報」では主に下記の項目についての分析結果の概要が表示されます。
検索語句に関する分析の概要は、前項で紹介した「分析情報」内でも表示されますが、より詳細な分析がしたい場合は、通常の検索キャンペーンと同じ手順で「分析情報とレポート」>「検索語句」を選択します。
「検索語句」レポートでは、検索語句ごとの表示回数、クリック数、コンバージョン数、費用などの各指標を分析できます。

P-MAXキャンペーンでは検索キーワードを設定することはできませんが、キャンペーンレベルでのキーワードの除外設定は可能です。そのため、意図しないキーワードでの検索結果で広告が表示されている場合は除外設定を検討するなどの対応が必要です。
キーワードの除外設定は、P-MAXキャンペーンを選択した状態で「オーディエンス、キーワード、コンテンツ」>「キーワード」から可能です。

広告がどのウェブサイト、YouTubeチャンネル、アプリに表示されたかを確認できるレポートです。左側のメニュー「分析情報とレポート」>「広告が表示された日時と場所」から確認できます。

ここでは下記の項目について分析できます。
※「広告が表示された場所」については、ディスプレイ広告やYouTube広告、アプリ広告において、広告が表示されたプレースメント(ウェブサイト、アプリ、動画など)を確認できる機能になります。P-MAXキャンペーンでは「広告が表示された場所」は表示されませんが、後述する「チャネルのパフォーマンス」機能においてプレースメントを確認することができます。
P-MAXキャンペーンでは、広告見出し、説明文、画像、動画、ロゴなどのクリエイティブ要素を「アセット」として登録します。
左側のメニューから「アセット」>「アセット」をクリックすると、アセットごとの表示回数やクリック数などのパフォーマンスを確認できます。

効果の高いアセットの傾向を分析し、その要素を新しいアセット設定の際に活かすことで、アセット全体の質の向上が期待できます。
2025年9月時点で、一部のアカウントにおいてP-MAXキャンペーンの「チャネルのパフォーマンス」機能(ベータ版)が利用可能です。
これまでP-MAXキャンペーンでは、実際にどの配信面に配信されているかを確認することはできず、ブラックボックス状態でした。
これが新たな機能「チャネルのパフォーマンス」により、P-MAXで配信された広告のチャネルごとの表示割合や、各チャネルがどの程度コンバージョン目標達成に貢献しているかを可視化できるようになりました。
「チャネルのパフォーマンス」レポートは以下の3つのセクションで構成されます。
キャンペーン単位で以下の情報が表示されます。
P-MAXのチャネル全体での広告の目標達成度が可視化されたグラフが表示されます。
チャネルごとの費用、表示回数、クリック数、コンバージョン数などが表示されるため、それぞれのチャネルがどれだけ目標達成に貢献しているかが一目でわかります。

出典:P-MAX のチャネル パフォーマンス レポート(ベータ版)について
より詳細な情報が表形式で表示されます。表示回数、クリック数、コンバージョン数、費用などの主要な指標をチャネルごとに分析可能です。
チャネル分布表の「レポート」から、P-MAXで広告が配信されたプレースメントを確認することも可能です。(※ただし2025年9月時点では各プレースメントの表示回数のみ確認可能)

「チャネルのパフォーマンス」レポート機能は2025年9月時点でベータ版での提供となっており、一部のアカウントでのみ利用が可能です。今後、順次すべてのアカウントに展開予定となっています。自分のアカウントで利用が可能になったら、ぜひP-MAXの運用改善に向けて様々な観点で分析を深めてみてください。
収集した膨大なデータから、次のアクションをどう導き出すか?それがP-MAX運用の鍵となります。以下に、各レポートから見出せる代表的な改善プランをまとめました。
P-MAXは自動で幅広くキーワードに反応しますが、中にはビジネスと関連性の低い検索語句で費用が発生することがあります。「検索語句」レポートを定期的に確認し、成果につながっていないキーワードを除外設定することで、無駄な広告費を削減し、より効率的な運用が可能になります。
P-MAXはGoogleの広範なネットワークに自動で広告を配信しますが、中にはパフォーマンスが低い地域や時間帯が存在することもあります。「広告が表示された日時と場所」レポートを確認することで、広告効果が高い国や地域、曜日や時間帯を特定し、その結果に基づき、ターゲット地域を見直したり、スケジュール設定を最適化することで、限られた予算を最も効果的な場所に集中させることが可能です。
P-MAXの成果を左右する重要な要素の一つがアセットです。しかし、「どのクリエイティブが効果的なのか」は、運用者が自ら分析しなければ見えてきません。「アセット」レポートでは、テキスト、画像、動画ごとのパフォーマンスを細かく確認できます。成果の良いアセットの傾向を分析し、それを新しいクリエイティブの制作に活かすことで、キャンペーン全体のパフォーマンスを継続的に高めていくことができます。
P-MAXキャンペーンは、強力な自動化機能を持つ一方で、運用者が介入できる部分も数多く残されています。その鍵となるのが、本稿で解説した各種レポート機能です。
定期的なレポーティングと分析を怠らず、データに基づいた客観的な改善を繰り返すことで、P-MAXキャンペーンをより強力なマーケティングエンジンへと進化させることが可能になります。