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    2021.07.14

【2021年版】欧米・欧州向けWeb広告の国別の特徴と注意事項(クリエイティブ編)

今回は欧米・欧州向けWeb広告の国別の特徴と注意事項についてクリエイティブを中心に解説いたします。

ここでいう「クリエイティブ」の範囲ですが、「クリエイティブ」という言葉は広義には「広告における制作物」から始まって、Webデザインやコンテンツ、ゲームの世界に至るまで幅広く「独創的な創作物」という意味合いで使われています。広告業界においては「テキスト広告」、「バナー広告」、「メール広告」、「動画広告」などといった広告の製作物について「クリエイティブ」と表現されることが多いですが、ここでは狭義な意味合いで主に「バナー広告」や一部動画広告について、日本と欧米の違いについてまとめました。

目次

色の特徴
構成・訴求のポイント
クリエイティブに対する注意点
まとめ

色の特徴

基本的に、色の特徴について日本と欧米では大きな差はないと言えます。

近年の急速なグローバル化によって各国で作られたモノ、コンテンツが全世界に流通するようになったため、違いがなくなってきているという背景があります。また、特に戦後にさかのぼって、日本は欧米の商品や消費文化を模倣し、学びながら経済成長してきた背景があり、色による好みの違いがあまりないといえるのが現状です。

ただ、それは日本と他の地域(例えば中国をはじめとするアジア諸国、中東、アフリカ等)との違いと比較した場合であって、厳密には日本と欧米でもクリエイティブがユーザーに与える印象は微妙に異なります。

色に対するイメージの違い
それぞれの色が持つイメージは両者で共通のものもあれば、歴史や文化など環境的な背景から独特のイメージを持つ場合もあります。この点は基本的な部分としておさえておく必要があります。
主要な色の違いについて以下の通りまとめてみました。

<色の持つイメージの違い(日本と欧米の比較)>

・白
両者に共通して、「潔白」、「純粋」、「神聖」、「真実」といったイメージがある一方で、欧米圏では(戦の)「負け」や「降参」といったイメージも持っています。

・赤
日本では情熱を象徴する色として、「愛」、「興奮」、「お祝い」、「怒り」、「活発」といったニュアンスが強いのに加えて、欧米では、「注意・警戒」の意味も強くあります。また、中国のナショナルカラーである為「共産主義」という印象を与えたり、米国では二大政党のひとつである「共和党」を連想させるような側面も持っています。

・ピンク
日本では、「かわいらしい」とか「柔らかい」といったイメージや、伝え方によってはやや「いやらしい」といった伝わり方になるピンクですが、欧米では「健康」、「活力」、「極致」、「同性」といった意味合いを与えます。

・黄
黄色に関しては国や地域で印象の変わる色のひとつです。
日本と欧米の違いにおいては、日本では「幸福」、「穏やか」、「にぎやか」といった柔らかい活気のあるイメージの色ですが、欧米では「裏切り」、「臆病」といったネガティブな印象があるようです。

・青
青については日本に限らず世界的に「誠実」、「知的」、「清潔」といったイメージがある一方で、欧米ではそれに加え、「憂鬱」、「わいせつ」、「陰気」といった印象も持っています。

・緑
緑は植物に連想される色の通り、「自然」、「新鮮」、「若さ」といったイメージが主流ですが、そこから派生して日本では「エコ」や「癒し」といった印象を与えます。 一方欧米では同じように植物から派生している意味であるものの「未熟」、「毒」、「怪物」、「嫉妬」、「不気味」といった解釈に発展する連想もされるようです。

好きな色の違いについて
次に日本と欧米各国における「好きな色」の違いについても少し述べてみたいと思います。

好きな色の違いについて

上記資料は、世界の主要国における「好きな色」に関するアンケート結果です。
世界各国で最も好きな色とされているのが「青」であることははっきりしていますが、それ以外の色については、若干の違いはあるものの、国や地域で大きな特徴は見られません。

