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    2020.11.11

海外旅行回復のシナリオ マッキンゼー旅行業界レポート 

マッキンゼー旅行業界レポート

  旅行業界は世界的パンデミックによってどのような影響を受けていて、将来どう回復できるのか。それを確認するため、McKinseyとSkiftが分析、旅行会社幹部など業界関係者へインタビューした、92ページにも及ぶレポートを無料公開しています。 パンデミックの嵐にもまれ、半年以上たちました。まだ信じられないかもしれませんが、旅行に対する潜在需要の兆候が見られます。渡航制限が緩和されれば、ワクチンが普及する以前でも、旅行再開に関心を抱いています。感染拡大抑制に成功している中国では、国内のレジャー旅行・出張ともに回復しています。(参照※1、グラフa)ホテルにとっては脅威ですが、民泊の稼働率は欧米で、パンデミック以前の水準近くまで回復しています。(参照※1、グラフb)trivagoによると、米国のNYやラスベガスといった都市型の目的地への興味は失われ、ビーチなど、人との距離が保たれるアウトドアへ関心が移っています。アウドドアレジャーの中でも、アドベンチャー旅行関連の検索が増えており、ヨーロッパでは2019年を上回っています。(参照※1、グラフc)

中国 週次ホテル稼働率・平均料金・売上 2019年・2020年比較
民泊稼働率前年比推移 2020年1月~2020年8月
旅行関連検索前年同期比 2019年7月vs2020年7月

企業の出張費用削減規模の見積りは難しいですが、さまざまな業界のクライアントを持つ旅行会社数社へインタビューしたところ、大規模グローバル企業の多くは、昨年同期比の5%〜15%にとどまっているそうです。そして多くの企業で、まだすべての出張を禁止しています。2020年末までのビジネス旅行支出は、パンデミック以前の20%〜25%ほどとみこんでいます。2021年末まででも、支出はせいぜい2019年の50%ほどだろうとのことです。国際航空運送協会(IATA)の調査でも同様の結果が示されました。企業の出張手配者の3分の1は、2021年の出張予算を例年の25%~75%で計画していると回答しました。(参照※1、グラフd)

2021年の出張旅費予算は例年の何%の予定ですか?

3月以降、マッキンゼーでは、マクロ経済指標と旅行固有の指標双方を考慮し、グローバル観光経済の回復シナリオの4つのモデルを作成しました(参照※1、グラフe)。7月時点で、ヒアリングしたグローバル経営幹部のほとんどが最も可能性が高いと予想しているシナリオ(A1)では、2019年の水準に戻るのは2024年。国内・海外観光支出上位10か国は、2030年までに累積6.4兆ドルを失う可能性があります。このシナリオは、感染拡大の第二波、第三によるソーシャル・ディスタンシングや、国境封鎖などの移動制限が継続することを想定しています。経済政策介入は、パンデミックの経済的影響相殺の助けとなりますが、効果は限定的で、マクロ経済の回復はゆるやかなU字型。また、多くの旅行者が長期間、旅行対して感情的に抵抗し続け、旅行の一部の変更は永続的になり、パンデミック前には戻らないことを前提としています(特に、ビジネス旅行は部分的にオンラインに置き換えられると想定)。次点のより楽観的なシナリオ(A3)でも、回復は2023年までかかり、2020年~2030年累積損失は3.7兆ドルの予測です。このシナリオでは、感染拡大の波は最小限で、効果的な政府の経企刺激策、旅行制限の迅速な解除、旅行行動の変化がパンデミック前とほとんど変わらないことなどを前提としています。長期的なマクロ経済成長の鈍化を想定した、より悲観的なケース(B2)では、被害は7.4兆ドルになる可能性があります。一番楽観的な(A2)のシナリオを含め、2019年の観光支出レベルに戻る時期は、2023年以降と予想されています。(参照※1、グラフe)

グローバル観光回復のシナリオ 国内・海外観光支出上位10か国

※1 旅行業界インサイト | McKinsey
https://www.mckinsey.com/industries/travel-logistics-and-transport-infrastructure/our-insights/the-travel-industry-turned-upside-down-insights-analysis-and-actions-for-travel-executives

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