2025年4月13日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開幕しました。海外からの訪日旅行でも話題のこのイベント、実際にはどんなキーワードが検索を賑わせているのでしょうか。今回は10市場の検索データをのぞき込み、どの国でどんな語句が伸びているのかをざっくり整理してみました。
2024年後半までは検索ボリュームがほぼ横ばいだった「大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)」ですが、チケットの一般発売が始まった 2024 年秋と、開幕が目前に迫った 2025年3月末〜4月にかけて検索数が二度大きく跳ね上がりました。
とくに開幕週(2025年4月)にはGoogle Trends指数が100に達し、関心の中心が“いつか行きたいイベント”から“今すぐ行動を起こす対象”へ一気にシフトしたことが分かります。ここには ①チケット販売開始のニュース、②各国パビリオン完成映像の公開、③現地を訪れたインフルエンサーの SNS 投稿――といった複数の話題が重なったことが大きく寄与しています。
地域別相対指数(日本=100)を見ると、2025年5月時点では、香港が頭ひとつ抜け、シンガポール、台湾、中国と続きます。いずれも“飛行距離の短いアジア圏”が軒並み上位を占めており、近距離市場ほど関心が先行していることが分かります。
今回は、まず大阪・関西万博を指すベースのキーワード(大阪万博/osaka expo/world expo 2025 など)の検索量を国別に洗い出し、その上で、「チケット」「チケット価格」「日程」「交通アクセス」「場所」「パビリオン」「マスコット」「食事」といった来場計画キーワードの検索動向も可視化しました。検索データを手がかりに、各市場が“情報収集→来場準備→現地行動”のどの段階にあるのかを読み解いていきます。
検索トップは「大阪萬國博覽會」。4月には60,000件超となり、3月比で2倍強に跳ね上がりました。掛け合わせでは「門票(チケット)」と「日期(日程)」がそれぞれ3,000件台へ到達。さらに「交通」ワードも 700 件近くまで伸びており、10市場中最多。香港・韓国がチケット主導なのに対し、台湾は移動手段まで同時に調べるユーザー比率が高い。台湾ユーザーの検索は来場を視野に入れた具体的な手配フェーズへ移りつつあることがうかがえます。
半年前に約1,600件だった「大阪世博」が4月には33,100 件と約20 倍へ拡大。あわせて「大阪世博 門票(チケット)」は70→2,400 件(約 34 倍)、「大阪世博 日期(日程)」も70→1,600件(約 23 倍)に伸びています。台湾と比べると交通・場所語がまだ小さく、まず購入確定を優先する傾向。検索は基礎情報フェーズを抜け、チケット購入や訪問日確定を見据えた具体的な準備段階へ移行しつつあることが読み取れます。
開幕後に「오사카 엑스포(大阪 エキスポ)」が月30,000件超へ跳ね上がり、韓国ではベースワードの伸びが群を抜いています。注目は掛け合わせの広がり方で、チケット語は70→1,600 件、マスコット語は 90→1,600 件でアジアでも最大の絶対数、パビリオン語も0→480件へ増加。チケット伸びは香港並みだが、パビリオン・グッズなど体験系語彙が同時に伸びる点が他国と一線を画します。検索対象が「行くかどうか」から「何を買う・何を見るか」へ一気に幅を広げていることがうかがえます。
「osaka expo」は半年前の月平均約3,600件から4月には40,500件へと11 倍に増加し、絶対数では台湾に次ぐ調査国トップクラスです。一方で掛け合わせでは「osaka expo tickets」が90→1,900 件(約 21 倍)、「expo 2025 osaka ticket price」が320→1,600件(約5倍)と、費用・購入手順に関する検索が着実に増加。米国ユーザーはチケット価格の比較・検討フェーズへ移行しつつあることが読み取れます。
11月時点で月1,600件だった「osaka expo」が、4月には14,800件へと大きく拡大。掛け合わせでは 「osaka expo tickets」 が40→720件(約18 倍)、「osaka expo dates」 が40→260件(約6倍)に伸びています。豪州ユーザーは開催情報の把握から、チケット手配と渡航日確定を具体的に詰める段階に入ったと読み取れます。