このことがクリエイティブにどう影響を与えているかは定かではありませんが、傾向として結論付けしにくい側面を持っているということは事実です。

歴史・文化的背景から見た色遣いの傾向
ただ一方で、例えば米国の食品業界では原色系の配色が好まれる傾向などは、同国ではやくから着色料を利用した食品開発が主流であったこと等に起因するとも言われています。 また、オランダは国旗にも全く使われていない色である「オレンジ」が非常に重要な意味を持つ色になっていますが、これは独立時に事実上の初代君主となったウィレム1世 (オラニエ公)を肖ったものといわれていて、オランダ人にとっては非常に重要な色であったりします。

色に関して言えば、このように日本と欧米との違いというより、各国・地域、業界によって傾向は異なるため、歴史や文化と照らし合わせながら詳細な調査が必要になります。

構成・訴求のポイント

前述したように、日本と欧米の広告クリエイティブは似通った傾向があり、一概に言えない中ではありますが「構成・訴求ポイント」については「伝え方」という観点で比較すると次のような特徴があります。

日本のクリエイティブは「イメージの伝達」が主流
まず日本のクリエイティブはイメージとなる著名人を積極的に起用して、そのキャラクター(個性)と商品とを関連付ける手法が良く用いられます。 他には使用後のイメージです。例えば「家族全員の笑顔」、「ピカピカの部屋・家」、「右肩上がりのグラフモチーフ」など、その商品やサービスを利用することで得られるメリットをイメージ化してクリエイティブに落とし込む方法がよく使われます。

欧米のクリエイティブは「商品・サービスをわかりやすく詳しく説明」
一方欧米のクリエイティブは商品やサービスをより分かりやすく、場合によっては詳しく説明するように意識されているものが好まれます。 例えば「商品の価格」「スペック」など商品の特徴を簡潔に文字で表現する手法が代表的です。メッセージ性の強い商品の場合は(日本のように人ではなく)キャッチコピーが前面に立つ場合が多い傾向にあります。 同じバナー内でも(ある程度制限がある中でも)文字情報の量で他社商品と差別化を図るようなクリエイティブも目につきます。

余談ですが、CMや動画広告においては日本と比較しても長尺のクリエイティブが多い為、企業やブランド、商品を詳細に伝えるように企画されている背景や「広告(の内容)を見る」という見る側の能動的な態度もこういったクリエイティブの違いに影響を与えている可能性があります。

クリエイティブに対する注意点

比較広告に対する考え方の違い
次に両者を比較する上での注意点について説明します。
これは単純にクリエイティブに関する注意点というよりはむしろ広告そのものに対する注意点という観点ではありますが、「比較広告」について。

比較広告とは、例えば、「自社のコーラと他社のコーラを目隠しで一般消費者に試飲してもらったところ、多くの人が自社のコーラを選んだ」といった広告のことです。

日本では、比較広告については法律で明確に制限されています。(不当景品類及び不当表示防止法)あからさまな過大表現同様に、他社を悪く言って自社を良く見せるような広告もその対象となります。その傾向は欧州(ヨーロッパ)でも同様の傾向があって、特にドイツなどは大変厳しい規定があります。
一方で、米国、カナダに関しては自由度が高く、むしろ効果的な広告の常套手段としてよく利用されています。

ここで注意したい点としては、例えば米国から広告展開を始めて、欧州に展開を広げていく場合、このような規制に対しては十分に配慮が必要だということです。

まとめ

以上のように欧米とのクリエイティブの違いについて解説いたしました。
日本と欧米では先に述べたようにクリエイティブによる傾向の違いは大きく見受けられないのが実状です。
ただ、色や構成など要素ひとつひとつを分解していくと微妙な違いがあり、それぞれが商品や業態によって最適化され、人に与える影響が大きく変わってくる領域であることがよく分かります。
訴求する商品やサービスだけではなく、国によっても傾向があることなどからも、よく分析した上で制作していくのが寛容でしょう。

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