中国電子商取引法施行から1ヶ月

中国電子商取引法施行から 2 ヶ月

春節旅行者の買い物に変化

  今年の春節休暇は、中国では 2 月 4 日～10 日。たくさんの中国人観光客を街で見かけました。以前は、ドラッグスト アの商品を棚ごと購入するなど、爆買いが話題になりましたが、そうした大量購入者の多くはおそらく、中国国内での転売を 目的とした「代購」業者です。しかし、今年 1 月 1 日に新たに施工された中国電子商取引法により、その代購に対しても 営業許可証の取得が新たに必要となり、税関での検査も厳しくなっています。代購による爆買いの減少は、日本国内百 貨店各社の売上にも影響しています。免税売上高が失速し、三越伊勢丹ホールディングスの 1 月全店売上高は前年比 3.0%減をはじめ、各社減収に転じました。「命の母」や「サカムケア」など訪日客の神薬売り上げで18年12月期に100 億円を突破した小林製薬でも、1 月は前年割れです。中国ビジネスに詳しい TNC リサーチ＆コンサルティング代表の呉明 憲氏は「日本企業は代購頼みではなく、正規ルートでの販路開拓を考えていくべきときだ」と指摘しています。(参照※1)

中国国内の反応は？

  電子商取引法実施から 2 ヶ月、中国のメディア Net Jingshe News でも検証を行っています。中国の代表的な C2C プラットフォーム淘宝網(Taobao.com)での取引も新法施行後は、以前の盛り上がりを欠いているようです。淘宝網で大 規模な購買サークルを運営していた代購業者は「電子商取引法により、税金を支払う必要があり、価格を引き上げを予 定している」とユーザーへメッセージを送りました。日本在住の代購業者は、新法施行後は、淘宝網の販売ルートを閉鎖し、 友人間だけで決済用 QR コードを送り対応しています。ニールセンが発表した最新レポートで、歯磨きなどオーラルケア製品 は 51%、化粧品は 32%が、スーパーマーケットなど実店舗で購入すると回答し、オンラインで購入するとのかいとう回答は まだ 6～7％にすぎません。越境 EC、中国語で「海淘(ハイタオ)」はまだ始まったばかりです。過去 12 ヶ月でケア用品や美 容製品をオンラインで購入した人は、回答者全体のわずか 3.4%で、購入者の 60%が中国のサイトを通して越境 EC し ています。(参照※2)

Baidu Japanによる代購と越境 EC 調査

  2 月 27 日に東京のバイドゥ株式会社(Baidu)が発表した、中国ソーシャルバイヤー(代理購入)調査によると、中国電 子商取引法の施行前にすでに 70.9%の在日中国人バイヤーが取引休止の意向を示しています。(参照※3、グラフ a) この代購調査レポートより先に、Baidu は 1 月に中国人 2,000 人対象にアンケート調査した【越境 EC サイトの利用実 態調査】も発表しています。越境 EC サイトで購入する商品は、日本商品が最多で、特に北京・天津在住の女性購入者 が多く、購入金額が高いほど日本商品購入率も高い傾向があります。(参照※4、グラフ b)越境 EC サイトの表示言語に ついては、「買い物する」・「閲覧はする」の割合が高いのは「日本語のサイトが、自動翻訳されているサイト」が 9 割程度で、 他の「日本語のサイトが必要な情報だけ翻訳されているサイト」「英語のみのサイト」「繁体字のみのサイト」選択より多く選 ばれています。(参照※4)翻訳サイトより、日本語のみのサイトが多いことが意外ですが、もしかすると最近精度の進化が 目覚ましい、百度翻訳でサイトを翻訳閲覧していて、「必要な情報だけ」が一部抜粋ではなく、日本語と中国語が混在し ている場合は、かえって読みにくのかもしれません。「繁体字のみ」の場合は、台湾・香港向けと誤解され避けられる恐れも あります。
  こちらの越境 EC 調査レポート全文は、Baidu より定価 30 万円（税抜き）で販売されていますが、Baidu の基幹代 理店である弊社クライアントの皆様には、特別割引価格にてご提供させていただきます。ご要望ございましたら、営業担当 者へお知らせください。

※1 「爆買い消滅新法」 | ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/194208
※2 「電子商取引法」から2 ヶ月：网经社 http://www.100ec.cn/detail–6497063.html (中国語)
※3 バイドゥ 中国ソーシャルバイヤー調査 https://www.baidu.jp/info/557/
※4 バイドゥ 越境 EC サイトの利用実態調査 https://www.baidu.jp/info/538/