半年前は月平均約650件だった 「osaka expo 2025」 が、直近では約5,300件へと8倍に拡大。掛け合わせでは「osaka expo tickets」が60→310件(約5倍)、「osaka expo mascot」も20→260件(約13倍)と大幅に伸びています。基本ワードに加えチケット手配や公式キャラクターへの関心が同時に伸びている ことから、タイの検索動向は情報収集フェーズを越え、具体的な来場計画を固める段階に入りつつあると読み取れます。
11月に1,300件だった「osaka expo」は、4月には14,800 件へと約11倍に拡大。掛け合わせでは「osaka expo tickets」が20→880件(約44倍)、「osaka expo dates」も0→170件まで伸びております。ベースワードの伸びは香港・台湾ほど急ではないものの、チケット手配を調べる検索が着実に積み上がっていることから、シンガポールは情報収集を経て来場準備フェーズに踏み込んだと読み取れます。
半年前に約880件だった「osaka expo 2025」は4月に約9,900件とおよそ10倍へ拡大しました。掛け合わせでは「expo 2025 osaka ticket price」が30→390件(約13倍)、「osaka expo tickets」も50→260件(約5倍)に伸長。同じASEANでも「コスト確認」が色濃い点が、フィリピン(tickets 主導)・タイ(mascot 同時伸び)との違い。依然として基礎情報(expo名称)を検索する層が多いものの、チケット価格や購入方法を具体的に比較する段階に移りつつあることが読み取れます。
11 月に1,000件だった「osaka expo 2025」は、4月に 12,100 件へと約12倍に急伸。掛け合わせでは 「osaka expo tickets」が10→480件(48 倍)、「expo 2025 osaka ticket price」も50→390件(8倍)まで増えており、ASEANではシンガポールと同様に大きく伸びる。基礎ワードと同時に購入手続き・費用確認系の検索が急拡大しており、フィリピンでは万博の認知フェーズを抜けて チケット購入と予算検討へ関心が移行しつつあることが読み取れます。
半年前に約590件だった「osaka expo 2025」は4月に8,100件へと14倍に急伸。伸び率はASEAN主要 5 か国でトップクラスですが、件数自体はフィリピン(12,100 件)より一段低い“中位ボリューム”にとどまります。掛け合わせでは「expo 2025 osaka ticket price」が20→260件(13倍)とマレーシア並みに拡大し、費用感のリサーチ段階に入ったことがうかがえます。一方で mascot・location 語は 70 件台とタイより小さく、現地体験情報の検索はまだこれから──インドネシアは 費用検討が先行し、具体的な館内計画は次フェーズというステップの違いが見て取れます。
検索データを俯瞰すると、大阪・関西万博への検索ニーズはおおむね 三つのゾーン に分かれました。
ベース語に加え チケット・日程・交通・マスコットなど来場準備/現地体験ワードがそろって急伸。検索内容が「行くかどうか」から 「いつ・どうやって行き、何を楽しむか」へシフトしています。
ベース語の絶対数はアジア圏に匹敵する一方、伸びは緩やか。特徴的なのは 米国が“ticket price語”主体、豪州が“dates/location語”主体と、同じ遠距離でも重視する情報が分かれる点です。
タイ・フィリピン:tickets語が多倍増しており、購入意欲が顕在化。
マレーシア・インドネシア:ticket price語が先行し、費用感の把握が先に進む段階。
シンガポール:ベース語の伸びは穏やかでも tickets/dates語が着実に増え、準備フェーズへ差しかかり。
検索キーワードは、ユーザーが「次に何を知りたいか」を映すリアルタイムの指標。国ごとに伸びている語句を定点観測し、LP や広告メッセージを機動的に更新することで、限られた期間のプロモーション効果を最大化できます。本稿のデータが、開催中の施策設計に役立てば幸いです。
【調査概要】
調査実施日:2025年5月16日
集計対象期間:2024年5月~2025年4月
データソース:Googleキーワードプランナー
対象エリア:台湾/香港/韓国/米国/豪州/タイ/シンガポール/マレーシア/フィリピン/インドネシア
※ すべて「大阪・関西万博」関連のベースワードおよび掛け合わせワードを集計。