ベトナム市場概況
ベトナムは南北に細長い国で、ハノイを中心とする北部と、ホーチミン市を中心とする南部では、気候、文化、習慣、言葉も少し異なり、気質も違います。北部の人は真面目でシャイな人が多く、南部の人は明るい人が多いと言われ、ベトナム北部と南部は全く別の市場と意識して販促活動を展開する必要があります*1。
2018年のベトナム人の訪日者総数は約39万人、前年比26%増で、伸び率は1位でした。2018年は2月を除くすべての月で、前年同月比2桁増の好調な伸びを記録しました。2018年2月は、テト(旧正月)のある月で、ベトナムではまだ、旧正月中は帰省旅行が主流なため、訪日人数はそれほど伸びなかったものと思われます。
グラフ1:訪日ベトナム人の推移 (2009年~2018年)
※JNTO訪日旅行データハンドブック2019年(世界20市場)*2より
また、ベトナムは、訪問目的の構成比が他の国や地域と大きく異なります。ほぼ毎年、訪日ベトナム人のうち2割が商用客、3割が観光客で、残り5割を留学生や技能実習生を含む「その他」が占めます。そのため、全目的の平均泊数は38.0泊と訪日外国人平均の9.0泊と比べ断トツ。過去何度か、一人当たり旅行支出で中国を抜き1位になることもありましたが、滞在日数の長さを考慮すると、単純比較はできません。観光目的の平均泊数は6.3泊で、4~6日間の滞在が最多となります。
グラフ2:2018年ベトナム人訪日滞在日数
※観光庁 訪日外国人消費動向調査 (2018年)*3よりAUN作成
日本旅行するときに参照するサイト
AUN Vietnam(ホーチミン)に勤務するスタッフに、日本へ旅行する際、どのようにオンラインで情報収集をするのか、アンケートを取りました。情報収集する項目として以下の4つを質問しました。
・観光地を探すとき
・航空券を探すとき
・ホテルを探すとき
・レストランを探すとき
日本のどこに行こうかな?
観光地を探すとき、ベトナムアウンスタッフが参照するサイト人気トップ5は以下の通りとなりました。
1位 H.I.S. Song Han Vietnam Tourist
2位 Saigontourist
3位 Vietravel
4位 Klook
5位 travel.com.vn
4位の香港ベースの現地ツアー予約プラットフォーム、Klook以外は、すべて、タイに実店舗を構える旅行会社のウェブサイトでした。
1位は、日本のH.I.Sのベトナム法人のウェブサイトです。ホーチミン、ダナン、ハノイに支店を持っています。ベトナムアウンスタッフも「日本の情報やニュースが豊富」「本社が東京なので、日本旅行中に何か問題が起こっても安心。」「日本ならではの体験ができる」と1位に選ぶ人が多くいました。
2位のSaigonTourist (サイゴン・ツーリスト)、3位のVietravelと5位travel.com.vnはいずれもベトナム、ホーチミンの旅行会社です。
航空券購入
1位 Vietjet Air
2位 Skyscanner
3位 Traveloka
4位 Vietnam Airlines
5位 Air Asia
航空券1位は、ベトナム初の民間航空会社で、2007年に設立された格安航空会社、ベトジェットエア。ですが、航空券は、各自、お気に入りの航空会社のサイトを参照する傾向があり、票が割れました。3位ナショナルフラッグキャリアのベトナム航空、5位アジアLCCの雄、マレーシアのエアアジアを、マイ・ベストに選ぶアウンベトナムスタッフもいました。票割れした中で、多くのスタッフが5位以内に選んだ、ベトジェットエアが総合1位となりました。
2位は、台湾アウンスタッフにも1位に選ばれたSkyscanner。3位はインドネシアのユニコーン会社Travelokaです。
ホテル選びは口コミ重視
1位 Booking.com
2位 Agoda
3位 Airbnb
4位 Trip Advisor
5位 Traveloka
ホテル選びは、口コミが鍵のようです。1位のBooking.co、2位のAogda、4位のTrip Advisorを選んだ理由として、「素晴らしい口コミがたくさん」「他のユーザーおすすめのホテルがわかる」「写真や口コミがあって選びやすい」などのコメントが目立ちました。
レストラン探しはオールインワン機能が好み
レストラン選びも口コミを重視する人が多く、Trip Advisorが断トツ1位でした。また、Google検索のナレッジパネルが、「口コミや写真豊富で、住所も確認できるため、参考になる」という意見もありました。普段から、ベトナムの Pasgo や Foody.vn、インドのZomatoなど、口コミを確認し予約までできるウェブサイトやアプリを活用していて、日本のレストラン探しも同様に検索しているようです。
最初に、ベトナム市場概況で述べたとおり、日本に長期滞在するベトナム人も多く、2018年の訪日外国人消費動向調査によると、旅マエに役立った情報源1位は「日本在住の親族・知人」です。次いで2位「自国の親族・知人」、3位「SNS (Facebook/Twitter/微信等)」と続き、知人からの情報を重視する傾向が見て取れます。
4位の「旅行会社ホームページ」も、ベトナムアウンスタッフも、観光情報は旅行会社ホームページを多く参照していました。
グラフ3:ベトナム人が旅マエに役立った情報源(2018年)
※観光庁 訪日外国人消費動向調査 (2018年)*3よりAUN作成
ベトナム国内への対策では、やはりサイトや広告のベトナム語対応が必要ですが、効果もわからず、いきなり翻訳対応が難しい、という場合も多いのではないでしょうか。口コミ好きなベトナム人の傾向をみると、最初は、近年急増している在留ベトナム人や長期滞在者向けに、日本国内を対象にやさしい日本語で情報発信し、効果を確認してみるのも一案かもしれません。
グラフ4:国籍・地域別在留外国人数(2008年~2018年)
※法務省 国籍別在留外国人数の推移*4よりAUN作成
参照
*1日本政府観光局 (JNTO) 世界の市場別基礎情報 ベトナム
*2 JNTO訪日旅行データハンドブック2019年(世界20市場)
*3観光庁 訪日外国人消費動向調査 (2018年) 報告書1・報告書2
*4法務省 国籍別在留外国人数の推移
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