• 2025.02.13

【生成AI市場の動向】世界40カ国・地域におけるAI関連の検索キーワード調査

 グローバルマーケティング事業*を展開しているアウンコンサルティング株式会社(東証スタンダード市場:2459、本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:信太明、以下「アウンコンサルティング」)はこの度、世界40カ国・地域を対象に、2024年1月15日から2025年1月14日までの1年間における、「AI」に関連したGoogle検索のキーワードを調査**しましたので、その結果をお知らせいたします。

 * 海外SEO (検索エンジン最適化)、および海外広告 (サービス概要:https://www.auncon.co.jp/service/)
 ** 今回の調査における各検索キーワードのランキングは、「Googleトレンド」により集計された、注目度を反映したものとなっており、推定値であることにご留意ください。

■世界で注目を集める生成AI市場

  「ビジネスAI元年」としても広く認識された2024年ですが、生成AIツールは、現在も次々と誕生しており、今回の調査においても、各国・地域で様々な生成AIツールの名称がキーワードとしてランクインし、エンターテインメント、教育、ビジネス、マーケティングなど、多様な分野で広く注目、利用されていることが明らかになりました。
 特に、中国でのAI市場の成長は目覚ましく、続々とAIツールが公開されている一方で、2025年1月に公開された「DeepSeek(ディープシーク)」においては、情報の取り扱いや脆弱性に関する指摘、各国・地域での利用に関する規制に加え、世界の株式市場にも影響を与えた、いわゆる「DeepSeekショック」などにより、多くの注目を集めています。
 ユーザーにとっては選択肢が広がっていく中で、どのような生成AIツールが特に人気を集め、利用されているのか、またどんなリスクに備えてビジネス戦略を立てるのかといった点においても、この急速に変化するAI市場の最新情報をキャッチアップしておくことは重要だと言えます。

■最も注目されたAIツールの分野は「動画生成」

 様々な生成AIツールがランクインした中で、特に動画生成に対応したAIツールが多くの国や地域で検索されており、以下に示す表(※)では、全体の54.5%を動画生成の分野が占める結果となりました。
 動画生成はエンターテインメントや、教育コンテンツの生成など様々な用途で活用することができます。特にマーケティング分野においては、広告や製品デモなどのプロモーション動画の制作において、これまで課題とされていた、費用や時間といった制作コストや、高度な編集スキルの必要性などを解消することができ、データ分析に基づきパーソナライズされた、より効果的な動画制作も容易になり、既に株式会社伊藤園(※1)やKDDI株式会社(※2)はテレビCM、株式会社パルコ(※3)はPR動画などでAIを活用しています。製品やサービスの魅力を直感的に伝えることが出来る動画広告の市場は、スマートフォンやSNSの普及に伴い、今後も拡大することが予想できます。
 より高品質でリアルな動画を生成できるような技術の進化とともに、様々な用途で活用することができるため、多方面からより多くの注目を集めていると考えられます。

(※)各キーワード(生成AIツール名)が、Google トレンドトップ10にいくつの国・地域でランクインしたのかを示しています。

・多くの国で注目を集めた「Viggle AI(ビグル エーアイ)」
 Viggle AIは、カナダのトロントに拠点を置くスタートアップ企業によって運営されているサービスであり、2024年4月にリリースされて以来、Viggle AIを利用して作成された動画が、SNSを中心に世界中で話題となり注目を集めました。特に、既存のビデオシーンに任意の人物やキャラクターの画像を当てはめて作成されたユニークな動画が多く拡散された事で、リリース直後から多くのSNSユーザーや、エンターテインメントコンテンツのクリエイターを中心に注目され人気を集めました。
 現在も機能のアップデートを続けており、さらに多くの国や地域で注目を集めることが予想されます。

・「Viggle AI」と同等の注目を集めた「KLING(クリング)」
 KLINGは、中国のテック企業「快手(Kuaishou)」より、2024年6月にリリースされた動画生成AIツールで、テキストや静止画から、1080p解像度(フルHD)のリアルで高品質な動画を生成できる点で注目を集めています。
 ユニークな動画で注目を集めたViggle AIに対し、KLING AIは入力したプロンプト次第でより洗練された動画が手軽に生成できるため、コンテンツ制作者やマーケティング担当者にも注目を集め、今後さまざまな分野での応用が期待できます。

・その他の動画生成AI
 その他、Hailuo AI(ハイルオ エーアイ)やSora(ソラ)、PixVerse(ピックスバース)、Vidu(ヴィドゥー)も多くの国・地域で注目されており、いずれも2024年に公開されたAIツールです。また、注目を集めた動画生成AIの内、「KLING AI、Hailuo AI、PixVerse 、Vidu AI」の4種類が中国発の生成AIであり、いかに中国の生成AI産業が急速に成長しているかがわかります。
 さらに、「ChatGPT」で知られるOpenAI(米国、カリフォルニア州サンフランシスコ)が提供するSoraにおいても、2024年12月に一般ユーザーへの提供が開始され、その高品質な動画生成能力が注目を集め、各社の競争がさらに激化しています。

 高品質な動画が誰でも手軽に生成できるようになり、技術の進化とともに可能性が広がっております。今後も引き続き、競争が激化する中での各社の動向や、各コンテンツにおけるトレンドの変化にも注目です。

■日本における国産の生成AIツールへの注目

 日本国内においても、AI関連のサービスを提供する企業は、大手企業からスタートアップ企業まで存在しており、今後も増加が見込まれます。今回の調査では、日本の特徴や文化を取り入れ、2024年に公開された生成AIツールが特に注目を集めたとして国内でランクインしました。

・日本人の課題や悩みに寄り添った「Cotomo(コトモ)」
 2024年2月にStarley株式会社(東京都港区)より提供されたCotomoが、日本国内における、国産のAIで最も注目されたキーワードとしてランクインしました。Cotomoは音声会話型の「おしゃべりAI」として設計され、2024年12月には、シニア世代を対象に、認知症予防や家族とのコミュニケーション向上を目的とした「茶の間Cotomo」というサービスも提供され、注目を集めました。
 高齢化が進む日本においては、シニア層やその家族が抱える課題に対するソリューションを提供することは、非常に重要なことであり、特に国内での注目を集める要因であると言えます。

・日本の伝統を取り入れた画像生成を行う「Sakana AI(サカナ エーアイ)」
 米グーグル出身の研究者と、メルカリの元執行役員の共同により2023年7月に設立されたSakana AI株式会社(東京都港区)は、高性能な生成AIモデルを作成する技術を持ち、日本語対応の言語モデル「EvoLLM-JP」や画像生成モデル「EvoSDXL-JP」などの開発を行っています。また、2024年9月には、アメリカの大手半導体メーカーのNVIDIA(エヌビディア)をはじめとした、総額200億円規模の資金調達が発表(※4)され、企業価値が11億ドル(約1700億円)を超えたことで、日本発のスタートアップとしては最速でのユニコーン企業となり、多くの注目を集めました。
 日本で設立した理由については、NHKのインタビュー(※5)にて「AIの研究開発現場の中心がアメリカと中国といった、少数の企業や政府により支配されるのは、世界にとって健全ではなく、その2カ国の中心に位置する日本が、地政学的にも経済的にも、技術開発の分野でより重要になる」などといった創業者の考えが述べられており、日本に対する信頼や期待を感じる事が出来ます。
 プロダクトとしては、主にプロンプトから浮世絵の画像を生成する、「Evo-Ukiyoe」や、単色摺の浮世絵画像を多色摺の浮世絵に変換する「Evo-Nishikie」を提供しており、日本の伝統文化が取り入れられた画像生成AIとなっています。
 今後は、Sakana AIの更なる成長で、日本文化がより世界へ浸透することが期待でき、さらには資金調達や提携による、日本国内外でのAI技術革新への期待など、今後のグローバルな発展にも注目です。

 IDC Japan(※6)によると、日本のAI市場規模(支出額)が2028年には2兆8,911億円規模に達すると予測されています。要因としては、各産業におけるAI活用の拡大や、サービス革新への期待感の拡大などとされており、今後の技術の進化や、社会問題への対応に伴うAI導入、また政府による資金援助やプロジェクト提供といった支援などによる市場拡大が期待できます。
 また、2025年2月には、ソフトバンクグループよりOpenAIとの合併会社「SB OpenAI Japan」の設立が発表(※7)され、国際的なパートナーシップを通じてグローバル市場での存在感を高めています。
 今後はAI技術の研究開発やAI人材の確保、また政府によるAI関連法制度の整備なども、日本のAI市場の更なる成長に必要だと言えます。

■香港ではAppleのAIに注目

 香港では、唯一「iPhone16 ai」というキーワードが最も注目を集めたキーワードとなりました。
 2024年10月にAppleより独自のAI「Apple Intelligence(アップル インテリジェンス)」の提供開始が発表され、2024年9月に初のAIサービス対応機種として発売された「iPhone16」シリーズで利用可能な事から注目を集めました。また、中国本土では2025年2月現在でApple Intelligenceの利用が制限されており、これに伴い、香港での利用についても正常な動作や十分なサポート、情報の取り扱いなどに対する懸念の声が挙がっていました。さらに、2025年4月には日本語を含む多くの言語への対応が予定(※8)されていますが、広東語(香港)については特に言及はありませんでした。これらのことから、Apple Intelligenceに関する最新情報が香港ユーザーの間で特に注目を集める要因になったと言えます。
 今後は、中国本土への提供に向けたBaiduとの協議などといった、サービスの拡充に向けた様々な動きも見られます。また、Apple Intelligenceの拡充に伴い、既にAI機能を搭載したGalaxyの「Galaxy AI」や、Google Pixelの「Google Gemini」といった、各国・地域における生成AIを関連としたスマートフォン市場の動向にも注目です。

■AIにより生成されたゲーム「OASIS(オアシス)」

 ポーランドやロシアでは「oasis decart ai」や「oasis minecraft ai」などといった、生成AI「OASIS」に関するキーワードがランクインしました。
 OASISとは、ゲームを生成するAIであり、イスラエルで設立されたAIスタートアップ企業Decart(米国、カリフォルニア州サンフランシスコ)により2024年10月に公開され、ゲーム開発の常識を覆す画期的な技術として注目を集めました。
 OASISは、AIに対し数百万時間に及ぶMinecraft(マインクラフト)のプレイ動画を学習させて作成されたゲームであり、仮想空間の中で移動や創造、収集、破壊などといった、Minecraftと同等の操作が可能なゲームとなっています。
 OASISの場合は、ユーザーのプレイ操作に応じて、演算やグラフィックスなどの生成処理がリアルタイムに実行されるため、ゲーム内の建造物や景色が動的に変化します。Decartの公式サイト(※9)によると、1フレームあたりの生成処理を約0.04秒で実行することで実現しているとされており、この処理速度は、1秒の動画生成に約10~20秒の時間を要していたとされる従来の処理速度に対して、約20倍の処理速度に該当します。
 Decartの公式サイト(※9)にてOASISのデモプレイが可能ですが、ゲームとしての完成度については現状決して高いとは言えないものの、リアルタイムでゲーム環境を生成するという革新的な技術は、ゲーム開発に対する手軽さや、コンテンツの多様化など、更なる技術の発展と共に様々な可能性を秘めており、ゲーム業界においてもAIの参入による今後の市場の動向には注目です。

 生成AIに関する市場は、日々の技術の進化や、多くの企業による参入で競争が激化しています。引き続き最新の動向や、各国・地域の特性、トレンドを理解し、より効果的なプロモーションによりビジネスを成長させていくことが求められます。

調査概要

【調査主旨】
世界40カ国・地域におけるAI関連の検索キーワードと市場動向調査

【調査要綱】
・対象国・地域: OECD加盟主要国を中心にアウンコンサルティングにて抽出した40カ国・地域
・検索キーワード順位データ:Googleトレンド – https://trends.google.co.jp/trends/
 <データ取得条件>
 [検索キーワード]:「AI」
 [調査対象期間]:2024/01/15~2025/01/14
 [カテゴリ]:すべてのカテゴリ
 [取得データ]:関連キーワードを「注目」の指標で並び替えた上位10件を取得
・調査実施期間:2025年1月20日~2025年2月4日
・Googleトレンドの集計に関する詳細:Googleトレンドのデータに関するよくある質問 – https://support.google.com/trends/answer/4365533

【出典】
(※1) 株式会社伊藤園 – ニュースリリース(2024年3月29日). https://www.itoen.co.jp/news/article/64855/
(※2) KDDI株式会社 – 10年目のau三太郎、生成AIでリメイクしたお正月CMを放映、自分だけの三太郎MVを創れる特設サイトも公開 (2023年12月27日). https://www.au.com/information/topic/content/2023-028/
(※3) 株式会社パルコ – ニュースリリース(2023年10月30日) . https://www.parco.co.jp/pdf/jp/store/storage/cname_20240314153615.pdf
(※4) Sakana AI 株式会社 – プレスリリース (2024年9月4日) . https://sakana.ai/series-a/
(※5) NHK – 米でも中国でもない 世界的な生成AI技術者が日本を選んだワケ(2023年11月6日) . https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231106/k10014245731000.html
(※6) IDC Japan – 国内生成AI市場は今後5年で8,000億円規模への成長を予測(2024年11月14日) . https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ52722724
(※7) ソフトバンク株式会社 – 「 OpenAIおよびソフトバンクグループが提携し、
企業用最先端AIを開発・販売することに合意」(プレスリリース, 2025年2月3日) . https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2025/20250203_01/
(※8) Apple Inc. – Apple Intelligenceを入手する方法(2025年01月30日) . https://support.apple.com/ja-jp/121115
(※9) OASIS AI (Decartの公式サイト) . https://oasis-ai.org/

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